2008年11月29日(土)・30日(日) 於:仙台市天文台 主催:月惑星研究会 共催:仙台市天文台 世話人:小石川 正弘 記録:安達 誠 |
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【11月29日(土)・・・・・・・・・・第1日目】 |
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【開会式】挨拶 |
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月惑星研究会代表 関西支部支部長 安達 誠![]() |
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仙台市天文台台長 台長 土佐 誠![]() |
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【記念講演】 |
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テーマ 「天体の磁場 −磁場の起源:ダイナモ理論」
天体に磁場と回転はつきものである。「地球・惑星」、「太陽・恒星」、「コンパクト星(白色矮星・中性子星・ブラックホール)」、「星間雲・分子雲」、そして「銀河系・銀河」、これらは皆、磁場をもっている。 磁場の働きとして、太陽の場合、「黒点の形成」、「太陽風」、「フレアー」がある。エネルギーの蓄積と開放が磁場の短期的な効果である。長期的には、角運動量が外へ輸送され内部運動にブレーキをかける。地球の場合は、太陽風が地球の磁場とぶつかると磁気圏が形成される。地球磁場が変動すると磁気嵐が起きたり、オーロラが見える。地球磁場は宇宙線に対してはバリアーとなっている。 銀河の磁場(星間磁場)は、1948年、W・ヒルトナーにより星の偏光として発見された。星間の棒状ダストが磁場により整列し、偏光フィルターのように偏光をさせたり、赤化させる。その他には、非熱的電波現の偏光面の回転(ファラデー回転*1)、比熱的電波放射(シンクロトロン放射)、ゼーマン効果*2などによっても星間磁場が観測されている。 注:*1 電離した星間ガスが磁場を持つと、直線偏波している電磁波が伝播するときに、偏波面が回転する現象をファラデー回転という。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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【自己紹介】(23名) |
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北は北海道旭川から南は四国高松まで23名の木星観測者が集まった。小石川さんから始まる。仙台では4回目の開催となる。1974年が第1回の開催となった。![]() ![]() |
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【木星の近況報告】 |
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(1)今回のトピックスmid-SEB outbreakEZの明化 LRSとGRSの衝突 GRSのHollow NEBの北縁 NEBのリフト NTBの拡幅と赤化 1年間の木星イベントのカレンダー紹介 南半球に面白い現象が集中して起こっている。 ![]() ![]() ![]() ![]() |
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(2) LRS(小赤斑)とGRS(大赤斑)の会合<初期>2=180° 240°に発生した。 リング状構造をしていた。高気圧性の循環を持つ左回りの渦。 メタンバンドでは白く写ることから高高度の現象だと分かった。 赤い色をしており、2つの性質は同じような性質になっていた。 @ 起源
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(3) mid-SEB outbreakについてこれまで観測された過去の観測の紹介を行った。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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(4) NEBリフトの活動@ NEBの白雲活動 |
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(5) SSTBの高気圧性の白斑・大赤斑と永続白斑とSSTBの白斑が会合するときにマージすることが多いと伊賀さんが気づいている。過去にマージは何回も記録されている。・ それぞれは長命で10年くらい続いているものが多い。 ・ A6と7の間に淡いがもう一つある。 ![]() ![]() ![]() |
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(6) STZの目玉暗斑・ 2008年2月に形成された。・ 高気圧的循環を持つ渦か? ・ 暗斑の後方にあった明部が8月にぶつかって消えてしまった。その様子から、高気圧的ではないかと考えている(堀川)。 ![]() |
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(7) SEBの南縁にある青黒い暗斑・ 次第に長くなり、南に盛り上がってきている。・ 現在は200°位に位置している。(11月末ごろ) ![]() |
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(8) EZ明化・ 7月で比べると、1年前と比べるとずいぶん明るくなったが、だんだん青くなる傾向にある。![]() |
