ALPO-Japan: Jupiter Section (September 4, 1999)

1999年 9月 4日の木星

安達 誠、伊賀祐一、池村俊彦、薄出敏彦、嶋田俊之、田中 実、新川勝仁、中西英和、前田和儀、松田昭市、米山誠一, B.Colvile
M.Adachi, Y.Iga, T.Ikemura, T.Usude, T.Shimada, M.Tanaka, M.Niikawa, H.Nakanishi, K.Maeda, S.Matsuda, S.Yoneyama, B.Colvile


September 4, 1999(UT)

●Summary
全国的にほぼ快晴で、多くの観測報告をいただきました。第II系で0度から180度までをカバーすることができました。田中氏(NEC PICONA)と松田氏(Minolta Dimage)は初観測画像です。

大赤斑後方撹乱(Post-GRS Disturbance Region)の新しい活動が観測されていますが、大きく2ヶ所の活動領域に分かれています。大赤斑直後にはII=84度に明るい白斑が見られ、II=107度の暗斑までの間が撹乱状態です。もう一つの新しい活動は、II=109度と122度の白斑を起点として後方のSEBsに流れる明るいStreakです。このStreakは2つの白斑から右上に伸び、SEBsを伝って後方のII=138度付近まで伸びています。今後の成長がどうなるのか、注意して観測してください。

マージの予想されているBE/FAは、BEが101度、FAが114度にあり、経度差は13度に縮小しているようです。2つの白斑の間には逆回転の渦の白斑も健在です(II=109度)。池村氏の画像ではBEは5角形の外形をしており、内部に暗い模様があります。

STrZのII=0度付近の暗斑は8月下旬から観測されているものです(嶋田氏、新川氏)。

NEBは全体的に複雑な形状をしています。所々にNEBnに大きな湾入(Bay)が見られますが、池村氏の画像からその内部には白斑が存在しているようです。また、前田氏の画像の右に見えているII=200度のNTrZの斑点は、これまでのやや淡いオレンジ色から次第に外形がはっきりとしてきており、Little Red Spot(LRS)の様相を呈してきました。


Brian Colville (300mm Schmidt-Cassegrain, Pixcel 237 CCD Camera)

Toshiyuki Shimada (150mm Maksutov-Cassegrain, Drawing)
No. 3 1999/09/04 14h19m(UT)
I=203.2 II= 6.9
150mm Maksutov-Cassegrain, Or7mm x214
Seeing:5/10 Transp.:3/5
  • CM右のSEBsにprojection。
  • SEBsは赤っぽいが、projectionには赤みを感じない。
  • NEBのRiftが顕著。
No. 4 1999/09/04 15h07m(UT)
I=232.5 II= 35.9
150mm Maksutov-Cassegrain, Or7mm x214
Seeing:5/10 Transp.:3/5
  • CM右のSTBに、Dark Spotの名残と思われる暗部がある。シーイングが今ひとつで、詳細はわからない。
  • GRSは前方の方が濃くなっている。
No. 5 1999/09/04 15h45m(UT)
I=203.2 II= 6.9
150mm Maksutov-Cassegrain, Or7mm x214
Seeing:6/10 Transp.:3/5
  • GRSは小ぶりだが、いささか小さく描き過ぎた。
No. 6 1999/09/04 16h56m(UT)
I=298.9 II=101.8
150mm Maksutov-Cassegrain, Or7mm x214
Seeing:6/10 Transp.:4/5
  • BEとFAが見える。FAは輪郭明瞭だが、BEは不明瞭でコントラストも低く、見にくい。
  • GRS後方の活動域に3つの白班がある。活動域には微細な模様が見えるが、シーイングが今ひとつで捉えきれない。

Masahito Niikawa (280mm SC, Digital still camera Minolta DimageEx1500)
1999/09/04 15h04m15s(UT) I=231.7 II= 35.1 III=245.1 16 frames composite
1999/09/04 17h28m25s(UT) I=319.6 II=122.3 III=332.3 12 frames composite
1999/09/04 17h41m30s(UT) I=327.6 II=130.2 III= 40.2 6 frames composite


