天文ガイド 惑星サロン2009年6月号 (No.81)永長英夫

瀬戸内での惑星観測

私の住まいは、兵庫県播磨平野北部の鶉野台地にあります。田畑や牧場に囲まれ、 カノープスが見える見晴らしの良い地です。穏やかな瀬戸内式気候で晴天日数が 多く、惑星の継続観測に適した所だと思います。ただ、雨が少ないのでため池が 多く、季節の変わり目にはしばしば霧が発生し、悩まされます。

自作の木製3.2mドーム内にミカゲ210B型赤道儀(不動点5.2m)を設置し、望遠鏡は 高解像度とフィルターワークの必要に迫られ、2年前に25cmF7.6(木辺鏡)から、 国際光器扱いのホワイティドブ30cmF5に変えました。鏡筒のたわみ防止対策とし て鏡筒バンドの間隔を60cmとり、接眼部はアルミ板で補強しています。もちろん 鏡筒内には植毛紙を貼り、自作フードも取付けてコントラストを上げるようにし ています。標準装備のクレイフォード接眼部にオプションの電動装置を取り付け、 モニターを見ながらストレスなく合焦ができています。F5は光軸調整がシビアで すが、中心像は惑星観測に十分な結果を出してくれ、その性能に正直驚いていま す。

撮影はバーローレンズで拡大し、大気差による色分散を補正するためのプリズム を介し、フリップミラーにImaging Source社のDMK21AF04(モノクロ)とDBK21AF04 (カラー)を接続して行います。LRGB法で精細な画像を目指していますが、色調が 安定せず、いつも四苦八苦しています。アストロ製フィルターボックスに入れた プリズムは任意に回転でき、フィルターも挟み込めるので大変便利です。また、 筒内気流やドーム内気流に対応するため2台の扇風機を常時動作させています。 シースルーセルの鏡面は15分程で外気温となじみ、扇風機の角度や風量を調節す れば、シーイングが1〜2段階向上します。

木星の南赤道縞攪乱(SEB Disturbance)に出会いたくて、木星とともに寝起きす る生活が続いています。月惑星研究会の方々が開発されたハードとソフト両面で の恩恵に最大限あずかりながら、継続的な惑星パトロールが可能になっているこ とをとても幸せに思っています。


[図1] 30cm望遠鏡と撮像装置
スリット越しに牧場の牛たちが見える。
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