1997年5月27日の木星

安達 誠・伊賀祐一・忍穂井幸夫・土山由紀子・堀川邦昭・繭山浩司


5月27日(日本時間5月28日)のSTrZの白斑と大赤斑との会合現象の観測です。 STrZの白斑はRS Bayの中に取り込まれていて、RSの左下(北西)に明るい部分として捉えられています。


安達 誠 (310mm Newtonian, drawing)

1997.05.27 18h26m(UT)
I= 49.2 II= 64.2

伊賀祐一 (280mm Schmidt-Cassegrain, drawing)

1997.05.27 18h40m(UT)
I= 56.3 II= 71.5
シーイングが2-3/10で、あまり条件は良くなかった。
  • 大赤斑は赤味があり、南半分ははっきりとしている。大赤斑の経度は、確度は良くないが、CMTからω2=59.4°が得られた。
  • 大赤斑の北半分は明るく、特に左下(北西)が明るい。これがSTrZの白斑なのかもしれない。
  • 大赤斑の前端・後端には白斑は認められないので、まだ白斑は大赤斑を通過していないようだ。
  • 大赤斑の前方のSEBsは濃いが、大赤斑の北側のBayは淡く、突然途切れれているように見える。大赤斑後方のSEBsも再び濃くなっている。
  • SEBZは明るいが、詳細は不明。
  • 永続白斑のBCとDEがかろうじて見える。
  • STBは大赤斑後方から南にシフトして、比較的よく見えている。
  • NTrZのω2=60°を中心に長さ20°ぐらいの細長い白斑(White Section)が見えている。5月22日と同様に見える。
  • NTB〜NNTBがシーイングが悪いせいか一体として見えている。


忍穂井幸夫 (200mm Newtonian, drawing)

1997.05.27 18h30m(UT)
I= 50 II= 65

土山由紀子 (105mm Refractor, drawing)

1997.05.27 18h33m(UT)
I= 49.2 II= 64.2
  • 今シーズン初観測。雨続きの後なので透明度はよいが,シーイングは悪く,木星の形やNEBもわかりにくい。一瞬落ち着いた機会に少しずつ観測したが,各ベルトの様子などは全くわからない。 SEB中央付近にRSを数回確認できた。RSはほとんど白く,SEBが白く抜けたように見える。シーイングが悪いため,CMTはとれず。
  • NEBは昨シーズンより濃く太い。

堀川邦昭

今朝は久方ぶりに晴れて、大赤斑付近をバッチリ見ることができました。最近の関東地方は甚だ天候が不順で、昼間晴れていても、夜や明け方は曇りや雨という状態が続き、うんざりしていました。土曜日の朝などは、3時に起きた時は快晴だったのですが、望遠鏡を出して観測準備をしているわずか15分の間に雲が広がってしまい、たいそう悲しい想いをしました。

5/27 18:22UT ω1= 46.7 ω2= 61.8
5/27 19:25UT ω1= 85.1 ω2= 99.8

1997.05.27 19h25m(UT)
I= 85.1 II= 99.8
  • 例の白斑はすでに大赤斑に飲み込まれたようで、RS bayの前端部は後端に比べて傾斜がゆるやかで前方に伸びているが、白斑による凹みは全く認められなくなった。
  • 大赤斑本体は明瞭で赤みも感じられるが、Hollow北縁に沿ったこところは、通常より「白く」感じ(普段はもっと黄色っぽくshadeされている)、白斑の影響を思わせる。白い領域はHollowの前側でやや太く、大赤斑本体を侵食しているようで、Hollowの丸みに沿って後方に尻尾が伸び、大赤斑後端近くに達している。大ざっぱに言うと、「上に反り返ったオタマジャクシ???(ちょっと言い過ぎか??)」のような形状。
  • 大赤斑の経度は61.8°であった。今回はシーイングもよく、精度は比較的よい(±2分くらい?)と思われるため、前進しているかどうかは微妙。
  • Don Parkerのイメージにあった大赤斑前方の暗部は認められない。
  • BCとDEは並んでよく目立つ。両者の間隔は23分(13.9°)しかなく、史上最も近づいている! FAは少し小さめで輝度も低い。
  • DE後方からSTBが濃く太くなっている。永続白斑以外には目立つ白斑はない。大赤斑-BC-DEまではSTBnが濃く、大赤斑前方でもSTBnが淡く伸びている。
  • 大赤斑後方のSEBは、南組織が濃くはっきりしているが、SEBZは明るく不規則な明暗があり、白斑状の明部が2か所認められた。
  • EZは明るく、大きなfestoonはないが、72.3°と110°付近のものはfestonnらしいfestoonで、EBも淡いが認められる。
  • NEBは比較的おとなしく、はっきりとした濃淡はない。NEBnもほぼ平坦で、以前よりやや細くなったように感じる。
  • 大赤斑後方ではNTBとNNTBの間全体がshadeにされ、複雑な濃淡があるようだ。以前観測した床屋の看板構造は見られない。この経度のNTB-NNTBは見るたびに様子が変わっており、まるで「北温帯撹乱」とでも呼びたくなりような様相だ。


繭山浩司 (200mm VISAC, drawing)

1997.05.27 17h20m(UT)
I= 8.9 II= 24.3

1997.05.27 18h10m(UT)
I= 39.4 II= 54.5

1997.05.27 19h00m(UT)
I= 69.9 II= 84.7

昨夜のシ-イングは今シ-ズン観測したうちでは最良の5/10でした。
観測時刻と経度は次のとうりです。
  17h20m    ω1   8.9  ω2 24.3
  18h10m    ω1   39.4  ω2 54.5
  19h00m    ω1  69.9  ω2 84.7

STrZの白斑はRSbay内に入ってしまったようでRSbay内北側の前方が白斑状に見えています。この白斑状の部分は観測を始めた2時過ぎ頃ではかなり明るく感じられたのですが、木星面の中央付近に近ずくに従って輝度がなくなってきたように感じられました。bay内の白斑の前端は49.7度と観測しています。大赤斑は南側の方はかなりしっかり見えておりややオレンジ色っぽく見られている。

永続白斑はBC,DEが見られ、どちらも捉えやすい。STBはDE後方ではかなり濃くなっているが、BC前方やBC-DE間ではSTB北側が目立つ。


◆International Jupiter Watch(IJW)の最新情報◆
このSTrZの白斑と大赤斑との会合についてのIJWの最新情報が以下のURLで見られます。
http://atmos.nmsu.edu/ijw/ijw.html
97/05/28:Newsletter:Reports from Sada and Hernandez
97/05/27:Newsletter:Reports from Miyazaki, Sada and Rogers
97/05/23:Newsletter:Red Spot Report from Carlos Hernandez

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