ALPO-Japan Latest

2000/10/22 月惑星研究会関西支部 例会模様

ALPO-Japan Meeting 2000/10/22





月惑星研究会関西支部通信27(安達) 発行2000年10月24日

  
 10月22日に今世紀最後の支部例会を行いました。また,本年最後
いや,今世紀最後ということで二次会は忘年会を行いました。例会には
4年ぶりに安藤さんが復活されて,うれしい会合となりました。以下,
例会の報告をお送りいたします。

◎ 出席者 
    今回の例会には18名のメンバーから出欠の連絡をいただきまし
   たが,最終的には9名の出席と成りました。
  奥田/伊賀/池村/河原/中西/安藤/林/西谷/安達(順不同)

◎ 近況報告
・安藤
    SL9から観測をするようになっていたが,仕事が忙しくここしば
   らくは事実上の休眠状態であったが,今年の皆既月食のときに月を
   見たことと,事務局より木星会議の集録が送られてきたこともあり,
   それをきっかけに復活しました。それまでは自宅で休みの日には
   パソコン三昧をしていた。
    木星観測のほうは10月に入って5日撮った。仕事の都合で土曜日
   と日曜日の2日間しか観測できないが,地道に観測のほうは続けて
   いきたい。
    持参の自作のパソコンで観測器材の紹介をされました。C11とフジ
   のデジカメで撮影されていますが,道路の脇に面しているため震動
   との闘いだそうです。(安達)
・西谷
    息子はテスト中で今日は欠席をします。アスコの21cmには限界を
   感じてきた。新しい器材にかえたいと思い,工事に取りかかってい
   る。(図面を持ってこられていました)現在観測所は3m角のスラ
   イディングルーフの製作にかかっている。器材は30cmのフォーク式
   にかえるつもりだ。観測は天候が悪くなかなか進んでいない。観測
   もあるが,製作に専念しなければならないと思っている。
・奥田
    今朝の3時から4時までBAを見ていた(鏡や!)。BAの存在はよ
   くわかった。土星のほうはまだ3枚しか撮れていない。現在行って
   いるCCDは今回出席の安藤さんに刺激を受けて始めたものだ。
・中西
    今年になって25cmにかえた。20cmでは光量が不足してしているこ
   とを実感した。しかしながら25cmのシュミカセではピントがでなく
   なって困っている。撮影のほうは10枚/1分で撮れるようになった。
・河原
    子供にパソコンをとられてしまったため,画像を撮っても処理が
   できず,困っている。(早ようこうてね!)そのため,あまり撮っ
   ていない。そのため,スケッチにでもかえようかなどと思っている
   くらいだ(^^)安達)。最近は土曜日になると気流が悪くて困ってい
   る。
・伊賀
    観測のほうは80枚撮れている。9/9公開以降忙しくてストップした
   ままになっており,迷惑をかけている。もう直ぐHPを更新しようと
   がんばっている。全面の展開図を8月には3枚,9月には4枚作る
   ことができた。今はほぼ一週間に1回のペースでできている。10月
   分はまだ手がつけられていない。これからがんばりたい。
    前回の例会以後,奈良の荒川さんを仲間に入れた。荒川さんはこ
   の月惑星研究会関西支部の全身である月惑星研究会大阪支部の時の
   古参のメンバーで東亜天文学会の水星金星課の課長でもある。
自宅
   に自作の20cmのニュートンがあり,これで観測活動をされている。
   メッキが古くなっているが,ピコナを置いてきたらこれで観測をさ
   れるようになった。これからがんばっていただけると思う。
   (伊賀さんからの他己紹介でした。荒川さん。よろしくね!)
・池村
    前回の例会から火星と水星の観測を始めた。木星はショット数が
   2500,木星は50枚,土星は30枚画像を仕上げた。その後,ピコナに
   ついては3名から質問を受けている。ピコナはヤフーのオークショ
   ンで,まだ買えなくもない。最近,ピコナのカラーを白黒のCCDの
   チップに付け替えて撮影しているが,カラーよりも感度が高くなっ
   た。チップはメーカーから直接取り寄せたが,結構高く,6000円も
   かかった。しかしながら,土星は解像度の高いものが撮れるように
   なった。東海の3色分解用フィルターを買ったところだ。
・安達 
    木星の観測は46枚になった。気流が悪かったり仕事が忙しかった
   りと,観測ははかどっていない。これといって観測はできていない
   が,最近の大赤斑が濃くなっているのとSEBsが濃くなっていること
   との関係が気になっていて,調べてみようと思っている。

