ALPO-Japan: Jupiter Section (June 12, 1998)

1998年 6月12日の木星

浅田秀人・伊賀祐一・池村俊彦・奥田耕司・忍穂井幸夫


June 12, 1998

●STB Oval 'BE'
マージしたSTB Oval 'BE'の姿を捉えました。BEはSTBに湾入した経度方向の長さが10度ほどのOvalとして見えています。浅田氏、池村氏の画像に明確に捉えられていますが、浅田氏の色分解画像から青色光でも明るいことがわかりました。浅田氏のメタンバンドの画像でも明るいOvalとして捉えられています。

BEの直後のSTBのRiftも、画像と眼視でも捉えられています。このRiftはSTBにすっぽりと収まっていて、STrZに開いていないようです。また、FAは健在で、小さいながら、浅田氏、池村氏の画像に捉えられました。

これらのBE、Rift、FAの経度ですが、浅田氏の画像からの計測と、伊賀のCMT観測から下表のようになっています。

SpotAsadaIga
BE285285.1
Rift297-
FA318-

BEの直前のSTZには、2本ほどの暗柱が見られます。また、浅田氏の18h01m(UT)の画像のSTBの左端(画像からの計測ではII=205度)には、Dark Spotが見られます。このDark Spotは、1998年6月4日のPic du Midi天文台の画像に捉えられていたものです。

●Mid-SEB Outbreak
活発な活動を続けているMid-SEB Outbreakの様子を捉えました。SEBの中央を、白斑群がいくつも連なっている姿を、良条件ではっきりと捉えています。浅田氏のCCD画像や池村氏のデジカメ画像をご覧ください。眼視ではとても表現できない様相です。

Mid-SEB Outbreakの活動の先端部は、浅田氏の18h01m(UT)の画像の左端まで及んでいると思われます。この先端部はSEBnだけの活動で、どちらかというと暗斑群が顕著に目立ちますが、いくつかの白斑と入り乱れていると考えられます。

体系II=250から325度あたりのSEBZは、中央に明るい白斑群が数多く連なっています。活動の終端部はII=325度の白斑までと思われます。これより後方のSEBZは、SEBnの暗部でスパッと切られて見えます。この終端部が、この領域のMid-SEB Outbreakの白斑の供給源と考えられます。


浅田秀人 H.Asada (305mm Newtonian, MUTOH CV-04 CCD Camera)

Asada CCD Image JPEG 26KB
Original Image
Asada CCD Image JPEG 10KB
極端な画像強調を適用(伊賀)


久しぶりに永続白斑付近を観測しました。眼視観測が皆無に近く、画像から見た特徴だけ記します。(I,R,V,B,CH4各band)

  • BEはBで単独のoval状。右下(北、後方向)にW-Areaが見える。
  • Rで二つの明域はほぼ繋がる。Iでは短いstreakで2明斑が結ばれている様子。
  • CH4では、BEが明るく、右下の明斑はSTrZに開いたnotch状。

色分解画像
(クリックすると原画像が見られます)
※注(伊賀)

左は各種の波長による画像です。I,R,V,B,Methaneのそれぞれの波長を使用しています。

マージしたBEはメタンバンド(CH4)で明るいのですが、さらに青色光(B)でも明るく見えています。これまでの永続白斑とは挙動が異なるようです。マージの影響が現われていると考えられます。


池村俊彦 T.Ikemura (310mm Newtonian, Digital Camera NEC Picona)


No.25 1998/06/11 19:24(UT)
I=290.3 II=285.9
31cm F5 ニュートン
F39 2゜プリズム
NEC PICONA 1/7秒 3枚コンポジット

極端な画像処理を適用(伊賀)

※注(池村)

SEB内の白斑列がよく見えて、右端のものがとくに大きく、明るく、これが、ストレス解消によく効いたようです。

赤道付近のフェストーンが異常に長くまっすぐに伸びていて、何か胸騒ぎを感じます。


No.26 1998/06/11 19:30(UT)
I=294.2 II=289.7
31cm F5 ニュートン
F39 2゜プリズム
NEC PICONA 1/7秒 3枚コンポジット

