天文ガイド 惑星サロン2003年4月号 (No.7)安達 誠

火星と運河
私が観測を始めた頃は、火星に運河があるかもしれないとまでは思いませんでしたが、運河のような模様が見えないかと真剣に火星の表面を観測しました。それまで、書籍などから見ることのできる火星の姿は、ほとんどと言ってよいほど運河の絵が載っていました。中には幾何学模様のような精密さを感じるものもあるくらいでした。

それぞれの運河には名前がついています。今でもそのまま使われているものがほとんどですが、ケルベルス運河等、最後の「運河」という文字は、もう使わなくなっています。存在しないのだから当然のことです。しかし、観測していると、まるで運河のような見え方をする時があるから面白いものです。小さな斑点の連鎖は、ゆらゆら揺れる火星面を眺めると条模様に見えてきます。だからといって線状にスケッチを描いたらひどいことになります。恐ろしいものです。CCD画像にはこういった線状の模様は出てこないし、出てきたらもっと大変ですね。

運河のスケッチ
スケッチ/安達 誠


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