天文ガイド 惑星サロン
2018年7月号 (No.190)
山崎明宏

口径400mm、F=20、クラシカル・カセグレン CFF製 CC400

5月に木星、6月に土星、そして7月には火星が衝を迎えます。 特に火星は15年ぶりの大接近。 惑星観測者にはたまらない季節となりました。

さて今回紹介する機材は、惑星観測用に特化された、主焦点のF値が20というクラシカル・カセグレン式望遠鏡です。 メーカーは、ポーランドを拠点としているCFF社(Coma Free Fieldの略)という新興メーカーで、屈折アポ、クラシカル・カセグレン、リッチー・クレティアンの3種類の望遠鏡を製造販売しています。 反射系は口径250mmからラインナップがありますが、私は口径400mm−F20を注文しました。 日本には代理店が無いので直接メールでやり取りしましたが、責任者のCatalin Fus氏は対応が迅速で安心できる人物です。

この機材、副鏡遮蔽が21%と一般的なシュミカセより小さくすることで回折の影響を小さくし、高拡大時の画質向上をねらっています。 オープンフレームなので温度順応しやすく、光軸調整機構もきちんとした作りです。 仕上げの良さからも、メーカーのこだわりが感じられる一品です。 重さ35kg、焦点距離が8,000mmもありますが、鏡筒長は1270mmと思ったよりコンパクトで、これをタカハシ製のEM-400赤道儀に載せて運用しています。

クラシカル・カセグレンは、カセグレン系の望遠鏡の中ではコマ収差が小さい部類に入りますが、副鏡が非球面なので、光軸調整の手順が球面の副鏡を持つシュミカセなどと比較すると大変です。 副鏡と合焦部の中心合わせ、副鏡と主鏡の傾き調整、さらにその間隔をmm単位で追い込みます。 購入直後は慣れていないこともあり、丸2日費やしました。 この望遠鏡で撮影した木星画像が、2018年度版の天文年鑑に載っていますので、ぜひご覧ください。

良いシーイングにめぐりあえますように。

[図1] クラシカル・カセグレン式望遠鏡 CFF製 CC400
カーボン素材のトラス構造。背面には光軸補正用のノブが配置されています。この鏡は南米チリに建設中のE-ELT望遠鏡と同じ窯とのこと。ホント?

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