月惑星研究会関西支部例会・支部通信 No.682011年10月30日 |
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木星会議直前の例会になりました。今月は、参加者が非常に少なく、4人と言う状態になり、か
つてない状態で、とても残念に思いました。
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近況報告
木星の近況
GRSの様子GRSは9月になって、幾分か赤みが強くなったようだが、顕著な変化ではなく、眼視観測では大きな変化は感じられない。 10月27日に最上さんからGRSに変化のある様子が報告されてきたものを、検討した。GRSは背の高い渦なので、その上にかぶさるような雲が発生して、GRSのエッジを隠すとはなかなか考えにくいが、渦によって、周辺の雲が持ち上げられた可能性も否定できないなと参加者で話し合った。報告されてきたGRSの良画像をいくつか点検したが、怪しそうなものがいくつか見つかった。しかし、今回のような大きなものはなさそうだった。 ![]() 10月26日最上氏観測 BABAは現在2=220°前後にいるが、白斑の周囲を黒いベルトに取り巻かれ、リング状の白斑に見えている。高解像の画像では、内部には小さな白斑が見られ、微妙に位置を変えている。そこで、日にち順に位置を調べてみたが、BAの北半分には侵入しないこと。東側にも入ることが少ないことが認められた。しかし、回転するとか、振動するなどの顕著な現象は見られなかった。(3) GRS前方のdark streakについて非常に安定した状態になっており、先端は木星を三分の二くらい回り、2=260°位の位置まであるように見える。しかし、先端は次第にぼやけてきており、10月末には20°くらい短くなってきたように見える。今後は、堀川さんの指摘のように、淡くなってくるのかもしれない。ただ、GRSからはかなり離れており。まだ当分続きそうな気配も感じる。 (4) SEBの様子SEBsは赤っぽく、SEBnはグレーである。眼視でもこの様子は見えて取れる。大赤斑後方攪乱領域は狭くなっているが、盛んに白雲を発生させており、目立っている。しかし、その北側のSEBnはGRS Bayの北側を悠々と通り抜けている姿を見せており。安定した姿になっている。2=5°、18°にはSEBsにBargeが見られるが、位置を変えずにそのままの姿を維持している。また、2=107°にはSEBZに白斑があるが、これもBargeと同じく、位置を変えずにそのままの姿を呈している。(5) EZの様子安定した姿をしており、目立った変化はない。赤道付近が周囲に比べて遅くなり、後方に流れているような姿になっているのが印象的である。(6) NEBNEBには目立ったBargeが5個見られる。![]() 左から二つ目のBargeは前方に小さな小暗斑を置いているが、周囲が明るく、カエルの卵のような姿をしている。これは6月ごろから認められる。それぞれの動きを追跡した。 Aは8月の初めまでは前進していたが、それ以降は2系に対して移動していない。 Bは9月下旬までは前進していたが、そこからは止まっている(わずかに後退している様にも見える。また、すぐ前方の小さな暗斑は近くなったり遠ざかったりしているようで、10月中ごろには、かなり接近した。 Cは10月上旬から前進をやめてわずかに後退に転じた。 Dは10月上旬から移動していないが、幾分かのふらつきがあったようだ。 Eは順調に前進している。 結果、CとDは次第に間が狭くなってきた。 Aは阿久津(セブ島)さんが、二つの暗斑のマージを記録したものである。 Bは、8月18日Marco Guidi氏の画像では二つの暗斑に見える。大きくなると微妙な変化が見られるようだ。 NEBNEBは北縁の後退が進み、急激に細くなりつつある。NEB北部の白斑も大半がNTrZに露出して、判別し辛くなっている。 bargeは、ベルト北縁に凹凸を形成するようになっている。 火星の近況火星の視直径は5秒台になってきたが、まだまだ小さいにもかかわらず、すばらしい観測が報告されている。MRO(マーズ・リコネッサンス・オービター)は毎日の画像を公開しているので、報告された画像を点検するのに、この探査機の画像も点検している。(1) 観測開始の日以降のダストストーム月惑星研究会に観測報告が送られてくるようになってからは、北極地方の冷気が原因となるダストストームが何度も発生したのが、MROによって記録されている。1 6月24日 クリセ(Chryse)・・・4日後最上氏観測 2 7月22日 ニロケラス(Nilokeras) 3 7月25日 イシディス(Isidis) 4 8月 6日 アウソニア(Ausonia) 5 8月17日 ニロケラス(Nilokeras) 6 8月22日 ボレオシルチス(Boreosyrtis) 7 10月 9日 ウンブラ(Umbra) これらのうち8月6日のアウソニア(Ausonia;258W,-35)で見られたものは、Jim Melka氏のもので、公開されているMROの画像には出ていない。赤画像であることから、淡いベール状になったものが記録されたようだ。MROの画像は淡いダストベールははっきりせず、発生直後の濃いダストストームははっきり写るものの、淡いものは出てこない。これは地上からの観測の方がキャッチしやすいものと思われる。やはり、地上からの観測は大切である。 (2) 南半球の霜8月22日にはヘラス(Hellas;295W,-50)やアルギレ(Argyre;35W,-50)に霜の降りている様子が記録されているが、これは地上からの観測でも白く記録されている。(3) 北極冠の形成8月30日にはシルチス(Syrtis Major;295W,+10)の北側で北極冠の一部と思われるエッジが見られるようになった。極を取り巻く白雲の下で次第に形成されていく様子が分かり、地上からも白い北極が記録されるようになり、小さな視直径ながらも観測されるようになった。(4) その他山岳雲(タルシス3山やオリンピカ・エリシウム山)なども、はっきりした白雲を伴い、地上からもが画像に記録されるようになった。また、南極地方の白雲や、低緯度地方の白雲の帯などいつもの火星面の特徴が次第にはっきりしてきた。天王星の観測
天王星の観測は、送られてくるもののほとんどがみどりいろの円盤像だったが、フランスの
Jean-Luc DAUVERGNE氏のピク・ドュ・ミディ天文台での天王星の画像は、縞模様がはっきり写ったすばらしいものだった。盛んに眼視観測を送ってくるstanislas maksymowicz氏のスケッチと比較すると、実によく一致している。改めて感心した。30cmの口径でどのような観測をしているのか聞いてみたい。また、最近スペクトルの観測報告が送られてきたが、新たな観測対象として、勉強が必要になると思われる。
その他
(1)次の木星会議
今年は国立天文台で行われるが、その次は旭川で行いたいと言う、旭川の阿久津さんからの提案のあることを連絡した。再来年の2月にしたいとの意向である。 | ||||
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