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(9) SEDの活動・ EZ南部の攪乱領域で、大赤斑の前方に目立ったものが5・6月に見られた。![]() |
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(10)NEB北縁の退行・+20度の位置が+16度になった。2003年以来の現象だが3〜4年間隔になるという今までの様子を見るとやや遅い。・ NTrZの白斑は1997年から観測記録がある。NEBnのバージの壊し屋さんのような存在。 ![]() ![]() ![]() ![]() |
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(11)NTBの拡幅と赤化・2007年のNTBのoutbreakの余波と考えられる。![]() |
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【天文台の見学】 |
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小石川さんの案内で、天文台を見せていただきました。1.3mの望遠鏡では木星とM15を観望しました。木星はもう、ドームのレールにかかっていて気流も悪く、縞模様があることがかろうじて分かる程度でした。M15はさすがでした。みんなつぶつぶでまるで、写真集の球状星団を見ているようで、これが生で見られているのかと思いました。 一般公開のときには、別の屋上にいろいろな望遠鏡が並べてあり、それで観望するそうです。一番大きいものが40cmの反射でした。大きなものばかりずらりと並び、参加者はみんな「ぜいたく!」と言い合っていました。『仙台の人がうらやましかった。』です。記念写真は1.3mの望遠鏡の下で撮りました。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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【懇親会】天文台から車で10分くらいの秋保温泉の「ホテルニュー水戸屋」で行いました。会席膳を囲んでの和やかな懇親会でした。山形で行った会議のとき以来の会席膳での懇親会はすばらしかったです。安達が酔っ払って、大変でした。 |
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【11月30日(日)・・・・・・・・・・第2日目】 |
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【研究発表】今回の会議では、4つのテーマで発表が行われた。 |
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(1) 新仙台天文台と惑星観測(小石川)PFI法を活用して、市と民間が協力して施設づくりを行った。特長としては、30年間にも亘る長期の運営を民間にお願いしている。そのメリットとしては、特殊機材のメンテナンスや機器更新も契約の中に含まれているので、機器の性能維持が容易となった。一長一短ある手法だが、天文台にとってみれば良い方法であったと考えている。望遠鏡架台形式に経緯台を採用したおかげでナスミス焦点を使えるようになった。しかし、観望用ナスミス焦点の光路を平行光線で延長しているので、結像させても球面収差が多少目立ち、詳しい惑星観測には実際のところ使えない。カセグレイン焦点で覗けるようになったら、惑星観測に活用していきたい。現在は、微光天体用の冷却CCDカメラがついているため使えない。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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(2) 木星の帯状流を測る・その1(堀川)これまでアマチュアは、各緯度帯を代表的する風の強さ(カレント)を求めることを行い、100年以上に渡ってデータを積み重ねてきた。一方、ボイジャーに代表される探査機の結果では、木星面は東西方向のジェットストリームが卓越して、模様の運動を支配しており、両者の結果には大きな乖離が見られる。ここでは、Limaye(1986)の手法に習って、画像同士の相関を調べる方法で、アマチュア画像から木星のジェットストリームの風速パターンを求めた。画像の比較範囲を広くするため、複数の画像をつないだ観測日時が2日異なる2組の展開図を作成し(グレースケール、東西方向のみ周辺減光を補正)、経度方向に両展開図の差分の二乗和が最小になる変移量を調べ、風速を求めた。これを緯度方向に5ピクセル間隔で行い、南北60°の範囲で風速のパターンを得た。 低緯度では、ボイジャーの結果とよく一致し、SEB/NEB内部の大きな速度勾配もうまく再現できたが、模様のほとんどないゾーンでは正しい結果が得られず、コントラストの低い高緯度地方はむしろアマチュアに近い結果となった。 今後の課題として、(1)多数の展開図の組み合わせで処理を行って精度を向上させる、 (2)南北方向に周辺減光の補正を行い、高緯度地方のコントラストを向上させる、 (3)展開図作成方法の改善(カラー化、ピクセルの変換ロジックの改善など)が、あげられる。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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(3) シーイングによる惑星像の歪み方の変化(三品)池村さん作成の惑星画像処理プログラムは、惑星像のサイズ、即ち、赤道方向のピクセル数と極方向のピクセル数をフレームごとに記録できる。このデータから、赤道方向のピクセル数の分布と極方向の分布を調べた。シーングが良いときは、平均値に鋭く集中する分布になり、シーングが悪いときは、広がった分布になっている。さらに、ほぼ、正規分布になっている。正規分布として、標準偏差を計算すると、シーングが良いときは標準偏差が、視直径の1%以下になっている。