天文ガイド 惑星サロン2010年12月号 (No.99)堀川邦昭

南赤道縞攪乱(SEB Disturbance)を見つけよう

今年は、南赤道縞(SEB)が淡化消失して大きな話題になっています。SEBの淡化は、 じわじわと静かに進む感じですが、逆に濃化するときは、暗斑や白斑が激しく入 り乱れ、SEB攪乱(SEB Disturbance)という木星面で最も激しい現象が見られます。

SEB攪乱はこれまでに16回観測されています。ほぼ3年おきに発生していた時期も ありましたが、ここ20年では3回しか観測されていません。最近では、2007年に 見られましたが、この攪乱はSEBが淡化する途中で発生した変則的な攪乱でした。

SEB攪乱は、淡化したSEB中に1本の暗柱が出現することで始まります。暗柱の出 現位置は発生源と呼ばれ、ここから以下のような3つの分枝が大変システマチッ クな活動を見せます。この発生源からは、新しい暗柱が次々に供給され、SEBに 暗い乱れた領域が広がって行きます。これが中央分枝の活動です。同時にSEB北 組織(SEBn)に沿って暗斑群が形成され、1日当たり3〜4°という高速で前進し、 SEBnを濃化させます(北分枝の活動)。一方、SEB南組織(SEBs)では、発生源の後 方に向かって暗斑群が放出され、北分枝とは逆向きに、ほぼ同じスピードで後退 して行きます(南分枝の活動)。これらの分枝活動が広がることで、SEBは数ヵ月 のうちに元の濃いベルトへと復活します。

最初に出現する暗柱は青黒くシャープな模様で、その形状から「サメのひれ」な どと形容されます。暗柱を最初に見つけた観測者は、攪乱の発見者として記録に 残りますので、SEBが淡化すると、世界中の観測者が鵜の目鷹の目で攪乱を捉え ようと競うことになります。発生の時期と場所を予測することは大変難しいので、 運頼みの一面もあります。現在のSEBはいつ攪乱が発生してもおかしくない状態 にあります。次の攪乱を発見するのは、この記事を読んでいるあなたかもしれま せんね。


[図1] 1993年のSEB攪乱の発達
南分枝の活動は大赤斑に遮られてほとんど観測されなかった。
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