(滋賀県大津市本堅田4-8-11)
出席者 11 名
安達 池村 奥田 小嶋 薄出 伊賀 河原 風本 白石 林 新井
2002年最初の例会を行いました。今年の1月1日はちょうどうまい具合
に木星が衝を迎え、折り返し点となりました。木星はすっかり高度をあげ、
夕方には天高く昇っています。いよいよ折り返しになったという実感がわ
いてきます。皆さん。観測を頑張って下さい。例会では寒さに負けて観測
数が激減している人もあるようですが、高度が高いのですから、諦めずに
頑張ってほしいものと思います。
今回の例会には、ひさしぶりに大学生(新井さん)の参加がありました。
例会にこれからも参加したいとのことで、大いに期待しています。皆さん
も新しい会員、特に大学生の方の勧誘をすすめていただけないかと思いま
す。後進を育てないと月惑星老人会になりますよ!
また、今回は、池村さんの名前の小惑星が誕生し、懇親会でみんなでお
祝いしました。本当におめでとうございました。
例会は、いつもながら時間が足りなくて、あっという間に時間が経って
いきました。土星のまとめなど、十分にやりきれなくて、積み残しが出た
感じがあります。そのため、うっかりして毎回撮っている記念写真を忘れ
てしまいました。せっかく新しく来ていただいた方もあるのに残念なこと
をしました。
例会にはつぎの方々の参加を得ました。
河原/林/薄出/風本/池村/新井/白石/奥田/小嶋/伊賀/安達
以上、11名での例会となりました。
◎ 近況報告
安達; 昨年以来、パソコンの調子が悪く、というよりも設定が悪く、イ
ンターネットに入れない環境のままになっています。メールのやり
とりはきちんとできますが、HPをみれないために、皆さんに迷惑を
掛けています。観測は、木星がようやく50枚になりました。これか
らは、観測の方にも力を入れたいです。現在、火星の大黄雲の消長
についてまとめを作成しています。
河原; 住んでいるところは気流が非常に悪く、観測できるような状態に
ならず困っており、観測はほとんどできていない。現在は中西氏の
32センチ鏡を研摩している。
林; 今年に入って3回観測をした。3回の観測をとおして思うことは、
南中のときが最も気流が良いということである。今回は、そのとき
の画像を持参した。冬は寒さがこたえる。
薄出; 2年ぶりに例会に参加した。長らく観測活動ができていなかった
ので1からのつもりでこれから頑張りたい。(がんばってねッ!by:A)
望遠鏡を覗いてはいないが、望遠鏡は触っている。現在、25cmニュ
ートンにスカイセンサーを取り付けて作動させるように改造した。
モーターのトルクが小さく、キヤボックスを交換するなど、手を入
れて改造し、ようやく使用できそうなところまで来た。
(これからCCDで頑張るそうです)
風本; 20センチから30センチにグレードアップした。しかし、冬になっ
て、シーイングが悪く、性能を発揮するような状態にはまだであっ
ていない。寒さがこたえるようになり、観測数が減っている。(が
んばらなくっちゃ!北海道はもっと寒むおすえ)連日の新年会だっ
たが今夜が最後なので、これから頑張るとか(ホンマやろねえ)。
それから、望遠鏡をシート被せからドームにかえようと思っている。
THE ABS (The Astro Bakuro Service)
風本さんは沖縄に土地を買って、数年先には観測所を作る計画をお持
ちだそうです。みんなで合宿できるように作ってね。
池村; 火星がメインの観測対象で頑張っている。改造ピコナでの惑星撮
影の元祖です。火星2001年の砂嵐後の火星図を試作し原案を持参し
た。
新井; 初めて参加した。京都産業大学の2回生で天文研究会の会員。学
校では太陽の観測を全体で行っているが、個人的には惑星に興味が
あり、木星のスケッチをしようと思っている。今日はスケッチを1
枚持ってきた。(素直なスケッチをされていました。Aが少しコメ
ントをつけました)望遠鏡は20センチのF4だが、今日は朝から安達
さんの家に来て、F6の鏡が使えるように改造をしていた。(でき次
第、木星を見たい。と、思っているよね!by:A)
白石; 例会の参加は昨年の4月以来だ。観測はやりたいときにしかやっ
ていない。観測は28センチSCでやっている。しし座流星群以来、動
く気になれず、日を送っていたが、昨夜木星を観測した。今後、頑
張りたい。
奥田; 連日の新年会の中を駆け付けた。毎日氷点下の気温で観測は止め
