ALPO-Japan: Jupiter Section (July 10, 1999)

1999年 7月10日の木星

伊賀祐一、池村俊彦、薄出敏彦、奥田耕司、新川勝仁
Y.Iga, T.Ikemura, T.Usude, K.Okuda, M.Niikawa


July 10, 1999(UT)

●Summary
大赤斑を通過しているSTBsの2個の暗斑の詳細が捉えられました。STBsの暗斑(#2)はすでに大赤斑を通過し終えて、これまで斜めに細長く見えていたのが、STBの本来の緯度に戻っています。池村氏の画像のNo.25,26、伊賀の画像No.33を詳しく見ると、暗斑(#2)は2個の暗斑に分離しているかもしれません。また、大赤斑の南をSTBsの暗斑(#3)が通過しています。経度はII=64度に位置し、形状はやや楕円形で、大赤斑の周りの渦に沿ってやや南寄りの経路を取っています。この暗斑(#3)の後方はSSTBに達しています。

大赤斑本体は南半分だけが淡いオレンジ色で、コアに相当する部分だけが見えており、大きさは昨シーズンよりもやや小さくなっています。中心位置はII=68度でした。

大赤斑前方のSEBZは、大赤斑の北から赤い模様がSEBsに向けて吹き出しているように見え、一方SEBnはかなり淡化してきました。かろうじてSEBnのエッジが認められます。大赤斑後方のSEBZにはあまり明るくはありませんが、2個の白斑が並んでみられます。これより後方のSEBsは淡化しています。

NEBnには3個のBargeの連鎖(II=70、83、96度)が見られます。NEB全体は斜めにRift構造があちこちに見られ、NEB内部がやや明るくなっており、NEBnのBargeが顕著に見られるようになりました。

池村・伊賀の画像のNTBsにはProjectionがいくつか見られます。もう少し観測数が増えると同定ができると思います。

奥田氏はLRGB合成によるカラー画像に慣れてこられたようです。
薄出氏はST-7のモノクロ画像と、今年から取り組まれているPICONAによる「First Light」画像を報告されました。
新川氏は大赤斑付近だけを拡大した画像を報告されました。


Koji Okuda (250mm Newton, BITRAN BT-01 Cooled CCD Camera)

1999/07/10(UT)
No.16 18h27m
I=150.5 II= 20.1 III=216.4
No.17 18h34m
I=154.8 II= 24.4 III=220.6
No.18 18h43m
I=160.2 II= 29.8 III=226.1
No.19 18h53m
I=166.3 II= 35.8 III=232.1
250mm Newton, BITRAN BT-01, LRGB
Seeing:5/10 Transp.:9/10

コメント

  • SSTBが幅広く濃く良く目立つ
  • STBはかなり淡い
  • SEBはS側が最も濃くN側が淡い
  • NEBはN側にBargeが目立つ
  • NTBは濃く幅広い

カラー合成に使用したフレーム
(JPEG 105KB)

Toshihiko Usude (250mm Newton, Digital still camera NEC Picona and Cooled CCD amera SBIG ST-7)

No. 1 1999/07/10 18h40m(UT)
I=160.2 II= 29.7 III=224.9

強調画像作成:伊賀

200mm Newton(F7) 苗村鏡 Or12.5mm
NEC PICONA 1/7sec 3 images composite
Seeing:6/10 Transp.:5/10


No. 2 1999/07/10 18h54m(UT)
I=168.3 II= 37.8 III=232.9

強調画像作成:伊賀

200mm Newton(F7) 苗村鏡 Or12.5mm, IR-cut(640nm)
SBIG ST-7 0.2sec 2 images composite
Seeing:6/10 Transp.:7/10

ピコナとST-7での木星画像を送ります。 ピントがいまいちで、見栄えの悪い画像ですが、私にとってピコナの「FirstLight」となります。 ST-7画像も相変わらず細部が写りません。両者とも、さらに練習が必要なようです。 それにST-7画像はフラットフィールド補正をかけたにもかかわらず ゴミからと思われる画像ムラが残りました。検討の余地「大」です。

Toshihiko Ikemura (310mm Newton, Digital still camera NEC Picona)

No. 22 1999/07/10 18:47:40(UT)
I=164.4 II= 33.9 III=229.1
De= +3.2 E.Dia=38.66"