Telescope : C11 (SC) D=280mm fl=2800mm
Camera :Minolta DimageEx1500 Digital Camera taking lens removed
Effective F No.: 25 (XP24mm Eyepiece Projection)
Filter: IR cut & Low-pass built-in the camera
Obs.site : Mozuhonmachi Sakai-City Osaka Japan
Exposure : 1/4 sec or 1/8 sec
Analog gain:6dB
Seeing:8/10 Transp.:1/6

Image Processing

The Maximum Entropy Method deconvolution after composite of the original taking images. And enhanced with the unsharp masking method.

1999/09/04 16h36m09s(UT)
I=287.8 II= 90.7 III=300.7
13 frames composite

1999/09/04 15h44m44s(UT)
I=293.0 II= 95.9 III=305.9
11 frames composite


Telescope : C11 (SC) D=280mm fl=2800mm
Camera :Minolta DimageEx1500 Digital Camera taking lens removed
Effective F No.: 11 (SC Sub-Mirror Projection)
Filter: IR 88 filter (Approx imaging band 880nm-960nm)
Obs.site : Mozuhonmachi Sakai-City Osaka Japan
Exposure : 1/4 sec
Analog gain:6dB
Seeing:8/10 Transp.:1/6

Image Processing

The Maximum Entropy Method deconvolution after composite of the original taking images. And enhanced with the unsharp masking method.


Toshihiko Ikemura (310mm Newton, Digital still camera NEC Picona)

No. 78 1999/09/04 15:49:56(UT)
I=259.6 II= 62.7 III=272.8
De= +3.5 E.Dia=45.97"

強調画像作成:伊賀

310mm Newton(F5)
TeleVue barlow 5x f/40
3 deg. prism, NEC PICONA 1/7sec
3 frames composite



No. 79 1999/09/04 16:08:18(UT)
I=270.8 II= 73.8 III=283.9
De= +3.5 E.Dia=45.97"

強調画像作成:伊賀

310mm Newton(F5)
TeleVue barlow 5x f/40
3 deg. prism, NEC PICONA 1/7sec
5 frames composite



No. 80 1999/09/04 16:36:02(UT)
I=287.7 II= 90.6 III=300.6
De= +3.5 E.Dia=45.97"

強調画像作成:伊賀

310mm Newton(F5)
TeleVue barlow 5x f/40
3 deg. prism, NEC PICONA 1/7sec
5 frames composite



No. 81 1999/09/04 17:03:18(UT)
I=304.3 II=107.1 III=317.1
De= +3.5 E.Dia=45.97"

強調画像作成:伊賀

310mm Newton(F5)
TeleVue barlow 5x f/40
3 deg. prism, NEC PICONA 1/7sec
3 frames composite



No. 82 1999/09/04 17:45:40(UT)
I=330.2 II=132.7 III=342.7
De= +3.5 E.Dia=45.97"

強調画像作成:伊賀

310mm Newton(F5)
TeleVue barlow 5x f/40
3 deg. prism, NEC PICONA 1/7sec
4 frames composite



No. 83 1999/09/04 18:24:26(UT)
I=353.8 II=156.1 III= 6.2
De= +3.5 E.Dia=45.97"

強調画像作成:伊賀

310mm Newton(F5)
TeleVue barlow 5x f/40
3 deg. prism, NEC PICONA 1/7sec
3 frames composite



