月惑星研究会関西支部例会・支部通信 No.632010年01月24日 |
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2010年最初の例会でした。高校生も含めて9名となりました。
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近況報告
最近の木星から
(1) SEBのBargeについて ![]() (2) 大赤斑北側のメタンブライトな白斑について この白斑は10月になって注目されました。大赤斑の北側に小さく明るく輝く白斑が目だっていました。いろんな人の調査から、メタンバンドでも明るいこの白斑は、9月から発生したのではなく、4月ごろにも発生していました。また、1月になってふたたび、白斑があかるくみえるようになりました。 BAAのロジャースからのレポートではSEBの淡化する際には、このような白斑はしばしば起こっており、1989年・1990年にも発生していることが、BAAから報告されてきた。この白斑と、SEBの淡化とにどのような関係があるのかは分からないが、これからも続けて見ていきたい。最近になってふたたび明化しているので、SEBの淡化はさらに深まるのかもしれない。 ![]() (3) SEBの淡化 SEBは順調に淡化を進めており、大赤斑の前後だけでなく、淡化は進行しています。現在はSEBnが青黒く残っています。このパターンはよくある傾向です。これから先になって、さらに淡くなっていくと思われますので、どのような進行になるかを注目したいと思います。残念ながら合に近く、観測意条件は次第に厳しくなりますが、目が離せません。 また、いつ復活劇(SEB 大攪乱; SEB Revival)が起こるかわかりませんので注目する必要があります。SEBに白斑が出現したり、目だった模様が出た場合は、早急に連絡を取り合い、集中した観測ができるといいなと思います。 (4) BAの様子 BAは輝度がなくなり、すっかり見えなくなってしまいました。気流のよいときに撮った画像によれば内部にリングはあるものの、リングの周囲の輝度はなく、非常に分かりづらくなっています。最近はBAのメタンバンドでのはっきりした画像がありませんが、だんだん、衰えているような印象を受けます。また、直後にある目だった暗斑も最近になって淡くなってきたように見えます。 (5) STBの小暗斑の連鎖 11月下旬に、STBに小暗斑がたくさん並んででき、興味ある様子を示していたが、一つ一つの暗斑を追跡できていないため動きなどの様子は分からないままになってしまったが、面白い光景でした。下の画像は11月28日のGo氏の画像。たくさんの暗斑の連鎖が見られる。 ![]() 火星の近況など
(1) 現在の火星の状態 ![]() (3) 北極冠周辺の気流 この時期の北極冠の周囲には時計と反対周りの強い気流が起こります。 右の画像のようになっています。たとえば、Bのすぐ上のように斜めの前線面のようなものができています。この気流によって、ダストが巻き上げられることがあります。また、極地方から直接冷気が噴き出すことも知られています。 極域は、縮小を始めると高気圧性の気団となりますが、極の近くはその気流によって周りへと噴出し、晴れている部分を形成するのではないかと安達は考えています。次の画像のが画像の、アキダリウム(Mare Acidarium;30W,+50)の北極冠と接する部分は黒くなっていますが、これはそれにあたる部分だと考えられます。 極冠が縮小するときに頻繁に極周辺に出現しています。また、これらの晴れた領域は、ほとんどの場合、大きな暗色模様と同じ位置になっています。このことから、地表の模様の濃さ(熱の問題)と関係していることが予想されます。 ![]() ![]() (4) ダストストーム 2009年7月31日にダストストームが発生したと、天文ガイドに書きました。場所はクサンテ(Xanthe;52W,+13)とクリセ(Chryse;33W,+10)だとも書いています。この発見は、Yuri Goryachko & Konstantin Morozov: Minsk - Belarusによるものです。ところが、これは誤報となってしまいました。実はその画像のノアキス(Noachis;350W,-40)に写っている白い模様が本当のダストストームで、間違った情報を流してしまい、迷惑をかけました。 このダストストームは8月5日にはヘラス(Hellas;295W,-50)にも飛び火していますが、8月上旬で収束しました。 その後、8月20日ごろにエリシウム(Elysium;215W,+23)付近に次のダストストームが発生しています。最近はクリセ(Chryse;33W,+10)の付近での発生が多かったのですが、久々のエリシウム(Elysium;215W,+23)での発生となりました。8月下旬に近づくと、クリセ(Chryse;33W,+10)にも弱いものが発生していますが、すぐに拡散して行きました。 安達 誠が常に考えている、「ダストストームの発生場所(極域のものは除く)は、地形の陥没している端の部分じゃないか」と言う考えをもとに、発生地点を地図で照合する作業を進めていますが、今回は半分くらいしか当たっていませんでした。 (5) ブルークリアリング 1月17日、柚木さんの画像に記録されました。その後、はっきりとしたものは記録されませんでした。衝の起こるLsは、接近のたびに同じではなく年によって異なります。そのため、火星の季節も異なりますが、年によってブルークリアリングの起こり方もかわります。今シーズンのような晩春の接近のときは、ブルークリアリングが淡かったことを記録しておきたいと思います。 今回は、高校生の諸君も来ていましたので、ブルークリアリングとはどんな現象かも、解説を行いました。衝効果との関連が高いものと思われます。撮像するときも、衝の位置では露出時間が非常に短くなることから、これと大きな関係があるだろうとの参加者からの意見でした。 (6) 雲の高さとダストストームの高さ 天文ガイドの「惑星サロン」に出したものを解説しました。古い画像とはいえ、そういったものの中から有用な情報があることを、改めて感じたと言う内容です。同一画面に雲と影の映っている部分があり、それをもとにダストストームの高さを計算すると、雲の18倍以上の高さになることを見出したことを示しました。 オリンピカ(Nix Olympica;135W,+25)にかかる山岳雲よりもはるかに高く、ダストストームにスッポリ覆われることがはっきりしました。こんなに高いところまで舞い上がるとなると、小規模なダストストームでも、簡単に山岳雲よりも高くなることが予想され、地球上とは大きき異なることがはっきりしました。 右の円形の中に上空に浮かんだ雲とその影が見られます。左側にある直線は、ダストストームの影を追跡し、ダストストームの頂と影の一致したところの影の長さを示しています。長さを測定した結果、雲の高さの18倍と言う長大なながさとなった。 ![]() 土星の近況
合を回り、だいぶ時間がたって、観測条件は良くなったが、木星や火星の観測に重点を置いている人が多く、観測数は少ない。しかし、気になることとして、合の前よりもベルトが全体的に目だ立たなくなり、縞模様のはっきりしない様子になっている。おとなしい姿になり興味深い。 本年度の木星会議について
本年の木星会議の会場として、第1候補として神戸大学を挙げていましたが、残念なことにお互いに意思疎通がうまくいかず、神戸大学は候補から落ちました。例会では、別の候補を話し合いましたが、結論的に、京都産業大学をお願いできないか聞いてみることになりました。京都産業大学は、会員の河北秀世氏がおられ、ひょっとするとできるかもしれないという可能性を感じました。 事務連絡
(1) 会費 | ||||||||||
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