天文ガイド 惑星サロン2003年6月号 (No.9)伊賀祐一

ビデオ画像をサポートするソフト
特集記事として紹介しているToUcam Proカメラ自身も感度も高く優秀ですが、ビデオ画像を処理するソフトウェアがあってこそ、その真価を発揮することができます。今月はそのようなビデオ画像処理ソフトを紹介しましょう。

ビデオ画像はとにかく多くのフレームを得ることができるメリットがあり、木星の撮影ではコンポジット許容範囲の2分以内に1200-1800フレームにもなります。処理の第1段階はこれらの大量のフレームから良像を選別することです。そして、第2段階では選別された画像の位置合わせを行い、コンポジット処理を行います。第3段階では画像復元や画像強調などを行います。この画像選別と位置合わせがビデオ画像を処理する際の最大のネックでした。

実はToUcam Proの普及には、これらの画像選別と画像の位置合わせ・コンポジット処理を自動化してくれるソフトウェアの出現が大きく貢献しています。シーイングの影響の少ない良像を自動選別して、コンポジット処理までが自動化できるわけです。もちろん自動画像選別は万全ではないことは明らかですが、処理時間の短縮と効率化の点でビデオ観測に大きく貢献しています。表1に、こうした目的で使われているビデオ画像処理ソフトウェアと入手先を紹介しました。これらのソフトウェアはフリーソフトウェアとして、インターネットで無償で入手できることはアマチュアにとってはありがたいことです。筆者はREGISTAXを使用していますが、それぞれのソフトウェアには長所も短所もあり、自分の目的に合わせて選んで見てください。

また、画像処理に関してもこれらのソフトウェアには従来の手法よりも秀でたものがあります。例えば、REGISTAXではウェーブレット変換を利用した最新の画像処理です。数100枚のコンポジット処理で非常に滑らかな画像は得られますが、ウェーブレット変換を行うと、そこに見事な惑星像が浮き上がってきた時には感激です。

●REGISTAXhttp://aberrator.astronomy.net/registax/index.html
●K3CCDToolshttp://www.pk3.org/K3CCDTools/
●AstroStackhttp://utopia.knoware.nl/users/rjstek/english/software/index.htm
●IRIShttp://www.astrosurf.com/buil/us/iris/iris.htm
表1 ビデオ画像処理をサポートするフリーウェア

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