強調画像作成:伊賀

310mm Newton(F5)
TeleVue barlow 5x f/43
2 deg. prism, NEC PICONA 1/7sec
3 images composite


No. 23 1999/07/10 19:01:40(UT)
I=173.0 II= 42.4 III=237.6
De= +3.2 E.Dia=38.66"

強調画像作成:伊賀

310mm Newton(F5)
TeleVue barlow 5x f/37
2 deg. prism, NEC PICONA 1/7sec
3 images composite


No. 24 1999/07/10 19:08:44(UT)
I=177.3 II= 46.7 III=241.8
De= +3.2 E.Dia=38.66"

強調画像作成:伊賀

310mm Newton(F5)
TeleVue barlow 5x f/37
2 deg. prism, NEC PICONA 1/7sec
3 images composite


No. 25 1999/07/10 19:18:52(UT)
I=183.5 II= 52.8 III=248.0
De= +3.2 E.Dia=38.66"

強調画像作成:伊賀

310mm Newton(F5)
TeleVue barlow 5x f/37
2 deg. prism, NEC PICONA 1/7sec
3 images composite


No. 26 1999/07/10 19:27:12(UT)
I=188.5 II= 57.8 III=253.0
De= +3.2 E.Dia=38.66"

強調画像作成:伊賀

310mm Newton(F5)
TeleVue barlow 5x f/37
2 deg. prism, NEC PICONA 1/7sec
3 images composite


Yuichi Iga (280mm SC, Digital still camera NEC PICONA)

No. 33 1999/07/10 19h15m(UT)
I=181.1 II= 50.5 III=245.6
280mm Schmidt-Cassegrain, XP24mm(f/39)
NEC Picona 1/7sec, 5 images composite
Seeing:6/10 Transp.:3/5
  • 太いSSTBは大赤斑の南まで続いている。
  • 大赤斑の南のII=67度にSTBsの暗斑(#3)が通過している。かなり濃い暗斑に見える。
  • この前方のSTBにSTBsの暗斑(#2)が見えるが、2個の暗斑(II=32度、44度)に分離している。
  • 大赤斑はオレンジ色のCoreしか見えない。Coreの右側がやや濃い。Coreの中央部の経度はII=69度であった。
  • SEBZは大赤斑より前方では赤いSEBsが目立ち、SEBnは淡くなっている。大赤斑の後方には2個の白斑(II=79度、91度)が見える。大赤斑の後方を囲うSEBs Bayは濃く見えている。
  • NEBnには3個の濃いBargeが連続して見えており、経度はII=73度、86度、99度に位置する。これほどBargeの連鎖に見えるのは珍しい。
  • NTBはCM付近のII=61度まで濃いベルトで、その後方はやや淡い。左端のNTBsにProjectionがII=6(I=136)度が、右端のNTBsに暗斑がII=61(I=236)度がある。今シーズンもNTBsの活動が見られるようだ。


Masahito Niikawa (280mm SC, Digital still camera Minolta DimageEx1500)

1999/07/10 19h32m34s(UT)
I=191.8 II= 61.1 III=256.3
7 images composite


Telescope : C11 (SC) D=280mm fl=2800mm
Camera :Minolta DimageEx1500 Digital Camera 
        taking lens removed
Effective F No.: 25 (XP24mm Eyepiece Projection)
Filter: IR cut & Low-pass built-in the camera
Obs.site : Mozuhonmachi Sakai-City Osaka Japan
Exposure : 1/4 sec
Analog gain:18dB
Seeing:7/10 Transp.:2/6

Image Processing

The Maximum Entropy Method deconvolution after composite of the original taking images. And enhanced with the unsharp masking method.

Comment

土曜日(7/10UT)はなんとか4時頃起きることができ、GRS付近の詳細をとらえることができた(と思っています)

画像処理の領域が256×256ピクセルが限界ですので、通常ですと、ノイズ低減も兼ねてサイズを縮小するのですが、今回は、シーイングが比較的良かったこともありますので、ほぼ原寸で、GRSの周囲のみを切り出して処理してみました。薄明中ですが、薄明の影響はほとんどありませんでした。

シーイングが良いとPiconaとDimageの分光特性の差が少し気になります。


No.22 1999/07/10 19h33m34s(UT)
I=192.4 II= 61.7 III=256.8
11 images composite

No.23 1999/07/10 19h53m00s(UT)
I=204.3 II= 73.4 III=268.6
5 images composite


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