天文ガイド 惑星サロン2006年1月号 (No.40)伊賀祐一

火星の永久南極冠

火星の南北両極には南極冠・北極冠がおおい、季節によってその大きさを交互に変化させます。冬が近づくと大気中の二酸化炭素がドライアイスの霜として降り積もり、りっぱな極冠を形成し、そして春になるとドライアイスの霜は昇華して次第に融けていきます。これを季節的極冠と呼びます。そして季節的極冠の下には、真夏でも融けずに残っている永久南極冠があり、それはほとんど水の氷からできています。また、極の上空には、秋から春には青色の氷の雲(氷晶雲)がおおっています(現在の北極地方)。

2005年10月30日の準接近は、ちょうど南半球の夏至(Ls=315°)にあたり、季節的南極冠はすっかり融けて永久南極冠だけが残っている状態になっていました。視直径は20秒ほどあり、小口径でもこの永久南極冠をとらえることができました。永久南極冠は420kmの長さがあり、火星の直径6800kmと比べると、1/16と意外に大きいものです。2003年の大接近では、いつまで見えるかと興味を持っていましたが、2004年1月4日(Ls=328°)の視直径が8.2秒で確認することができました。今シーズンだと2月中旬頃まで永久南極冠が追跡できるかもしれません。


画像1 MGSのとらえた永久南極冠の詳細
画像提供/ NASA、撮影/2000年4月17日(Ls=337) (拡大)


画像2 MGSのとらえた永久南極冠
画像提供/ NASA、撮影/2002年1月15-22日(Ls=309) (拡大)

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