上の2枚の展開図は、自作の展開図作成ソフトウェアで作成したもので、以下の浅田秀人氏(CCDイメージ)と安達 誠氏(スケッチ)のデータを使用しました。
※表の日付をクリックするとそれぞれの原画像を見ることができます。
2枚の展開図は、CCDイメージとスケッチの差はありますが、どちらも良く今シーズンの木星面の特徴を表現しています。注目される模様について以下のようにまとめてみました。
White Oval BC,DE,FA
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残念ながら観測条件から永続白斑の経度は明確に捉えられていない。唯一FAがω2=330度に認められるが、BCとDEがマージしたBEは捉えられていない。
FAは2人の5月22日の観測以外に、奥田氏のCCD画像、堀川氏のスケッチ、繭山氏のスケッチに同日捉えられている。
一方、マージしたBEの姿を捉えているのは、繭山氏の5月22日のスケッチのみであるが、STBの明部として観測している。このBEを見出すのは難しいかもしれない。
Mid-SEB Outbreak
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Mid-SEB Outbreakの活動は活発である。ω2=330度付近のSEBsを起点として、白雲がSEBnに向かって経度減少方向に流れ、ω2=230度に達している。さらにその前方のSEBnには2個の暗斑(ω2=205度、220度)があり、これがMid-SEB Outbreakの先端部かもしれない。
さらに、ω2=10度付近を起点として、ω2=350度付近までの領域にも白雲が流れており、これもMid-SEB Outbreakの活動なのかもしれない。
Pic du Midi天文台の5月7日の画像では、ω2=0度を起点として、ω2=240度までの領域にMid-SEB Outbreakの活動が認められたが、5月20-22日頃には両方向に活動領域が拡大している可能性もある。
SEB and STrZ
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大赤斑の直後のSEBsには経度20度ほどの濃化部がある。また、この領域のSEBZにはいくつかの白斑が認められるが、それほど活発な活動ではないようだ。
SEBsは、ω2=190度から240度にかけて暗斑群とその間にSTrZの白斑がいくつか観測されている。また、ω2=20度にも白斑が観測されている。安達氏の観測では。この付近のSTrZにはShadeまたは小さなProjectionが見られ、浅田氏の画像からはSEBsのDark Streakのように見られる。
Gred Red Spot
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大赤斑はかなり淡く、赤味はない。輪郭もはっきりとしていないが、大赤斑の南部だけは濃く観測されている。経度はω2=64度付近に位置している。
STB-SPR
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STBは淡い領域もあるが、全周に渡って観測されている。STBが濃く見えるのはω2=260度から、大赤斑の後方のω2=80度付近までの約180度の領域である。長さとしては昨シーズンと変わっていないが、永続白斑との関係から見ると、全体的に前進しているようだ。
SSTBは、ω2=90度から300度付近まで濃いベルトとして観測されている。ω2=300度から90度までの領域に見えるベルトはSSSTBといった方が良い。
EZ
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EZは全体的に明るいが、EZnにはFestoonが何本も見られる。このFestoonの根元のNEBsにはPlumeに近い白斑が認められる。
NEB
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NEBは昨シーズン前半に比べてずいぶんと細くなった。昨シーズンに最も太く見られた時の、北半分が明化している。そのために昨シーズンはNEBに含まれていたBargeがNTrZに飛び出した赤茶色の暗斑に見える。またNotchはさらに北に位置していたために、NTrZにむき出しとなっている。昨シーズンに観測されたBargeやNotchのいくつかは、今シーズンも健在である。条件が良いと、最も太かったNEBの北の緯度のNTrZに、その残骸が細いBeltとして見られる。
NTB
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NTBも全周に渡って観測されているが、一部の領域で淡くなったりしている。昨シーズンにNTBsに見られたNTC-Cに乗った暗斑(NTBs Jetstream)も観測されていて、昨シーズンからのドリフトの直線上に見事に乗っているものもある。
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