ALPO-Japan: Jupiter Section (May 29, 1999)

1999年 5月29日の木星

伊賀祐一、池村俊彦、奥田耕司、新川勝仁、堀川邦昭
Y.Iga, T.Ikemura, K.Okuda, M.Niikawa, K.Horikawa


May 29, 1999(UT)

●概況
この日は気流も安定し、多くの観測が得られました。第II系で217〜236度の観測で、木星の高度も高くなりようやく細かな模様も捉えられるようになりました。

  • STBは左から次第に南にシフトしてSSTBに合流しています。
  • SEBはほぼ一様に濃いベルトのようですが、CM付近の衛星イオ(I)の左ではSEB内部に濃化部が見られます。
  • EZnの第I系10度付近にFestoonとPlume(白斑)が見られます。
  • NEBは活動的で、CM左のNEBnには2個のBarge状の濃化部が見られ、CM後方にはNEBを斜めにRift構造が見られます。
  • NTrZは明るいZoneですが、所々に明部もあるようです。
  • NTBは1本のベルトとして捉えられました。NNTB以北は全体として濃く感じますが、所々に濃淡があります。

ガリレオ衛星の現象が以下のように見られ、池村氏のNo.1にはSTrZの左端にユーロパ(II)の影の経過、SEBに中央付近にイオ(I)のかげの経過、そしてSEBの右リムの外側にイオの本体が見えます。No.2/No.3のSEBの右端には潜入したイオ本体も見られます。

衛星現象
18h12m(UT) I 影潜入 (イオ)
18h55m(UT) II 本体経過 (ユーロパ)
19h09m(UT) I 本体経過 (イオ)
19h13m(UT) II 影離出 (ユーロパ)

Toshihiko Ikemura (310mm Newton, Digital still camera NEC Picona)

No. 1 1999/05/29 19:03:24(UT)
I= 26.7 II=216.6 III= 40.6
310mm Newton(F5)
TeleVue barow 5x @F=39
6 deg. prism, NEC PICONA 1/7sec
4 images median


No. 2 1999/05/29 19:21:06(UT)
I= 37.5 II=227.3 III= 51.3
310mm Newton(F5)
TeleVue barow 5x @F=39
6 deg. prism, NEC PICONA 1/7sec
4 images median


No. 3 1999/05/29 19:32:08(UT)
I= 44.2 II=234.0 III= 58.0
310mm Newton(F5)
TeleVue barow 5x @F=39
6 deg. prism, NEC PICONA 1/7sec
7 images median

コメント
やっと木星の初撮影です。
1枚目、2枚目のSEB左端に暗い筋があります。衛星の影か、模様かわかりませんが、実在のもので、ごみではありません。
また、CM付近にも黒いものがあり、衛星の影かどうかは、わかりません。衛星が1コ経過を開始しましたから、どちらかが、衛星の影だろうと思われます。
今回は、ゴミを避けるため、コンポジットではなく、メジアンでやってみました。

Kuniaki Horikawa (160mm Newtonian, Drawing)

No. 5 1999/05/29 19h17m(UT)
I= 35.5 II=225.2
Seeing:4/10 Transp:=3/5
160mm Newton x200
観測コメント
  • SEBかなり濃くNEBを凌ぐ、南縁には大きなこぶ状のprojectionが見られる
  • 淡化したSTB部分はshadeされやや暗いが、STrZはかなり明るく白っぽく見える
  • CM前方の2個のbargeは比較的目立つ
CMT観測 (時刻はUT)
1. 1999/05/29 19:13EZN DFESTC1 33.0


Yuichi Iga (280mm SC, Digital still camera NEC Picona and Drawing)
No. 11 1999/05/29 19h19m(UT)
I= 35.4 II=226.2 III= 50.3
280mm Schmidt-Cassegrain, LV15mm @F=45
5 images composite
Seeing:4/10 Transp.:5/5

コメント

  • SEBのCMに衛星の影の経過(右に衛星本体が最初は見えた)
  • SEBは一様に濃く感じる
  • NEBは左にギャップ、北のNTrZに白斑(Notch)、EZnのfestoonの根元が濃い
  • STBは細く見え、CMから南にシフト
  • NTBも細く見える。

No. 12 1999/05/29 19h35m(UT)
I= 46.1 II=235.8 III= 59.9
280mm Schmidt-Cassegrain, x311
Seeing:4-5/10 Transp.:5/5
  • SEBのCM付近に衛星イオの影の経過。
  • STBはCM左で南にシフトしている。
  • SEBは全体として一様に濃いベルトに見える。
  • NEBはNEBsだけが濃く、全体はあまり濃くない。左にNEBnを分断している箇所があり、その北のNTrZに白斑が見られる(Notch?)。
  • NTBも1本のベルトとして見える。


Masahito Niikawa (280mm SC, Digital still camera Minolta DimageEx1500)
No. 2 1999/05/29 19h25m30s(UT)
I= 40.2 II=230.0 III= 54.0

Telescope : C11 (SC) D=280mm fl=2800mm
Camera :Minolta DimageEx1500 Digital Camera
        taking lens removed
Effective F No.: 34 (XP24mm Eyepiece Projection)
Filter: IR cut & Low-pass built-in the camera
Obs.site : Mozuhonmachi Sakai-City Osaka Japan
Exposure : 1/4 sec, 4 images composite
Analog gain:18dB
Seeing:3/10 Transp.:2/6

コメント

  • 薄明中に撮像したため、青がうまく出ていません。よって、色調が少し変ですが、ごかんべんください。


Koji Okuda (250mm Newtonian, BITRAN BT-01 Cooled CCD Camera)

No. 1 1999/05/29 19h37m(UT)
I= 45.9 II=235.6 III= 60.7
250mm Newton
Seeing:4/10 Transp.:9/10

コメント

  • 今期の初観測
  • 低空であるが、まずまずのシーイングである
  • STBは淡いがなんとか確認できる
  • SEBは中央が暗斑状で最も暗いベルトとして見えている
  • EZはN側に大型のフェストーンが目立つ
  • NEBは南北とも活発で、バルジ、ギャップが確認できる
  • NTBは暗くハッキリしており、幅も広い
  • NNTBは淡いが確認できる


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