天文ガイド 惑星サロン2003年9月号 (No.12)新川勝仁

惑星動画処理用ソフトCRoPP
動画による惑星撮像のメリットは、自転の影響が無視できる短時間に多くの静止画が得られることに尽きるでしょう。しかし、良画像選択が非常に大きな問題です。何千フレームの画像を目視でチェックするのはまず不可能です。以前紹介されたRegistaxというソフトを使えば、ある程度の自動選別が可能ですが、Registaxは惑星処理に最適化されている訳ではありません。良画像の選択や処理可能なフレーム数に不満が残ります。

CRoPP Ver.2.8.は、Registaxでの処理前に画像のダイエットを行い、これら問題点を解決するためのソフトです.

● CRoPP Ver.2.8の特徴

1.惑星像の位置が常に一定となるように自動トリミングします。
トリミングによって不要な背景部分がカットされ画像サイズが小さくなるので、Registaxの処理スピードと精度が向上します。さらに、この機能によって、軟弱な架台でも視野のどこかに惑星像が入っておれば惑星のビデオ処理が可能となります。
2.一フレーム毎にシンチレーションの影響を評価し、悪画像の足切りを行います。
そのために、惑星画像の(1)視直径、(2)リムのシャープさ、(3)指定した明るい点と暗い点の輝度差を測定します。悪シーイングの日本の空を考慮すると、FFT等による画像評価よりも、"明らかに失敗したフレーム"を排除することの方が先決です。CRoPPでは一次選抜を行い、RegistaxではFFTを使って二次選抜を行うことになります。
3.3次元補正(時間軸補正)を行います
ノイズを低減させるために3次元補正を導入しました。さらに、最長0.2秒までの露光しかできないToUcamでも、この機能の応用で等価的に2秒露光が可能になります。

CRoPP Ver.2.8はフリーウエアです。http://www.geocities.jp/niikawama/ からダウンロード可能です。


CRoPPソフトウェア
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