ていたが、10日頃からやりかけた。
小嶋; 仕事では星を見ているが、最近は観測の方はやっていない。ただ、
フィルムで撮るのは撮っている。なんで観測が少ししかできないの
かと考えると、年々仕事量が増えているのが原因のようだ。観測に
使える時間が欲しいと思っている。昨年は骨折をし、厄年だったが
今年からは頑張りたい。
伊賀; 木星を1ヶ月ぶりに撮影した。だんだん南中時間が早くなり、観
測は土曜日と日曜日しかできなくなるだろう。また、最終観測も近
付いてきている。いつも観測よりも画像からの解析に力を入れてい
る。今年は関西で木星会議があるので、テーマを早く決めて発表す
るつもりだ。現在、京都市山科区の自宅の近くに土地があり、そこ
にドームを備えた自宅をたてる計画をすすめている。
木星の報告(伊賀)
前回の例会のあとから、観測がDaylyに集まってくるようになり、たく
さん展開図が作れるようになった。
そのため、いろんな情報を得ることが
でき、新しいことがだんだんわかってきた。これも皆さんのおかげである。
今後ともよろしく頼みたい。12月は特に永長さんが驚異的な活躍をされ
た。
また、海外からも画像が届いている。得に、アントニオ=シダダオさん
やEDグラフトンさんからの画像が届いている。とりわけ、グラフトンさん
からは、BAAのロジャース先生が地上からこんなに良く撮れたものは見たこ
とがないと唸らせる画像が撮られており、驚いた。
展開図は 10月が7枚。11月は4枚。12月も4枚得ることができ
た。今回も前回のときと同じく、展開図をもとに模式図を書いてきたので
それを見ながら解析していくことにする。(模式図を見ながら読んで下さ
い。)
(1)STrZのDark Streakについて
2001年11月10日になって大赤斑の前方にDark Streakが見えてきた。
このDark Streakは過去にもしばしば起こっており、1999年8月や2000年
7月にも同じような形態で発生した。2000年のときは発生から3ヶ月経っ
た9月になって急速に消滅した。これは、1999年も同様で、2=300°の付
近にまで達したあと、約120°の長さになったところで消えた。1999年の
ときは、このDark Streakは前方に位置していた永続白斑BEに繋がってお
り、この位置でSTrZからは見えなくなっていた。
2002年の場合、1月2日になって、大赤斑の前方が消えてきた。そして、
この淡化部はしだいに前方にのびてきている。2000年のときは、Dark
Streakが淡化したあとに中が白くなった暗斑が残って見えていた。ところ
が、今回は10月にすでにこれが見られていた。従って、今回はこのDrak
Streakが見えなくなったあとに、同じように暗斑が見える可能性がある。
今回のDark Streakの前方がどこまでのびているかははっきりしないが、
ダークこれと同じ緯度に極めて細いベルトが位置しているのがかろうじて
捕らえられている。これは、この緯度に大気の流れがあるためで、気流の
良いときにしばしば確認されている。また、同じようにNTrZにも良く似た
流れがある。ちなみに、現在のNEBの拡幅は、この緯度とSEBの間が濃化し
たことと同じになる。
(2) GRSからの後方撹乱領域について
大赤斑から2=130°位までが、いわゆる後方撹乱領域に相当する。今シ
ーズン、比較的穏やかな様子を見せていたが、12月になって活動的に
なってきた。
12月7日、SEB内部に白斑が出現した。さらに12月16日の直前に
も白斑が出現し、白斑は2個になった。前方の白斑は前方に広がり、大
赤斑後方で撹乱状態になった。1998年に起こったmid-SEB outbreakと似た
ような状態であるが、今回の白斑の発生した位置は、過去のmid-SEB
outobreakの発生したところとは離れており、違った現象だと思われる。
注釈 例会当日は、伊賀さんから、この付近の基本的な気流の状態を説
明していただきました。
(3) 永続白斑BAについて
2年2ヶ月ごとに大赤斑を追いこしていくことになるが、現在、まさに
大赤斑を追いこそうとしている。またBAのすぐ後方のSTBにはちいさな白
斑が相変わらずついている。この調子で進むと、BAは2月中旬に、大赤斑
の真上にやってくることになる。通常、大赤斑に接近すると、永続白斑は
接近スピードが加速される。しかしながら、今年は、加速されることなく、
