これは木星ではありません。アレンデ隕石と太陽組成を比べたものです。これはNew Solar Systemからのものです。良い本ですのでお奨めします。
多くの物質が10-5を超えるまでほぼ直線に乗っています。これは何を意味するのでしょうか?それは太陽組成モデルはアレンデ隕石に対して良く合っているということです。アレンデ隕石ではC,H,Nなどくつかがズレていますが、巨大惑星ではこれらも直線の上にあると思われます。
Cool a piece of the Sun to Planetary temperature
H2 1,000,000
He 150,000
H2O 1,500
CH4 1,000
Ne 600
NH3 150
N2S 30
モデルではこうなります。
実際の結果はCH4は3Solar,H2Sも約3Solar,NH3は4Solarでした。これは未出版のガリレオの電波シグナルの解析によるものです。これを公開するのは始めてです。
S,N,Cは3〜4Solar を示しています。これは水に対しても3〜4Solar が期待できる数値です。しかし、ガリレオのプローブはわずか5%の水しか見つけられませんでした。水はどこへ行ってしまったのでしょう?
ある宇宙化学者(cosmchemist)は、私は気象学者ですが、気象的なプロセスによって水が無いのだろうといい、気象学者は多分宇宙化学的木星の組成に原因があるのだろうといいました。私は、宇宙化学者が正しくガリレオが乾いたスポットに落ちてしまったと考えています。NIMS(近赤外線スペクトロメータ)の観測がそれを示しています。これがガリレオプローブの水の謎です。
さて、また話題を変えて木星の風について話しましょう。
気象学者は木星の風は驚くべきものと考えています。これは緯度と磁場の自転を元にした。系に対する風の分布です。こちらは1979年のボイジャーの観測、こちらは15年後、1994年のHSTの観測です。もっとも大きく違っているのはこの部分です。
これはReta Beebeによるもので、Retaはここにスポットがあって測定されこうなったと考えています。でも全体ではほとんど変わっていません。
何故風はこうなるのでしょう?プローブは正しくこの点に落ちました。ホットスポットのようなところですが、このあたりはこの高度では100m/sの風で移動しています。Hot Soptも103m/sで移動しています。これらは雲頂の動きです。
プローブが下るにつれてシグナルは20bまでの動きを知ることが出来ました。木星の興味深い風についてのスライドです。木星は他の巨大惑星と比べると最も弱い風しか吹いていません。土星は500m/s、海王星は400m/s、天王星は200m/sでしかも西向きです。海王星の受ける太陽光は木星の数%です。海王星の内部熱源も木星の数%です。風の駆動力において海王星は50倍も劣っているのです。でも風は強いのです。これは妙です。
これに対する答えはありませんが、太陽光と内部熱は大気の外側に小さいスケールの運動を誘起します。小さいスケールの運動は大気の乱流に代表されます。木星は非常に乱流的ですが、海王星はそれほど乱流的ではありません。乱流は消散して大規模な大気の運動を抑えるように働きます。木星には乱流が大きく、海王星は乱流が小さいので海王星の方が運動は大きいのです。木星は粘性が大きく、海王星は粘性が小さいともいえます。実際に見ても木星は海王星よりずっと乱れています。
OK。それではプローブに戻って、プローブは雲頂で100m/sの風の吹くこのあたりに落ちました。これは今の図と同じですが横軸をずっと縮めたようになっています。これも未出版ですが、Natureの今週号に載ってるでしょう。ここが雲頂です。0.5barです。
驚いたことに風は内部ほど強くなります。ここが5barで水の雲の底になります。さっきのスライドで3つの雲の層があったのは覚えてますね。NH3,NH4SH,H2Oの3つです。水の雲以下では風ははぼコンスタントのように思われます。
太陽光はこのあたり(5bar)までしか届きません。これ以下は内部熱が上がってきます。ここでの風は内部熱によって駆動されているのです。それはずっと奥深くまで続いているのでしょう。
これは、木星と土星の内部フラックスに関する2つのモデルです。右は全ての運動は薄い数100kmの層の中で起こっているとするものです。下の方は小さいスケールの乱流でよくかき混ぜられています。
もう1つは、風は雲の頂きから非常に深いところまで続いておる、シリンダー状に回転しています。ガリレオプローブはこのあたり(2000km)のところまで測りました。こちらのモデルの方が好ましいことが判りました。