月惑星研究会関西支部例会・支部通信 No.742013年4月21日 |
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今回も、高校生の参加があり、年齢の幅のある会となりました。若い人に来ていただけるというのは嬉しいものです。例会に先立って、伊賀さんのお宅に、お見舞いに行きました。8人のメンバーでお伺いし、久しぶりの伊賀さんとの再会を喜びました。伊賀さんは年明けより、病状が進行したとのことで、みんな気遣っていました。会話はPCのモニターを通して行います。今回は、新調した液晶プロジェクターを壁面に映し出し、PCの画像を全員で一度に確認しながら意思の疎通を図りました。初めての人もあり自己紹介をしたり、近況報告をしたりしました。
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自己紹介と近況報告
![]() 木星会議報告(畑中) 2月16日(土)〜17日(日)
今回の木星会議は、関西からは安達さんと私の二人が参加した。厳冬期の旭川を体験したいという気持ちも強く、しっかり準備して行って来た。私は中部空港から飛行機で新千歳。安達さんは関西空港から新千歳というルートで、旭川に向かった。 木星の近況(安達)1月から4月までのようすを整理して見て頂いた。今回は大赤斑の大きさが小さくなったときがあったり、NEBの北側にある白斑がマージしたりして、面白い現象が見られた。(1) 大赤斑2012年9月末・10月末・3月14日あたりに長径13°に縮小し、大きさが不安定になっている。4月7日にGoさんが下の画像を報告されているが、前端と後端は図のようになっていて、後端が見えにくくなって起こった現象かもしれない。この様に判断したのは、GRSの中央付近に直径が1/3くらいの楕円の核が写っており、それを中心と見ると、うまく説明できるためである。![]() (2) 大赤斑孔SEBsが大赤斑の北側で湾入しており、SEBsの南側のジェットで運ばれてきた暗斑がGRSの北側を回り込むようすが観測されている。1月23日には大赤斑孔の直前に達したが、その後、暗斑は、北側を回りこみ、GRSの後方に抜けていった。暗斑は大赤斑の渦には取り込まれず、SEBsを伝い、さらに後方に移動していったが、このときに興味深い現象が起こった。![]() イギリスのPeter Edwardsによる画像だが、大赤斑前方のSEBが大赤斑孔を横切り、大赤斑後方のSEBsに流れ込んでいる様子が記録された。それに伴いSEBsが濃くなっていくようすが記録された。この様子は永長さんも記録されている。永長さんの展開図では、このSEBのバンドの南側にSEBsの灰色のバンドが併走している姿も見えていた。 ![]() NEBの変化昨年の11月以降、拡幅していたNEBは一部分淡くなって、やせていく傾向が見られるようになって来た。特に合体した白斑と大赤斑のある経度までの間が不明瞭になってきており、堀川さんはいつもより早い時期に細くなり始めたようだとのことだ。![]() 2011年の展開図を見ると、バージがNEBの北縁に飛び出たような姿になっており、今回はこういった姿になる一歩手前の現象かもしれない。バージのたくさんある2008年・2002年や白斑の並んだ2006年の展開図を見て、これからのようすについて考えた。 NEBnの白斑安達の方でドリフトチャートができないので、堀川さんの作られたものを見ながら、変化の様子を確認した。最終的にWSZが非常に大きな姿になってマージを終えたことを確認した。WSCとWSAとの間にもう一つ白斑があって、マージしたのは3つではなく4つの可能性もありそうだと考えている。ロジャースから送られてきたマージするときの展開図をならべた画像を見ながら、巨大なWSZになっていく様子を確認した。 STBの様子BAの後方にSTBのセグメントが接近してきた。セグメントの前方にはBAの直後にバージがあり、そのさらに後方には青っぽい白斑(明部?)が見られていた。その様子は上の(2)大赤斑孔の項目でもはっきりととらえることができる。3月10日のロジャースからのレポートを引用し、現在の様子を確認した。現在はBAの直後にセグメントが突き当たり、バージは消えた。青っぽい白斑は、まだ健在だが、まわりに小さな白斑がSTZに発生している。この白斑はセグメント本体には影響をあまり及ぼさないように見える。セグメントの一部はBAを反時計回りに回り込み、BAの前方に向かって伸び始めている様子がうかがえる。今後はこの傾向が続き、セグメントがBAを追い越していくのではないかと思われる。火星の話題から(安達)
現在火星は合(4月19日)になっており、見ることすらできない状況である。火星の北半球の季節は冬至を少し回った位置にあって、季節的には真冬になっている。北極地方は軽い白雲ができ、南極では小さくなった南極冠がノアキス側に偏った位置になって見えている。 佐藤央隆さん(奈良)の話題提供
佐藤さんの観測機材の紹介のあと、ご自身の撮影による木星像の紹介があった。いろいろ考えながら撮像をしているが、ウェッジプリズムをつけたときとつけないときの違いをしらべてみたいとおもっている。
カメラはどんなカメラがいいか。カラー一発がいいか、LRGBがいいか、いろいろ試してみるつもりだ。
土星の話題
昨年と、今シーズンとの土星の比較をおこなうと、北極点の暗部の大きさがずいぶん違うことが確認できる。最近の高精緻な画像では、六角形の北極がとらえられているが、昨年はその六角形よりも広い地域で暗化が見られ、六角形が見えにくくなっていた。さかのぼって調べてみると、
![]() このようになり、極付近の様子が大きく異なっていることが分かる。2012年の間に、2回程度暗化と淡化を繰り返しながら、現在の六角形のはっきり分かる極域へと、変化してきたようだ。 また、この画像でわかることとして、NTZが2012年は青く明るく見えていたが、今シーズンはやや目立たなくなってきているのが読み取れる。また、NTB~NEB付近の暗化も変化の一つだ。ドラゴンストームと名づけられた大規模な白斑の活動領域は、かすかな白斑ができたり、暗斑が出現したりしているが、いずれも小規模で活動は、ほぼ収束したといえるようだ。土星の観測シーズンは、まだまだこれから。夏に向かい、気流のよくなるときもあると思われるので、極付近を注目したい。 極の六角形の中に、白斑の記録されたカッシーニの画像も公開されているが、大きさから見ると、地上からとらえられる可能性もある。まだまだ面白いものが記録されそうだ。 事務連絡(1) 来年の木星会議について京都産業大学の河北さんに尋ねてみたが、土曜日は毎回一般公開で部屋が空いていないので、残念だが、使っていただけるところがないとの返事を得た。よって、第1候補が消えてしまった。早急に、場所の選定を行いたい。また、いくつかの大学の天文同好会にアタックするつもり。 (2) 今後の例会予定7月7日(日) 午後1から 山科アスニーにて10月27日(日)午後1時から 山科アスニーにて 以上、日程の確保をよろしくお願いいたします。 |
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