◎ 木星の報告

○大赤斑
   中心は2=75°に位置しており,内部にはコアがはっきりと見られる。
  中心から見て左下の輪郭が見えにくく成っているものの,全体の姿が
  しっかりと捉えられる。中心のコアがはっきりしている分,全体が濃
  くなって見えるようだ。
○BA
      現在,およそ290°にいると思われる。存在は明瞭である。10/10の
    ダミアン・ピーチの画像ではBAの内部やや北寄りに右上がりのフィラ
    メントが認められている。また,同日池村さんの画像でも2つに区切
    られている様子が捉えられている。また,10月19日の画像ではこの区
    切りは斜めではなく,水平に区切られているのが前田さんの画像で
    認められた。10月1日から5日までの間に撮られたカッシーニの画像
    には認められないことから,一時的な変化だと言えるかもしれない。
     BEだったときにも見られたものと同じような形態のものと思われる
    が基本的には永続白斑は一つの渦であり,渦の中にBEやBAの様な区切
    りができることは極めて不思議な減少であり,カッシーニやHSTなどの
    詳しい画像が欲しいところだ。(安達の私見;合体初期には肉眼で一
    つに見えても,実は複数の中心をもつ渦が並んでいるのかも知れない)
     10月1日までに,安達は8月15日には「逆雪だるま」といって,こ
    れと同じ様な現象が肉眼で見えていたと言い張っていた。一時的にで
    きたり見えなくなったりを繰り返しているのじゃないかと。ちょっと
    四面楚歌みたいでしたが(~_~;)。
○STBの暗斑
   昨年から追跡されていたNo.1の暗斑はついに見えなくなってしまっ
  た。No.2の暗斑はまだ広がって存在している。また,大赤斑の後方
  に,新たな暗斑が発生しており,展開図に認められる。
○SEBsの様子
   最近,SEBsはかなり濃くなった部分が目立っているが,暗化した部
  分は2=140〜260°までになっている。
   SEBsは大赤斑の北側を通過後,湾の直ぐ西側でまるでUターンする
  かのように大赤斑の南側を回るように通り,大赤斑の前方へ抜けて
  dark streakを形成し,少なくともBAの直下まで続いているように見え
  る。見え方は最近はやや淡く成ってきたものの,散在は確かめられて
  いる。
   大赤斑の前方20°くらいのSEBsからこのdark streakに向かって
  暗柱ができているが,面白いことにこの模様は2系に対して動きが無く,
  大赤斑と常に同じ間隔を保っている。今後の変化に注目したい。
○SEB全体の様子
   EZsに白雲が入り込むようにへこんだ部分は,9月8日
に2=120°と,
  2=150°の2ヵ所が観測されていた。2=120°に達して止まってしまった。
  この部分は大赤斑後方撹乱のもっとも後方に位置しており,この部分で
  もってSEBの様子はその他の部分とは大きく違った様子に成っているら
  しい。2=150°にあったものも,この2=120°に達すると,見えなくなる
  ことが観測された。
   1=300°に大白斑(GWS)の本体があり,その前方のSEBnの緯度にいく
  つかの暗斑の並んでいるのが観測されている。とりわけ1=300°のGWS
    はSEBを南側に押し上げ,へこんだ姿になっているらしい。さらにその
    GWSの前方よりEZsに向かって青い暗斑が入り込むような流れがあるら
    しい。
     また,SEBからEZnに向かっては逆向きのフェストーンになっていると
    思われる。カッシーニでフェストーン状に成っている画像が公になった。
    
○NEBの様子
   NEBは幅が広く成っている部分が次第に広がってきてお
り,2=180〜
  50°の間は広く成っている。また,それ以外の2=50〜180°の部分はNEB
    にくびれた部分がいくつもある。このくびれた部分,すなわち湾に成っ
    ている部分には東西に蓋をするような淡いベルトが存在しており,いず
    れ,拡幅がこの部分にまで進み,全周にわたって広がるだろうと思われ
    る。このため,NEBの北側に位置するBargeやNotchがNEBに埋りこむよう
    な姿に成るだろうと思われる。
     このような変化は今後も繰り返し起こるのではないかと思われる。
    2=50〜180°はNEBの中央に濃いベルトが見られる。またRiftはNEBの拡
    幅部に見られる。
    
○Riftはなぜできるか(伊賀さんの仮説)
 丁寧にかくと,伊賀さんが今度の木星会議で発表しようとする内容にひっ
かかるため,詳しくは控えますが,成るほどと思われることを見つけられま
した。最近,画像の展開図を盛んに作成されていることから見つけられたこ
とです。
 ・NEBnとNEBsにRiftを作る素がある。NEBsに3個。NEBnにはいくつかが。
 ・NEBの中央にできた白斑がRiftになる。
 ・素になるものが通過するとRiftができる。
 詳しくは木星会議にご参加ください。

○NTBについて
   現在3つの暗斑があり,c-currntにて移動しています。

○NNTBについて
    長さが9°から10°位のBarが見えていましたが,10月になって
   見えにくくなってきました。NNTBは南北ダブルになっており,この
   Barは北組織の緯度に乗っています。そのため,南組織んびできた小さ
   暗斑が次々に追い越していくのが観測されました。