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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(4) 木星スケッチデジタル化計画のその後(田部)デジタル化を進めていっているが、その中にはお宝スケッチがたくさん出てきた。今日は、その中のいくつかを紹介する。もともとスケッチが散逸しないように始めたことだが、スキャンが終了した時点で困った問題が出てきた。スケッチの原版が段ボール箱に10箱ぐらいあるが、どこに保管しようかと困っている。捨てるわけにもいかず困っている。最後はディスクに保管して配りたいと思っている。<研究発表後の討論> 残った生スケッチは仙台天文台に保管していただくことになった。 これから出てきた分は、フォーマット形式を公表し、デジタル情報として田部さんに送るようにしたい。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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【全体会 パネルディスカッション】 テーマ「これからの惑星観測」 |
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◎ 堀川さんから 東亜天文学会の課長で毎月報告を書き、天文ガイドにも原稿を書いているので、観測もしているがまとめをする時間が大変だ。今はたくさんの画像が集まってきており、まとめることも楽しい。スケッチは国内では3人だけとなっているのが現状だ。最近は、大学生と例会で会うことがあるが、意外にスケッチをしたいという人が多いようだ。 ◎ 田部さんから プロがアマチュアと連携するという方向での活動の仕方がありそうだ。海外ではこういったことの行われているものもあるが、日本国内では見当たらない。海外の人との連携を考えるのも一つの方法だ。また、月惑星研究会で論文を出すということもありじゃないか。 ◎ 熊森さんから 銀塩からデジタルに移行し、カメラなどはここ数年の間に大きく変化してきた、現在は動画から情報を取り出すのが最も適当だと思われる。デジタルカメラはカメラ内で画像の処理をされたものが信号として出てくるので、観測用には不適当で、生の画像が取れるものが望ましい。 ◎ 柚木さんから 昔の仕事の経験から、フィルターを使うと、見えないものが見えてくる。人の見えていないものを見たい、きれいな木星を見たい。そういった楽しみから活動をしている。フィルターの観測は普段とちがったものが記録できて面白い。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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【次回の木星会議】 |
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次回は、月惑星研究会が創立50周年を迎える記念すべき年になります。9月5日が発足の日なのですが、来年は9月5日が土日になるので、会場が取れればここで行いたいという希望になりました。 会場は東京に決まりました。 また、せっかくの50周年ですからロジャースを招待できないかという話を安達が出しました。日にちが決定できれば、連絡を取らなければならないでしょう。 最後に、参加者は新しい仙台天文台のプラネタリウムを見たり、小石川邸を見学にいったりしながら、めいめい会場を後にしました。今回のお世話いただきました小石川さんに感謝いたします。 |
【プログラム】 |
2008年11月29日(土)・30日(日) 於:仙台市天文台 主催:月惑星研究会 共催:仙台市天文台 |
第1日目 (11月29日 土曜日) | |||
10時00分 | 受付 | ||
13時00分 | 開会・・・・・・・・・・・・司会 小石川 正弘 挨拶・・・・・・・・・・・・月惑星研究会関西支部 安達 誠 仙台市天文台台長 土佐 誠 事務連絡・・・・・・・・小石川 正弘 |
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13時20分 | 記念講演 仙台市天文台台長 土佐 誠 「天体の磁場」 |
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14時20分 | 休憩 | ||
14時35分 | 参加者自己紹介 | ||
15時00分 | 今年の木星のまとめ 進行 : 堀川 邦明 |
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17時00分 | 1.3m大型望遠鏡見学 及び 記念写真 | ||
18時30分 | 夕食(研修室)アルコールなし | ||
20時00分 | 宿所に移動 : ホテルニュー水戸屋様送迎バス | ||
19時00分 | 懇親会 | ||
第2日目 (11月30日 日曜日) | |||
08時40分 | ホテルから出発 | ||
09時00分 | 事務連絡他 | ||
09時10分 | 研究発表 ○ 小石川 正弘・・・・・「新仙台市天文台と惑星観測」 ○ 堀 川 邦明・・・・・「木星の帯状流を測る・その1」 ○ 三 品 利郎・・・・・「シーイングによる惑星像の歪み方の変化」 ○ 田 部 一志・・・・・「木星スケッチデジタル化計画のその後」 |
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10時40分 |
全体会 「これからの惑星観測」 |
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11時50分 | 事務連絡 次回開催地について |
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12時20分 | 昼食 | ||
12時00分 | 解散(仙台駅まで送迎バスあり 出発 : 13時30分頃) |