天文ガイド 惑星サロン2004年12月号 (No.27)安達 誠

SL9衝突痕を日本で最初に見た
1994年春。「なんやこれ!銀河鉄道999みたいや」。それは、シューメーカー・レビー第9彗星の分裂した姿だった。木星とぶつかるらしいと言う情報は知っていたが、「こんなのが次々にぶつかったら、どないなるんや!」とぞくぞくするような期待感が込み上げてきた。

そんなある日、福岡に住んでおられた、土星の大沢斑点で有名な大沢俊彦氏から電話があった。自分の望遠鏡がなく、一緒に観測させてほしいと言うのだ。幸いにも30cmの反射が2台あったので、OKの返事をした。大沢氏は、衝突の前日に自宅までお越しになった。お体はずいぶん弱られていたが、眼の方は確かで、私の30cmで木星を見て準備をされていた。

さて、当日の1994年7月17日、C核が衝突する時間に大沢氏は私の主力の30cm反射で。私は、地上においた移動型の30cm反射で眼をこらしていた。しかし何ごとも感じなかった。しばらく休憩の後、19時45分に観測すると、なんとそこにはC核の衝突痕がとらえられた。すぐに大沢氏にも確認して頂いた。図らずも国内最初の衝突痕の記録となった。

画像1 SL9のC核衝突痕

1994/07/17 01:52:00(UT)
I=141.5 II=215.4 30cm反射

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