Yuichi Iga (280mm SC, Digital still camera NEC PICONA)
No. 65 1999/09/04 15h21m(UT)
I=242.0 II= 45.2 III=255.3
280mm Schmidt-Cassegrain, XP24mm(f/39)
NEC Picona 1/7sec, 4 frames composite
Seeing:5/10 Transp.:4/5
  • STBsの暗斑(#2)が左に見える(II=39度)。横に伸びたような形状である。
  • 大赤斑は南側にやや暗いアーチが見える。中心はII=67度。
  • SEBZの大赤斑前方は、赤味の強いSEBsが目立つ。SEBnは大赤斑を囲むSEB Bayからつながっている。
  • NEBnのCM付近の暗部は細かな斑点の集合のように見える。この後方には白斑がある(II=82度)。
  • NTBsにNTC-Cに乗った模様がCM左に見える。

No. 66 1999/09/04 15h53m(UT)
I=261.5 II= 64.6 III=274.6
280mm Schmidt-Cassegrain, XP24mm(f/39)
NEC Picona 1/7sec, 3 frames composite
Seeing:5/10 Transp.:4/5
  • STBの右にBE/FAが見えてきたが、詳細は不明。
  • 大赤斑直後のSEBZにはやや明るい白斑(II=83度)があり、その後方は全体として淡くなっている。
  • 注目のSEBZのStreakがようやく右に見えてきた。
  • NEB北縁のBayは黄色を帯びていて、内部に白斑があるようだ。


Syoichi Matusda (300mm Schmidt-Cassegrain, Digital Still Camera Diamge E1500)

(強調画像 作成:伊賀)

No. 1 1999/09/04 15:50:30(UT)
I=259.9 II= 63.1 III=273.1

300mm Schmidt-Cassegrain, POWERMATE 2.5x (f/25)
Minolta Diamge EX1500 1/4sec
5 frames composite
Seeing:5/10 Transp.:2/5

観測コメント
早速ですが我慢出来ずに木星画像を1枚送信します。

前線が南へ下がり、つかの間の晴天に撮像しました。
ピントの追いこみがまだ甘いですが、イメージは再現出来たと思います。
尚、画像処理の勝手が理解できず、5フレームコンポジットのみ処理。


Seiichi Yoneyama (200mm Newton, Digital still camera NEC Picona)

No.11 1999/09/04 15:59:56(UT)
I=265.7 II= 68.8 III=278.8
De= +3.5 E.Dia=45.97"
6 frames composite

No.12 1999/09/04 16:11:32(UT)
I=272.8 II= 75.8 III=285.8
De= +3.5 E.Dia=45.97"
4 frames composite

200mm Newton(F4)
LV10mm (f/27)
NEC PICONA 1/7sec,
Seeing:4-3/5 Transp:3-2/5

Enhanced by Y.Iga

観測コメント
GRSの直ぐ後方のSEBZに、今までの私の画像では見られなかった大きく明確な白斑が見られます。CCD上のゴミかと思いましたが、時間とCDDの違う場所で写した画像にも現れているので間違いないと思います。また、GRSより後ろのSEBZの色がかなり薄くなっている様に見えます。

Makoto Adachi (310mm Newton, Drawing)
No. 39 1999/09/04 16h12m(UT)
I=273.4 II= 76.5 III=286.5
310mm Newton, x400
Seeing:7(8)/10 Transp.:4/5

  • GRSはHollowいっぱいに入り込んで見えている。赤味はほとんど感じられない。
  • 伊賀氏から電話のあったSEBZのStreakが右に見えてきた。
  • NTBはかなり幅がある。

No. 40 1999/09/04 16h57m(UT)
I=300.8 II=103.7 III=313.7
310mm Newton, x400
Seeing:8/10 Transp.:4->1/5

  • 大赤斑後方撹乱が見え、CM右に新たな白斑が見える。緯度はSEBの中心であり、後方のSEBcの見え方からMid-SEB Outbreakではないようだ。

No. 41 1999/09/04 17h37m(UT)
I=325.3 II=127.8 III=337.8
310mm Newton, x400
Seeing:8/10 Transp.:4/5

