月惑星研究会関西支部例会 報告

1997年10月19日

伊賀 祐一


今回の支部例会は、安達 誠氏自宅で行われました。出席者は以下の通りです。
安達、伊賀、井上、奥田、忍穂井、薄出、土山、内藤、吉田(9名)

(1)自己紹介ならびに近況報告

自己紹介と近況報告を行ないました。(最近の木星スケッチ・画像を載せています)
安達 誠
Sketch 観測はあまりできていない。晴れていると仕事が入っている状況。木星スケッチ通算81枚。これまでは覗くたびに大赤斑がいたが、最近は大赤斑が見られていない。30cmのメッキをシーズン・オフに実施する予定。

薄出敏彦
2回目の参加です。ドームの自作をしているが、完成はしていないが観測はできるようになった。何年ぶりかで木星を見ているが、あまり見えていない。

内藤亮介
Sketch 2回目の参加です。現在は長岡京市に引っ越しました。メールで木星観測はやっていないと報告した日に2枚取りました。

土山由紀子
Sketch 夏は苦手なのであまり観測をしていなかったが、夕方に回り木星スケッチを3枚ぐらい取りました(計7枚)。夕方でもシーイングが良いみたい。

奥田耕司
Sketch 9月以降信楽では木星の方角はシーイングが悪い。4月からCCDをやっているが、カメラの冷却をしている間にスケッチが取れると思っていたが、浅田さんから冷却は必要ないと聞いてからは、スケッチをする余裕がなくなった。スケッチをやっていないと木星の状況がわからない。土星も挑戦しているが、あまり良い像は取れていない。

忍穂井幸夫
Sketch 暇さえあれば木星スケッチを取っています(計68枚)。今年になってスケッチを始めたところですが、模様が動いていく様子がおもしろい。マンションなのでぼつぼつ見えない時期になった。土星食は天気予報(インターネット)で奈良が晴れていると思い、車で遠征したが、結局曇ってしまった。

伊賀祐一
Sketch 9月に入り、思ったように観測ができていない。木星スケッチは計59枚。相変わらずWebでの情報収集はやっている。最近ではPic du Midi天文台のガリレオ探査機C10支援の画像(9月12日〜18日)が公開されている。北温帯流-Cの続報が、ようやく8月末にIJW(International Jupiter Watch)のNewsletter(97/07/21)として掲載された。

吉田裕市
遅れて参加されました。

(2)新入会員

小嶋 孝弘
和歌山県のかわべ天文公園に今年から勤務されておられます。事情によって今回は出席されませんでしたが、事前に安達支部長宅を訪問されました。かわべ天文公園の1mで惑星を撮影しておられます(リバーサル)。8月後半の大赤斑の左下の白斑も写っていました。職務では一般公開(週3回程度)とプラネの解説(多い時は1日に4回)。これからは惑星スケッチも取り組みたいとの事です。

小嶋さんが勤務されているかわべ天文公園のWebは以下のURLで見ることができます。
http://www.cosmo.kawabe.or.jp/

(3)10月16日の土星食

10月16日(木)未明に土星食が起こりました。月齢は14.1と、ほぼ満月に近い月でしたが、残念ながら関西は天候が悪く、土星食を見ることができませんでした。潜入・出現データは以下の通りでした。
潜入出現
3h 40.2m4h 35.7m

観測地:大阪
何人かのメンバーが挑戦されました。
奥田 :信楽は曇ってしまった。
忍穂井:Webでひまわり画像を調べて、奈良が晴れるかもしれないと思い、車で遠征したが、結局雲に覆われてしまい、観測できなかった。
薄出 :一応起きてはみたが、曇っていた。
安達 :その時間には仕事をしていた。
伊賀 :数日前までは観測しようと思っていたが、出張の準備などで当日はすっかり忘れていた。曇って良かった。

(4)講座について

関西支部では眼視観測、CCD撮影、データの解析のメンバーはいますが、理論的な面が弱いと思います。木星大気の鉛直方向の構造が分かっていないと観測と結びつかない状況ではないでしょうか。当初は講義をしていただきたいと思っていましたが、講師の負担が大きいようで、ゼミ形式にしてはどうかと考えています。The Giant Planet Jupiterの第4章をゼミ形式で分担を決めて輪講してはどうでしょうか。 (安達)

  • 英語が苦手。
  • 英語を訳して理解する自信はない
  • 観測を中心をやりたい
  • 観測を長いことやっていると大気構造を理解しないとわからない。
  • 少しずつでも理論のことを勉強していきたい。
  • 何か適当な木星大気の論文を輪読するようにしたい。

(5)木星観測

木星会議(8月)以降の、木星の状況をまとめました。

SSTB:
200〜300は淡い。

STB:
160°付近のSEBsの暗斑の影響があるのか、ここ以降からSTBnが見えている。これがずっと回ってきてSTBにつながる。

LEBS:
BCおよびDEが大赤斑の南を通過して、現在FAが通過しようとしている。
安達(8/30):3個のLEBSに下図のような緯度の差があった。
                              FA
                BC
                       DE

大赤斑
大赤斑は全体的に淡くなった。
眼視では輪郭がわからない。
CMT観測から8月にはII=60°付近にいた大赤斑が、9月中旬にはII=65°付近まで後退した。その後9月下旬から10月にかけてはII=63°付近に前進したようだ。
以下に最近の観測を含めて、大赤斑のCMT観測とドリフトチャートを示す。

日時経度観測者
8/2059.5安達
8/2059.9堀川
8/2762.0堀川
8/3061.9堀川
8/3061.9安達
9/0160.6堀川
9/0163.0井上
9/0161.8忍穂井
9/1165.2安達
9/1362.0忍穂井
9/1365.0Pic du Midi
9/1465.0Pic du Midi
9/1566.0Pic du Midi
9/1866.0Pic du Midi
9/1862.6忍穂井
9/2065.5忍穂井
9/2864.9伊賀
9/2863.6忍穂井
9/2864.0堀川
9/2864.6浅田
9/3063.7浅田
9/3063.7堀川
9/3063.6安達
10/0764.8堀川
10/1064.1浅田
10/1262.4浅田
10/1263.6内藤
10/1265.5土山
10/1263.6堀川
10/1763.4忍穂井
10/1765.5浅田
10/2463.1浅田
10/2961.7浅田
大赤斑の移動
SEB:
300°付近にBayがある。
大赤斑直後のSEB中央組織は8月は南に斜めにシフトしていたが、9月から中央組織がはっきりとして、階段状に見える。その直前には暗斑がある。
中央組織が細く顕著に見える時があった。

EZ:
明るいPlumeが全周にわたって見られる。

NEB:
NEBが幅が狭くなりつつある(NEBnは残っている)。

NTB:
北温帯流-C(NTC-C)の暗斑はまだ活動している。
Picの9月の画像では6個あるが、まだ同定はできていない。
暗斑の右上には白斑が必ず存在している(安達)。

NTZ:
10/13 白斑 227.5°

(6)懇親会

支部例会終了後、有志5名で懇親会が行われました。

※次回例会は、1998年1月に安達支部長自宅で行われる予定です。

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