近況報告
- 柚木
- 最近は歳のせいもあって観測数が稼げません。末永く観測していくには無理はしない方がと思っています。斜鏡を以前の65mmからProtostarの54.4mmに交換したのですが、セルの前後位置が少し異なっていて、鏡筒加工をしなければならないのに、寒いので以前の穴に取り付けたままで、光軸が追い込めていません。少し暖かくなれば加工しようと考えています。
- 薄出
- 木星と土星シーズンのはざま。月を撮って楽しんでいます。ToUcamでも一眼レフでもない。
コンパクトデジカメのコリメートで撮っています。コリメートというと中学生のころ「初めて撮った月面」を思い出しますが、今のコンパクトデジカメは高感度で小型軽量、便利なオートフォーカスがついている。高拡大では、やはりWebCamera+Registaxですが、低〜中倍率の「お月さん」は手軽に良く写ってくれます。ビクセンからデジカメのコリメート用アダプター(大変良く作られています)が販売されていて私は国際光器で8000円ほどで購入しました。お勧めですヨ。
- 福井
- 木星は1月4日が最後になった。他の日も観測したが気流が悪くて縞が全く写らなかった。すでに合を過ぎているので今月中に初観測をしたいと思っている。先週、金星と天王星が接近したので久しぶりにカメラレンズで固定撮影した。デジタル一眼で初めて星を撮ったが感度が高いのに驚いた。
- 畑中
- 今は土星の観測をしている。望遠鏡の凸鏡を磨きなおしてもらった。現在調整中だが今までと比べるといまいちで悩んでいる。光軸の調整が問題なのかと思っている。カメラはDFKを使っていたが、LUのほうが良いのではないかとおもい、購入したが、LRGBを行おうとすると今までと大きさがちがうことが分かった。結局ふたたびDFKにもどすことになった。いまは、このシステムでがんばっている。時々ルーリン彗星を観測している。
- 林
- 木星会議に行ってきた。香川の瀧本さんに動画の作り方を説明したDVDを送っていただき、きれいな動画の作り方を勉強しようと思っている。どんな方法をするかは4月に報告するのでそのときまでお預けとなった。(みなさん:4月には来てくださいね。いい話が聞けそうです)年末に安達さんからToUcamが使えるようにと、ノートPCを預かった。ビスタはずいぶん苦労したが結局のところどうして良いかわからなかった。その後、前に使っていた癖のあるhpのノートパソコンを預かり(Win XP)いろいろ調整した結果、順調に使えるようになったので、安達さんに返した。この後どうされるのかは不明。(私ではなく息子に使わせる予定:安達)
金星を撮っている。夕方に写しているが気流が悪くよい成果は挙がっていない。W47フィルターとIR cutフィルターで試している。ついでながらISSが通ったので、撮影を試み、成功した。(みんなで画像を鑑賞しました)
- 坂本
- 滋賀県立米原高校で地学部の担当をしている。今回は生徒を連れてうかがったので、いろいろ勉強させて欲しい。最近は金星の画像を撮像しているが、ほしいIR90・80のフィルターをメーカーに問い合わせたら在庫がなく手に入らないとのことで困っている。(柚木さんから富士のアセテートフィルターを使えばよいこと。福井さんからはスライドのマウントにはさんで十分使えるとのサジェストがありました)生徒にいろいろやらせているが、最近は自主的にがんばってくれている。フィルターはいろいろ集め、どれが良いか試している。
- 山田(高校2年生)
- 課題研究の題材を集めている。今日は勉強させてもらいに来た。
- 里田(高校1年生)
- 昨年7月に例会に参加させてもらってから、メタンバンド・UV・IRで撮像を試みた。今日は撮像したものを持ってきた。昨年7月に乗鞍高原に行ったときに、すばらしい星空を見て感激した。
- 高倉(高校1年生)
- 昨年の7月に来て以来の参加となった。学校では金星を撮っている。メタンバンドでは木星の衛星を撮る事ができた。最近は天気が悪いが金星を撮っている。できれば地表の模様を撮りたいと思っている。
- 安達
- 昨年望遠鏡を作りかえて以来、初めて土星を観測した。細いリングが見えて、一安心した。今は本の執筆に追われている。これからがんばりたい。
木星の近況報告 (安達)
(1) 観測活動
11月〜1月までの支部メンバーの活動をピックアップした。
11月は21日間12名の観測報告
12月は10日間7名の観測報告
1月は1名1日の観測方向があった。
シーズン最終の観測は福井さんによって行われた。
(2) NEBリフト領域の概要
9月から12月までのリフトの概要を紹介した。
大きなリフトが3つあったが、9月11日に新しいものが発生して4つになった。その後リフトの先端(NEBs)は前進し、最初の発生地点(2=40°)を通過した。高校生にリフトとはどんなものか紹介した。
