ALPO-Japan: Jupiter Section (May 31, 1999)

1999年 5月31日の木星

安達 誠、伊賀祐一、池村俊彦、奥田耕司、堀川邦昭、前田和儀
M.Adachi, Y.Iga, T.Ikemura, K.Okuda, K.Horikawa, K.Maeda


May 31, 1999(UT)

●STB Oval 'BE' and 'FA' (merger possible in future)
STBに位置し、マージが予想されている2つの白斑'BE'と'FA'を捉えました。奥田氏、池村氏、前田氏の画像では明確に2つの白斑が捉えられていますが、安達氏・伊賀の眼視観測では不明瞭で、堀川氏が眼視でFAのみを認めておられます。


Okuda's Image

Ikemura's Image

位置は奥田氏の画像からはBEが141度、FAが158度、池村氏の画像からはBEが140度、FAが157度です。BEとFAの間の距離は17度です。BEはわずかに南に位置しており、BEとFAの間にSTBの暗部があり、2つの白斑を区別できます。FAの直後にもSTBの暗部があり、それより後方のSTBはやや濃いベルトです。2つの白斑は今シーズン中にはマージして、1つの白斑('BA'?)になることが予想されています。

以下にその他の木星面の概況をまとめます。

  • SEBは全体として赤味を持った太いベルトとして見られ、所々に濃化部が見られますが、目立った変化はないようです。
  • EZnのI=13度に青いFestoonがあり、その後方のI=20度にPlumeと呼ぶ白斑がペアとして観測されています。
  • NEBはやや細いベルトですが、全体的に活発な活動が見られます。NEB内部を右斜め下に流れるRift構造が見られ、またNEBnにはII=196度とII=216度にBargeが見られます。
  • NTBは細いですが1本のベルトとして観測されています。
  • NNTB以北はShade状ですが、濃淡が認められます。

Kazuyoshi Maeda (280mm Newton, Digital still camera NEC Picona)

No. 1 1999/05/31 19h20m(UT)
I=352.4 II=167.0 III=351.6
280mm Newton
NEC PICONA 1/7sec


強調画像作成:伊賀

Yuichi Iga (280mm SC, Drawing)
No. 13 1999/05/31 19h20m(UT)
I=352.4 II=167.0 III=351.6
280mm Schmidt-Cassegrain, x311
Seeing:3-4/10 Transp.:3/5
  • 注目のBE/FAが見える経度だが、白斑は分らなかった。STBの左にGapがあり、その前方のSTZは明るい。このGapから後方のSTBは40度ほど濃いベルトとして見えている。
  • SEBはほぼ一様だが、左端はSEBcが濃い。
  • EZnに大きなFestoonとPlumeが見える。
  • NEBはほぼ一様に見えているようだ(?)。
  • NTBは1本のベルトとして見えている。
  • NNTB以北はShade状に見える。


Kuniaki Horikawa (160mm Newtonian, Drawing)

No. 6 1999/05/31 19h25m(UT)
I=355.9 II=170.3
Seeing:5-6/10 Transp:2/5
160mm Newton x200
観測コメント
  • FAのみ確認できた、BEは前方のモヤモヤしたshadeの中にあるようだがよくわからない
  • SEBは南半分が濃く、中央部分が目立つ
CMT観測 (時刻はUT)
なし


Koji Okuda (250mm Newton, BITRAN BT-01 Cooled CCD Camera)

No. 2 1999/05/31 19h26m(UT)
I=354.7 II=169.2 III=354.9
250mm Newton
Seeing:3-4/10 Transp.:8/10

コメント

  • STBの白斑BE.FAは眼視では確認できないが、CCDでは後方に暗斑を伴った明部として確認できる
※右図は2倍に拡大した画像で強調処理を適用(伊賀)

Makoto Adachi (310mm Newton, Drawing)
No. 3 1999/05/31 19h26m(UT)
I=356.6 II=170.9 III=355.5
310mm Newton, x400
Seeing:6/10 Transp.:4/5
  • SSTBはあまり目立たない。前日の観測とは大きく異なる。
  • STBにしては南になっており、緯度がおかしい。CM左のSTZに淡い白斑が見える。
  • EBは良く見えている。
  • NEBnのCM後方にはPlumeが見られ、後方も明るいOvalになっている。
  • NEBnの右端にはNotchがある。また後方にはBargeが見えている。
  • この経度ではNTBが濃く見える。


Toshihiko Ikemura (310mm Newton, Digital still camera NEC Picona)

No. 4 1999/05/31 19:32:48(UT)
I= 0.2 II=174.6 III=359.2
310mm Newton(F5)
TeleVue barow 5x @F=39
6 deg. prism, NEC PICONA 1/7sec
7 images composite


強調画像作成:伊賀

コメント
木星の形が変形するシーイングの悪さで、個々の画像はまあまあですが、みな、少しずつ変形した画像をむりやり7枚コンポジットしました。
EZに明るい部分が目立っています。

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