1997年5月26日/28日/30日/31日の木星

浅田秀人・伊賀祐一・奥田耕司・忍穂井幸夫・堀川邦昭・繭山浩司


5月26日、28日、30日、31日の観測です(27日はNo.11を参照ください)。ω2=290°付近の観測ですが、注目する模様が2個あります。

一つはω2=287°付近のNEBnのNotch(楕円形の白斑ですが北に開いています)で、その前後が赤い暗部ではさまれています。この様相は5月 9日の浅田氏のCCD画像にも記録されています(No.6を参照)。Notchは、シーイングが悪いと、完全に北側が開いたBayのようにも、あるいは完全にNEBに取り込まれたSpotのようにも見えますが、どうやらわずかに北側が開いたNotchです。

もう一つの注目する模様は、ω2=305°付近のSEBZ内にある白斑です。このSEBZ内の白斑の活動はSEBZを明化させるものかどうか、今後注意していきたいと思います。


浅田秀人 (305mm Newtonian, MUTOH CV04 CCD Camera)

5月26日(UT)

1997.05.26 18h56m(UT)
I=269 II=292

  • STBとSSTBとの合流点は左端で、この経度はSSTBが見えている。STBは淡いながらも見えている。SSTBはCM後方で、さらに南のSSSTBにシフトしている。
  • SEBZ内のω2=305°付近に白斑がある。
  • NEBnのNotchはω2=287°である。Notchの前後に赤い濃化部がある。
  • NTBの緯度はおよそ標準的な値である。

伊賀祐一 (280mm Schmidt-Cassegrain, drawing)

5月26日(UT)

1997.05.26 18h42m(UT)
I=259.5 II=282.4

今日からx311で観測を始めるが、雲が行き来する中でシーイングが悪い。
  • NEBnのNotchは、シーイングが変化する中で、見え方がBayになったり、Ovalになったりするが、Notchのようだ。CMTから位置はω2=282.4°である。
  • NEBnは濃くシャープに北のエッジが見えるが、NEBsは明確でない。Festoonのある所だけ、暗く見えている。
  • SEBは濃淡があるようだが、このシーイングでは良く分からない。
  • STBは見えないが、STrZの明るさを分けているように見える。
  • SSTBは見えている。
5月31日(UT)

1997.05.31 18h06m(UT)
I=307.3 II=292.2
シーイングが時々6/10を示すが、全般には4/10ぐらい。
  • NEBが面白い。CM前方のNEBnにあるNotch(CMTからω2=284.9)は、2つの濃化部にはさまれている。CM後方のNEBsは、festoon(ω1=318.3°)から後方で、NEBの中央の緯度にシフトしている。
  • SEBZのCM後方のω2=303.0°に明るい部分がある。SEBsは暗斑の連続のようにも見えるが、もう少しシーイングが安定しないと詳細は不明。
  • STBは見えない。
  • NTBは一様に見える。
  • NNTB〜NPRは一様にshadeされている。

奥田耕司 (250mm Newtonian, drawing and BITRAN BT-01 CCD Camera)

5月28日(UT)

1997.05.28 18h40m(UT)
I=213.7 II=221.2

1997.05.28 19h15m(UT)
I=235.0 II=242.4
No Filter


忍穂井幸夫 (200mm Newtonian, drawing)

5月31日(UT)

1997.05.31 16h25m(UT)
I=246 II=231


堀川邦昭 (160mm Newtonian, drawing)

5月30日(UT)

1997.05.30 18h11m(UT)
I=153.8 II=146.1

  • CM前方でSEB淡いが、SEBZには目立つ明部はなく、ぼんやりとしている。
  • NNTBがCM前方で南へ寄り、乱れている。
  • NTBは極めて淡く細くなっていて、間はshadeされている。


1997.05.30 19h24m(UT)
I=198.3 II=190.2
  • CM後方のNEBsが拡散して淡い。
  • NEBnの白斑はCM付近のものより後方にあるものの方がはっきりしている。
  • この経度のNTBとNNTBは完全に分離し正常である。


繭山浩司 (200mm VISAC, drawing)

5月28日(UT)

1997.05.28 16h48m(UT)
I=147.3 II=155.3


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