(3) 大赤斑(林 敏夫)
今シーズンの大赤斑の経度を2=120°を中心として展開図をならべてきた。シーズンの初
めは120°にあったが、その後ゆっくりと後退していき、現在は2=130°になっている。
9月からは大赤斑の南側にアーチがかかり、南側の輪郭がはっきりしてきた。また、それと同時に大赤斑の前方にdark streakが伸び始めた様子が良くわかる。
9月27日のWesleyの画像には、大赤斑の内部に青いリングが大赤斑の内部にでき、面白い姿になったが、長続きはしなかった。
(4) STrZのdark streakとSEB
9月の初めには2=90°位にあったが、その後アーチができるともに伸び始めた。そのまま
シーズンの終わりまで同じ傾向が続いた。
11月になってSEBsに変化が起こり、大赤斑のすぐ後方ではSEBsが青みがなくなりほっそりした姿を見せるようになった。
(5) BAと目玉暗斑
それぞれ
大赤斑の南側を通過したが目立った変化は起こらなかった。
(6) その他
・ EZに青いフィラメントが増えてきた。
・ NTBとNNTBに濃い部分ができ、それらは次第に広がっている。
金星の近況報告 (畑中)
(1) 観測活動のまとめ
11月1日から1月17日までのまとめを作ってきた。まとめから、観測者のフィルターの組み合わせの確認を行った。
11月1日から1月17日の観測報告
no |
氏名 |
報告回数 |
国 |
UVFILTER |
カメラ |
1 |
尾崎 公一 |
13 |
愛知県 |
|
Philips SPC900NC |
2 |
柚木 健吉 |
8 |
大阪府 |
Baader UV |
DMK |
3 |
米山 誠一 |
8 |
神奈川県 |
IUV |
DFK、ATK |
4 |
斉藤 強 |
7 |
群馬県 |
|
sony HDR-HC1 |
5 |
J.J.Poupeau |
6 |
フランス |
Schuller UV、W47 |
Skynyn 2-0 |
6 |
永長 英夫 |
5 |
兵庫県 |
IDAS UV |
DMK |
7 |
Chen Hsuan-Hsiao |
5 |
台湾 |
325-381nm |
ATK |
8 |
Torsen Hansen |
4 |
ドイツ |
Schuller UV |
DMK |
9 |
畑中 明利 |
4 |
三重県 |
Baader UV |
DMK |
10 |
John Sussenbach |
3 |
オランダ |
Schuller UV |
Vesta |
11 |
Christophe Pellier |
3 |
フランス |
w47 |
Skynyn 2-0 |
12 |
Nilde Sotera |
3 |
イタリア |
Baader UV-IR rejection |
ToUcam |
13 |
Don Parker |
2 |
USA |
Schuller UV |
Skynyn 2-0 |
14 |
阿久津 富夫 |
2 |
フィリピン |
Schuller UV |
DMK |
15 |
Roussell |
2 |
カナダ |
|
|
16 |
David Arditti |
2 |
イギリス |
320-390nm |
Skynyn 2-0 |
17 |
E F Morales |
2 |
プエルトリコ |
|
DMK |
18 |
小澤 徳仁郎 |
2 |
東京都 |
|
DFK |
19 |
Vladimir Knyaz |
2 |
モスクワ |
|
DMK |
20 |
Robert Dyrda |
2 |
ポーランド |
Baader UV |
DMK |
21 |
福井 英人 |
1 |
静岡県 |
Schuller UV |
DMK |
22 |
池村 俊彦 |
1 |
愛知県 |
IDAS UV |
ATK 2HS |
23 |
風本 明 |
1 |
京都府 |
Schuller UV |
DMK |
24 |
瀧本 郁夫 |
1 |
香川県 |
|
ToUcam |
25 |
George Torsoudis |
1 |
ギリシア |
Baader UV |
DMK |
26 |
Artur Wrenbek |
1 |
ポーランド |
|
Philips 840 |
(2) フィルターの組み合わせ
安い組み合わせを柚木さんに紹介していただくようにする。できればHPにアップしたい。
W47+IRカット・・・・・・・・・比較的安価で効果的
(3) 観測画像から
ヴィーナスエクスプレスでは赤道付近は上昇気流で暖かい大気が上昇してくるため、温度が高く、中緯度ハドレー循環のような現象で下降気流になり暗く写るそうだ。