  • STZのCM付近のII=132.6度に小白斑。
  • SEBZのCM左の白斑の右側には明らかに明るいStreakを伴っているが、さらに後方ではSEB南縁の溝に続いている。
  • SEBZの白斑に直後のSEB中央組織がブロックされ、白斑の直後が極端に濃化している。また濃化部の先端は明らかにSEBnに入り込んでいるように見える。
  • NNTBの濃化部がはっきりと見えてきた。


Hidekazu Nakanishi (200mm Maksutov-Newton, MUTOH CCD CV04L and Starlight Xpress MX5-C Cooled CCD Camara)
No.18 1999/09/04 16:12:40(UT) I=273.5 II= 76.5 III=286.5

No.19 1999/09/04 16:18:52(UT) I=277.2 II= 80.2 III=290.3

ALTER8N 200mm Maksutov-Newton, Or12.5mm(f/50)
MUTOH CCD CV04L, L=R=G=B=0.5sec

No.20 1999/09/04 17:05:22(UT) I=305.6 II=108.3 III=318.4

No.21 1999/09/04 17:20:18(UT) I=314.7 II=117.4 III=327.4

ALTER8N 200mm Maksutov-Newton, Or12.5mm(f/50)
Starlight Xpress MX5-C, 0.5sec and 0.6 sec

Comment
薄出さんのST-7画像に刺激されCV04LでLRGB画像を撮りました。
赤外カットフィルターとカラーフィルター(光映社製で最近CCDの仲間内では良く使われるようになってきました。)を使いました。モノクロ、強調処理前、強調処理(ウィナーフィルターとアンシャープマスク)の3枚組みで送ります。また同夜は、MX5-Cも使って画像を撮り比べました。かなり色調の違いがあります。

BEとFAが確認できます。1週間前と比較してあまり変化はないようです。


Minoru Tanaka (250mm Newton, Digital Still Camera NEC PICONA)

(強調画像 作成:伊賀)

No. 1 1999/09/04 16:44:38(UT)
I=293.0 II= 95.8 III=305.8

250mm Newton(F7) 苗村鏡[薄出氏所有] SP12.4mm拡大(f/43)
NEC PICONA 1/7sec
Seeing:5/10 Transp.:3/5

観測コメント
自分なりに何度か試行錯誤しましたが、少しまとも(?)な写真が撮れるようになったのはカメラレンズにスケールのコピーを貼り付けて少しづつピントをづらして撮像した映像をパソコンで一つづつ確認するようになってからです。映像は敏感ですね。わずかなピントの狂いも見逃してくれません。
今回の撮像で痛感したのは、いかにシーイングの良いチャンスを捉えるかという事です。今回お送りした撮像はその中でも何とか使えそうな1枚で同じ条件で撮ったのにこんなに違うものかと考えさせられました。

まずは、処女作送信まで!


Toshihiko Usude (250mm Newton, Cooled CCD Camera SBIG ST-7)
No. 5 1999/09/04 17h28m(UT)
I=319.4 II=122.0 III=332.0

250mm Newton(F7) 苗村鏡 Or12.5mm
SBIG ST-7, L=R=0.5sec, G=0.5sec, B=1.0sec

木星は初めてLRGBに挑戦しましたが、思い通りにいきません。まだまだ、修行が足りないようです。
しかしBE FA と SEBc RedStreakをかろうじて捕らえることができました。

この日は02h(JT)ごろからスタートしましたが、自宅界隈では時間と共にシーイングがどんどん良くなり、薄明を迎えるころピークに達してストンとシーイングが悪化しました。


Kazuyoshi Maeda (350mm Newton, Digital still camera NEC Picona)

No. 44 1999/09/04 18:01:28(UT)
I=339.8 II=142.2 III=352.3
350mm Newton(F5)
NEC PICONA 1/7sec
3 frames composite

強調画像作成:伊賀

No. 45 1999/09/04 18:42:02(UT)
I= 4.5 II=166.8 III= 16.8
350mm Newton(F5)
NEC PICONA 1/7sec
3 frames composite

強調画像作成:伊賀

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