1997年6月 4/5/6日の木星

浅田秀人・伊賀祐一・奥田耕司・忍穂井幸夫・堀川邦昭・繭山浩司・張替 憲


6月 4/5/6日の木星観測です。大赤斑付近は木星の高度が低く、眼視(伊賀)でかろうじて観測ができました。大赤斑の北側は相変わらず明るく見えていますが、STrの白斑の影響かどうかはわかりません。眼視ではSTrの白斑は認められませんでした。

Pic du Midi天文台で公開されている6月2日の画像(I-band)には、大赤斑直後のSTrZに白斑が捉えられており、あたかもSTrの白斑が大赤斑の北側を通過して、再び姿を見せたように思われます。大赤斑直後のSTrZに新たに出現したと思われる白斑は、SEBsに湾入していないで、STrZにいます。大赤斑の北半分は明るく写っています。今後の観測が待たれます。最新情報をご覧ください。

浅田氏のCCD画像では、大赤斑の後方に迫ってきている永続白斑BC,DE,FAが見事に捉えられています。また、大赤斑後方のSEBの白斑の活動や、ω2=120°から後方のSEB内の新たなBeltの様子が分かります。さらに後方のω2=200°付近のSTrZには、別な白斑がSEBsに湾入している様子が見られます。

NEBnのω2=146°にはNotchが存在していますが、そのすぐ後方のNTrZに暗柱が出現しています。


浅田秀人 (305mm Newtonian, MUTOH CV04 CCD Camera)

6月 6日(UT)

(Left) 1997.06.06 18h23m(UT) I=187 II=126
(Right) 1997.06.06 19h03m(UT) I=211 II=150

  • LEBSがいずれも明るい。
  • SEBnはω2=120°まで北縁が見えるだけである。その後方は徐々に太くなるが、19h03mの画像ではSEBZ中に形成されたBand状である。
  • NEBnのω2=146°にNotchがあり、そのすぐ後方のNTrZに暗柱が見られる。
  • NTBはω2=180°の前方で北に偏り、その後方で元の緯度に戻っている。
  • STrZのω2=200°付近に中規模の白斑(WS)があり、端ながら目立っている。
  • 18h23mの画像の左端に出現しているのはイオ、その右は経過中のガニメデ本体が暗く見えている。
  • 19h03mの画像の左端は経過中のガニメデ本体。

奥田耕司 (250mm Newtonian, BITRAN BT-01 CCD Camera)

6月 6日(UT)

1997.06.06 17h16m(UT)
I=144.0 II= 83.3
Green Filter

1997.06.06 18h26m(UT)
I=186,7 II=125.7
Green Filter

1997.06.06 19h13m(UT)
I=215.4 II=154.1
Green Filter


伊賀祐一 (280mm Schmidt-Cassegrain, drawing)

6月 6日(UT)

1997.06.06 16h25m(UT)
I=119.5 II= 59.1

大赤斑がちょうどCMのスケッチである。シーイングが悪く(2-3/10)、詳細は不明である。この後の観測はますますシーイングが悪くなり、中止した。
  • 大赤斑の南半分が赤い。北半分は明るいが、STrの白斑がそこにあるとは思えない。大赤斑の北側のSEBnは明るい。
  • STrの白斑が大赤斑の後方に抜けてしまった様子でもないが、ただ大赤斑直後のSTrZは明るく見えている。
  • CM前方のEZnのfestoonの直後に白斑(plume)が見える。
  • NTrZの大赤斑と同じ経度にあった細長い白斑(white section)は不明。
  • 赤道付近の暗い2個の斑点は、左はイオの影、右は経過中のガニメデ本体が暗く見えている。

忍穂井幸夫 (200mm Newtonian, drawing)

6月 6日(UT)

1997.06.06 16h05m(UT)
I=101 II= 41


堀川邦昭 (160mm Newtonian, drawing)

6月 4日(UT)

1997.06.04 18h57m(UT)
I=251.5 II=205.5

  • STBは後方に行くに従って、階段状に南にシフトしている。
  • NEBは北組織が濃く目立ち、notch状のbayによって分断されている。CM右のnotchは明るい白斑状。
  • NTZに輪郭のはっきりしない暗斑がある。
  • 後方にNNTBが垂れ下がっているように伸びている。

6月 5日(UT)

1997.06.05 16h53m(UT)
I=333.8 II=280.8
  • NEBnにかなり濃い暗斑がある。
  • この経度ではNTBの方がNNTBより目立つ。


1997.06.05 18h00m(UT)
I= 14.7 II=321.3
  • SSTBが大きく2本に分かれている。
  • 南側のベルトはSSSTBかSSTBsか不明。
  • CM後方でSTBnがうっすらと見えている。
  • NNTBもCM後方で濃い。

6月 6日(UT)

1997.06.06 16h24m(UT)
I=114.1 II= 53.7
  • RSは赤味があり、何の変化も見られない。
  • 左下がまだ明るくなっているが、RS bayの前端部の傾斜は元に戻っている。
  • EZ内の黒点はCM左はI shadeで、右はIII disk。III diskはやや淡く拡散して見える。
  • 最近のRSは少し小さくなったような気がする。


1997.06.06 17h50m(UT)
I=166.6 II=105.6
  • LEBSの中ではDEが最も明るく、BCはコントラスト不足で不明瞭。
  • SEBは内部がやや明るいが白斑はない。
  • CM後方でSEBnが徐々に現われてきている。


繭山浩司 (200mm VISAC, drawing)

6月 6日(UT)

1997.06.06 16h34m(UT)
I=120.2 II= 59.8
  • RS北側はやや明るい。

1997.06.06 18h22m(UT)
I=186.1 II=125.5
  • SEBはCM付近後方で濃くなる。


張替 憲(260mm Newtonian, CCD-Tech. CCD10)

6月 6日(UT)

1997.06.06 18h10m(UT)
I=178.7 II=117.7

Exp.: 0.65sec
Seeing:5/10
Filter: IR Block(Tokai)
Eyepiece: Or12.5mm


1997.06.06 18h39m(UT)
I=196.4 II=135.2

Exp.: 0.68sec
Seeing:5/10
Filter: IR Block(Tokai)
Eyepiece: Or12.5mm


最新情報
Pic du Midi天文台の公開画像
ガイレオ衛星の地上支援の一環として、Pic du Midi天文台の 6月2日(UT)の大赤斑付近の画像が以下のURLで公開されています。
http://megasn.obspm.fr/gll_pdm.html
Observations related to Galileo C9 orbit

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