天文ガイド 惑星サロン2002年12月号 (No.3)伊賀祐一

木星と土星の模様の名称
木星や土星などの外惑星は厚いガスの大気におおわれています。また、自転周期が速く、木星では赤道付近が9時間50分、中高緯度が9時間56分、また土星では赤道付近が10時間14分、中高緯度が10時間39分です。このために表面模様は赤道に平行な縞模様として見られます。

木星や土星を観測する場合には、模様の名称が大切な意味を持ちます。模様の名称は3つの区分の組み合わせからできています。あまりむずかしくありませんから、覚えておくと便利です。

まず、南半球(S:South)か北半球(N:North)かを区別します。次に緯度による区別として、赤道(E:Equatorial)、熱帯(Tr:Tropocal)、温帯(T:Temperate)、そして極地方(PR:Polar Region)があります。温帯よりも高緯度では、寒帯などと呼ぶのではなくて南(S)や北(N)を繰り返して表現します。最後に暗い模様を縞(B:Belt)、明るい領域を帯(Z:Zone)と呼びます(赤道に見られる暗い模様はBandとなります)。

これらの模様は毎年明るくなったり暗くなったりと変化しますが、今シーズンの画像で名称を確認してください(画像1、画像2)。

土星の場合は、自転軸が大きく傾いていますので、今シーズンのようにDe=-29度にもなると模様の名称の判断に苦労します。

土星には美しい環が見られますが、3つの部分に分かれていて、外側からA環、B環、C環と呼びます。C環はちりめん環とも呼び、淡いので土星本体を薄暗く透けて見ることができます。A環とB環を分けているカッシーニ空隙は有名で、小望遠鏡でも見られます。このカッシーニ空隙を通しても土星本体が見られます。A環の幅の1/5に位置するエンケ空隙は、20cm以上の口径が必要でしょう。

画像1 木星の模様の名称

撮影/2002年9月24日UT 永長英夫(兵庫県、25cmニュートン、NEC PICONA)

画像2 土星の模様の名称

撮影/2002年9月2日UT 風本 明(京都市、30cmニュートン、NEC PICONA)

前号へ INDEXへ 次号へ