極端な画像処理を適用(伊賀)

※注(伊賀)

今回の左の画像は、池村氏自身の作成されたアンシャープマスクのプログラムで処理されたものです。

この日はシーイングにも恵まれ、迫力ある木星像が得られています。


忍穂井幸夫 Y.Oshihoi (200mm Schmidt-Cassegrain,Digital Camera NEC Picona)


1998/06/11 18:06(UT)
I=241.9 II=237.9
Seeing:7/10 Transp.:8/10
  • SEBZは淡く抜けた部分が続いている。Mid-SEB Outbreakと思われる。
  • STBはCM後方位置でSSTBと合体している。
  • NEBnのCM後方にBarge-Notch-Bargeがあり、目立っている。
  • NTB・NNTBは良く目立っているが、リム付近でShadeしている。
  • EZは目立ったFestoonはない。


Image#18 1998/06/11 18:41(UT)
I=264.1 II=259.9
NEC Picona 1/7 sec.

極端な画像処理を適用

本日が日曜出勤の代休で休みでしたので、思いっきり観測できました。
午前2時前から5時まで、ピコナ撮像165枚、スケッチ1枚でした。たくさん撮った割にはろくな画像がなく、少々?落ち込んでいるところです。眼視的には、前半はシーイング5/10 4時頃からは7/10とよく見えていたのですが・・・・。

  • NEBn barge-Notch-barge 構造の後方barge-P がCMの画像。Mid-SEB Outbreak の白いヌケがある。
  • 注目の白斑BEが見える経度であったが、眼視的には捉える事ができなかった。


奥田耕司 K.Okuda (250mm Newtonian, BITRAN BT-01 CCD Camera)


Image#19 1998/06/11 18:48(UT)
I=267.1 II=262.8

Image#20 1998/06/11 19:12(UT)
I=281.7 II=277.3

Image#21 1998/06/11 19:27(UT)
I=290.9 II=286.4

Image#22 1998/06/11 19:39(UT)
I=299.9 II=295.4

Image#23 1998/06/11 19:55(UT)
I=307.9 II=303.3

Image#24 1998/06/11 20:05(UT)
I=314.0 II=309.4

極端な画像処理を適用(伊賀)


久しぶりの快晴で時間の経過と共にシーイングが良くなった
Seeing:4-5/10 Transp.:8/10

  • SEBsの暗斑群が良く目立つ
  • SEB中央の白斑群がCM2=200度台からCM2=300度台にかけてべったりと続いている
  • 白斑BEの輪郭は、はっきりとしない
  • FAはCCDに良く写っている
  • NEBが活動的で大型のPlumeとRiftが良く目立つ

伊賀祐一 Y.Iga (280mm Schmidt-Cassegrain, Drawing)


No.15 1998/06/11 18:50(UT)
I=270.0 II=265.8
Seeing:8/10 Transp.:5/5 x311
  • 12日ぶりの観測となった。今シーズン最良のシーイングに恵まれた。
  • Mid-SEB Outbreakの白雲の見事な流れを初めて見た。実際にはこの白雲はもっと微妙な濃淡を持っているが、スケッチに描けない。
  • SEBsはさらに二条に分離して見える。特にCM付近の暗斑群は顕著。
  • 'BE'を初めて眼視で確認した。見事にSTBに湾入したOvalとして捉えることができた。BEの直後のSTBは淡い。これがSTB Riftだろう。FAは見えなかった。BEの20度ほど前方のSTBは一部だけが濃い。
  • NEBnに2個のBargeは顕著である。
  • NTBを初めて二条に見えた。特にNTBnが濃い。
CMT観測
NEBn Barge center 18h50m(UT) II=265.8
STB  BE    center 19h22m(UT) II=285.1


ALPO-Japan HomePage Jupiter Section