天文ガイド 惑星サロン
2023年8月号 (No.251)
堀川邦昭

天王星と金星はどっち向き?

地球の自転軸は黄道面に対して23.4°傾いています。 多くの惑星も同程度ですが、天王星は98°で横倒し、金星は177°で逆さまになっています。 この場合、どっちが北極なのでしょうか?

筆者が昔読んだ本では、自転が反時計回りになる側が北極と書いてあったと記憶しています(1)。 一見シンプルですが、天王星と金星では天球の南側が北極という、あべこべな関係になってややこしい感じがします。

一方、国際天文連合(IAU)の定義によれば、惑星の場合、黄道面(正確には太陽系の不変面)の北側にある極が北極と決められています(2)。 これに従えば、天王星と金星は自転が逆回りで、現在の天王星は北極側が地球(太陽)を向いていて、2028年に夏至を迎えることになります。

ただし、(2)でも準惑星と小惑星については(1)と同じく自転方向が反時計回りになる側が北極となります。 これは、自転軸が横倒しで傾きが変動するものがあり、公転中に南北の極が逆転する可能性があるためとのことです。

(1)と(2)のどちらを採用するかは任意となっているそうです。 本や記事によって南北が逆になるケースがあるので、注意が必要です。

(2)の場合、自転軸の傾斜角が90°を越えるのはおかしいのでは?などとツッコミを入れたくなります。 どちらを取っても釈然としないものが残りますね。

[図1] 昨年の衝近くの天王星
右はWinJUPOSで出力した当日の自転軸の向き(文字と矢印は筆者挿入)。撮像:森田光治氏(滋賀県、32cm)

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