ALPO-Japan: Jupiter Section (April 30, 1998)

1998年4月30日の木星

伊賀祐一・池村俊彦・奥田耕司・忍穂井幸夫


April 30, 1998

●SSTBの暗斑はカリスト衛星の影だった
4月26日の忍穂井氏の画像に写っていたSSTBの緯度のω2=350°付近の暗斑は確認できませんでした。堀川氏の情報から第IV衛星カリストの影の経過だった様です(天文観測年表には掲載されていませんでした)。
●SEBZの白斑の活発な活動
ω2=310〜345°付近のSEBZに白斑群が認められます。伊賀のスケッチではSEBZ内に白斑が3個ほど連なっているようです。池村氏の画像・奥田氏の画像では、これらの白斑群はSEBnにかぶさっているように見えます。

1997年には、この経度のSEBZ内に白斑が出現しゆっくりと後退し、またSEBnを前進する白斑も観測されました。これらの前シーズンの活動が継続している可能性があります(昨シーズンのSEBZの白斑はドリフトからはω2=40°付近に達していると予想されます)。

ただ、このSEBZの白斑群の活動は、一見するとmid-SEB Outbreakのようにも見られます。この現象は、SEBZ内に発生した小さな白斑が、数日で急速に前進し、SEBnに広がっていくものです。発生位置には新たな白斑が生まれ、数ヶ月に渡ってSEB全体に波及する現象が見られるかもしれません。今後、注意して観測してください。


池村俊彦 T.Ikemura (310mm Newtonian, Digital Camera NEC Picona)


No.5 1998/04/29 19:56(UT)
I= 3.8 II=327.3
Ds= +1.5゜Dia=35.28"
  • 31cm反射 F29 DR-655フィルター
  • 3°プリズム使用
  • NEC ピコナ 1/7秒

極端な画像処理を適用

コメント(伊賀)

  • SEBのCM付近に白斑群(ω2=314°、330°、343°)。


No.6 1998/04/29 19:57(UT)
I= 4.4 II=327.9
Ds= +1.5゜Dia=35.28"
  • 31cm反射 F29 DR-655フィルター
  • 3°プリズム使用、3枚コンポジット
  • NEC ピコナ 1/7秒

極端な画像処理を適用

コメント(池村)

  • 38コマ撮影しました。木星はかなり鮮明に写っていますが、SSTBに暗斑のようなものはみあたりませんでした。
  • 木星像の中央点の小さな暗斑のようなものがありますが、実在のものと思われます。 フェストーンの一部かもしれません。


伊賀祐一 Y.Iga (280mm Schmidt-Cassegrain, Drawing)


No.5 1998/04/29 19:50(UT)
I= 0.3 II=323.8
Seeing:3/10 Transp.:2/5 x311
  • 4月28日の忍穂井氏の画像に見つかったSSTBのω2=350°付近の暗斑は、20時10分まで追跡したが、見えなかった。
  • 永続白斑が見えている経度だが、確認できない。SSTBの濃化部がCM後方に見られる。
  • SEBはCM後方に濃化部。CM前方のSEBは、SEBcが濃いが、SEBZの北半分は淡くなっている。
  • NEBは二条で、NEBnが濃い。CM後方にNEBnのGap。
  • NTBは分かるが、NTB〜NPRにかけて全体がShade状態。


奥田耕司 K.Okuda (250mm Newtonian, BITRAN BT-01 CCD Camera)


Image#1 1998/04/29 19:47(UT)
I=357.0 II=32.58
No Filter
  • シーイング2/10
  • 眼視ではSEBとNEBが確認できるのみ
コメント(伊賀)
  • 条件が悪い中ではあるが、SEBの活発な活動を捉えている。
  • CM後方のSEBZに濃化部があり、そこから前方に白斑群が捉えられている。
  • STBのCM後方に濃化部があるようだ。
  • 伊賀のスケッチと同時刻の画像。


忍穂井幸夫 Y.Oshihoi (200mm Newtonian, Drawing)


1998/04/29 19:23(UT)
I=344.0 II=307.7
  • 雲が多く、途中から観測不能。
  • 4/28に見えたSSTBの濃化部は見当たらない。
  • NEBnのBarge状濃化部はあまりはっきりしない。
  • SEBのCM後方よりリム付近は、淡くモヤモヤしている。


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