◎土星について
○10/10にメールで流れた白斑について
  メールで注意報が流れた直後に何人かの観測者が確認観測を行いました。
 先入観が入ってはいけないとの池村さんの判断から詳しい状況は流れません
 でしたが,いずれの観測者も確認はできませんでした。OAAからの情報だと
 EZnだとのことでしたが,見当たりませんでした。

○STBについて
  新川さんからSTBがはっきりしてきたように思うとの提案が,メールを通
 して流れました。集まった人達で画像を点検して調べて見ましたが,結論的
 にはSTrZが明るく成ってSTBが良くわかるようになってきたという,新川さ
 んの意見にまとまりました。いずれにせよ,現在のピコナでは撮りにくいよ
 うです。ダミアン・ピーチは明るく成っている部分が緑っぽいと指摘してい
 るようです。

○カシニはなぜ幅が広く写るのか
  この疑問は昔から投げかけられていたもので,撮影すると,決まって幅が
 広く写るものです。
  原因はA環のすぐ内側(カシニに隣接する部分)が輝度の低い部分になって
 いるため,撮影するとこの部分が暗く写ってしまうことが原因でした。例会
 の最中に安達が定規を使ってはかって見ましたが,画像処理をしたものでは
 A環が細く痩せて写っていました。従って,この現象は銀塩で写していたとき
 よりもさらにひどくなったようです。
  ちなみに,今回の例会では新川さんと池村さんの土星の画像にA環の外側
 から1/5の部分に空隙が写っていました。また,天文ガイドでも山野さん
 が同じように写すことに成功されています。しかしながら,A環の中央に強烈
 な筋もでています。1/5の空隙を出す余り,強調しすぎの感じもあります。
 また,B環の外側から1/4の位置にある筋も写っており,すごいと思いまし
 た。多分アマチュアでは初撮影ではないかと思います。処理の仕方や,池村
 さんのように,一部の波長で撮影することで写すことが可能なようです。緑
 や青で写るということです。(この7行は例会では出なかったことで,安達
 が勝手に書き加えたものです)
  また,10月13日のピーチの画像でも写っていました。

○カシニからエンケまで(Sky and Telescope詩の記事から)
  伊賀さんから記事の紹介がありました。1/50の位置にある筋(gap)に
 キーラーの業績を称えて命名したもので,発見者の名前を取ったものではな
 いことがかかれています。この空隙は地上からの望遠鏡では撮影が不可能な
 ものであることも記載されていました。
  また,安達が以前提案した「エンケ帯」のことですが,Sky andTelescope
 では「Enke minimum」と,記載されていました。東亜天文学会の総会のときに
 われわれの先輩である,国立天文台台長の海部先生にこのことで話合いをもち
 ましたが,minimumという言葉は明るさが暗く成っているということを表わす
 為に使われているので,日本語としては適当な訳文は付けられないだろうと
 いうことでした。意味は少し異なるが「エンケ帯」という言葉は適当じゃ無い
 かと思うとのコメントをいただきました。

  1/50の空隙ですが,青で撮ったデジタル画像の輝度をグラフにすると
 1/50の位置にグラフに弱いgapが読み取れるとのことが,例会で実際に
 グラフを見ながら確認できました。このグラフは処理をしていない生画像を使っ
 て作ったもので,青だけで撮影すると1/50の空隙すなわちキーラーgap
  は写るようになる可能性が出てきました。グラフは450オングストロームから
  470オングストロームのグラフをつかいました。
  
○土星の南極
 南極点一体が白雲がかかっているように見えることがよくある。あまりにも
周辺部分であるため,画像処理によってできたもだとして受け付けられない向
きもあるが,どうも気になって仕方がないとの発表があった。今年は南極地方
が良く見えるので,注意して観測して欲しい。

◎デジカメについて
 Sky and Telescopeにでていたシダダオさんの提案で,デジカメを選ぶなら
次のような点に注意して選定するとよいとのことです。

 1 感度の高いもの
 2 読み取り速度の速いもの
 3 なめらかな感度のものを選ぶ
 4 カラーフィルターはカラーRGBよりCMYがよい
 5 フィルター交換がかんたんなもの
 6 フィルターを選んで使うこと
 7 望遠鏡の口径は大きいものがよい
 8 追尾のよい架台であること

 ちなみに合成Fは次の大きさがよいようです。(20から30cmでの数値)
   木星 F20
      火星 F40
      土星 F30
      
◎ 事務局より

○次回の例会は1月21日にします。また直前にアンケートを送ります。
 新年会をします。
   荒川さん/森田さんよろしくね。      



            月惑星研究会関西支部支部長      安達 誠