現実には赤道付近が暗く写ったものが多いとは限らない。これから、観測記録を調べる必要があるだろう。模様の出ている観測記録をならべながら検討した。紫外線で写したものをならべ、スーパーローテーションの確認をしたが、微妙だった(はっきりしない)。金星の雲はかなり変化するから、追跡しようとしても非常に困難だろう。ちがう波長で比較しても、そもそも比べる対象にはならないだろう。
(4) 参考になる報告(安達)
1月29日の画像は二人から観測報告があった。どちらも同じフィルターを使っての観測で、よくにた濃淡の処理となっている。1日の間でも6時間後の変化がわかるから、大変興味深い。たった6時間でも経度方向にも緯度方向にも変化している様子が記録されている。比較するなら、こういったもので比較するほうが良いだろう。
このフィルターの組み合わせは、大気の様子を良く示してくれるので、正解標準の組み合わせとして、月惑星研究会で推奨し、世界に広めていければどうかと思う。畑中さんに月惑星研究会の金星の中心になっていただき、HPに掲載すると共に、ALPOやBAAに連絡し、世界的なネットワーク立ち上げの中心になっていただきたい。
そのために、畑中さんにとりあえず、日本文のネットワーク立ち上げのための日本語の文章を書いていただきたい。
(5) 灰色光
そろそろ灰色光の見える時期になってきているように思われるから、観測には注意して欲しい。
(6) Barder U と W47+IRcut で強調処理
IR90でも信頼できる模様が記録されている。
金星のU画像についてですが、W47+Baader UV/IRcutでもBaader のUに写っている模様は描出出来るように感じます。
また、IR90を強調処理すると不規則な模様が出てきますが、同日に撮った2枚の画像に共通する模様が抽出できることから、まんざら間違いの模様とは言えないと思います。これは以前Sky&Telescopeにも書かれていたと思います。
土星の近況報告 (柚木)
(1) 第2系を使おう
1系はSEBn〜NEBsの間に適用されている。ところが1系と2系の境目ははっきりしなかったので現在は2系は使われていない。そのため電波源を基にした経度の3系が報告には用いられ、1と3の二つが観測報告には使われている。しかし、最近は2系と思われる部分に白斑がたくさん見つかるようになってきた。しかも、ボエジャーの観測結果などを見ても、赤道付近との間には境目がないとはいえない様子だ。
ここにいたって体系2を使ったほうが良いと考える。白斑の追跡など必要性が大きく出ている。
Win JUPOSには2系が記されているので、これを使うことが良いのではないかと考える。これから私たちも、土星の場合はWin JUPOSを使って1・2・3系すべてを画像の中に入れて行きたい。
ALPOとBAAそれとHPにもUPして啓発していこう。柚木さんには提案文を作っていただくことになった。(安達 誠提案)
(2) 半球の色に注目
北半球が青いのは輪の影になっていたからと安達が言っていたが、まだ青いままになっている。
単色光で撮らないと客観的なデータとはならない。それに対して私はいろいろな波長で撮像している。問題なのは W80A と W25Aの画像だ。両者の結果を見ると、北半球はやはり青かった。
マカリで切ったら数値として出てくるだろう。
(3) 白斑
EZの白斑だが、むかしだったら見られなかっただろう。CCD時代になって観測できるようになったものだ。土星の白斑はメジャーになった。観測をどんどん進めてもらいたい。画像をみなおすだけでもみつかることがあった。
高校生の画像の紹介
(米原高校で撮影された画像の紹介をしてもらった11月11日のメタン画像・金星の画像を見た。
20cm屈折の画像だ。30cm反射では像がぼやけてしまうとのことで、きっと光学的な問題があるのだろうという意見が大勢を占めた。
これからがんばってもらいたい。
その他
(1) 月惑星研究会50周年の記念パーティーに参加して欲しい。状況の説明が安達からあった。イギリスのロジャースもやってくるので、盛大に行いたい。9月5日6日の両日共にあけておいて欲しい。
(2) 会費を払って欲しい。まだの方はよろしくお願いします。
(3) 次回の例会は4月26日です。
(4) 懇親会
今回は7人で懇親会に行きました。坂本さんが熱心にいろんなことを聴かれていました。みんなでいろんな話に花を咲かせ、7時半過ぎに帰途につきました。
 金星へのフィルターについて
 金星へのフィルターについて
 木星会議の報告
 やはり出ました! 皆既日食の話題。 皆さん「どこで撮ろうか、右往左往」
 「早くおいでや〜 ビールが待ってるで〜」
 酒の肴は火星でした。
撮影:薄出さん
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