現在にいたっている。
過去、大赤斑の真上を通過すると、永続白斑はなにがしかの変化を見
せているので、今後、この地域の観測は重要である。
(4)NEB Bargeについて
現在もNEBは拡幅したままだが、部分的に細くなる傾向が見られてきてる。
まず、Bargeと同緯度にあるNEBの北組織が、今まで以上にはっきりして
きている。そして、その、NEBの北組織と拡幅された位置にできたNTrZの
バンドとの間に淡化した白斑のような明部ができてきている。
現在、Bargeは7個。notchが6個確認されている。画像から、これらの
Bargheを追跡していると、興味ある現象を捕らえた。2001年8月25日に
1つのBarbeが急に前方に移動したかのようになり、さらに前方にあった
Bargeと合体(マージ)したのである。このままいくと、さらに前方にある
Bargeにマージしそうである。原因は2=150°付近に白斑の出現するポイン
トがあり、この位置にたまたまBargeがいたとき、後方に白斑が出現したた
め、前方に押し出されたらしい。今のところ、そのように見える。
この2=150°付近は白斑の発生ポイントであり、最近はここで起こってい
るNEBの大きなRiftはALPOで盛んに論議されているようにNEBのDisturbance
(撹乱)ではないかと思うようになった。
注釈 おそらく、木星会議で、伊賀さんからくわしい発表があるものと思
われます。
余談
木星観測者が待ちに待っているもの、それは、SEB大撹乱のきっかけ
となる「1」の字の形に形成された暗柱を誰よりも先駆けて発見すること
である。これは、過去に例もあるが6cm屈折でも発見できる現象である。
木星がこのようになるには、まず、SEBが淡化し、南半球が白いノッ
ペラボウになり、その中に鮮やかな赤のGRSがポツンと見えるという状
態になり、しばらくして突如SEBに「1」の字のような暗柱が出現する。
その南側は右へ、北側は左へ、黒い部分が流れ出てSEB全周に亘って広
がり、元のSEBの状態に戻る。
この現象が起こる頻度は5年〜10年に1回であり、前回は、1993年で
あった。そろそろ起こっても良い時期と考えられる。現在、SEBの色は
赤みが消えてやや薄くなってきている。しかし、GRSの色が薄いので、
近々にSEBの淡化が起こるような様子ではないと思う。
(伊賀)




火星の報告(池村)
火星はいよいよ5秒台になり、観測はますます厳しい状況となった。し
かし、まだまだ観測はできており、気流の良いときの画像を処理すると、
模様がまだしっかり出てくる。気流が悪くなって状況は不利だが、まだま
だ観測は続けてほしい。
今回の黄雲の発達は、スタートは6月だが、事実上の本格的な火星の大
黄雲は7月から本格的になったと考えられている。BAAのリチャード=マッ
キムさんからは、池村さんの画像についてのコメントが入っており、火星
面の状況も大体把握できている。大黄雲は約105日間15週にわたって
活動したが、ようやくおさまり、模様が見られるようになった。
また、現在、大黄雲がおさまってきてから得られた画像をもとに、2003
年から2004年にかけての接近に使えるように火星図を修正中で、現在の状
況をプリントし、参加者に配付しました。まだ、確定ではないので、会員
のすべての方に送ることはできませんが、出来上がったら、火星図を公開
する予定です。
修正済み火星図 上図2002/01作成 下図修正前
画像を整理しながら気付いた火星の変化を示すと、つぎのようになります。
1 Solis, Daedaria(ソリス、ダエダリア)付近の変化。
ソリスは北西の方に移動したかのように見えていますし、ダエダリアの
付近は1973年のときの大黄雲の発生後にできた大きな暗斑と同じような
暗部が発生しているようで、暗くなっています。また、この地方から南
方の高地も暗くなってしまいました。
2 Syrti Major(大シルチス)
有名なシルチスはやせ細った形になり、右に片寄って(西に片寄って)
痩せこけた形になっている。
3 Deucalion(デューカリオン)
サバ人の湾とパンドラー海峡の間の部分だが、この部分がシーズン始め
と比べて、少し暗くなった。
4 Hellas(ヘラス)東北東あたり
1930年の海老沢さんの火星図の状態に近くなってきた。
(以上池村)
修正中の火星図では、ダエダリア付近が線状の様にみえるが、このあた
りから南極方向に徐々に暗くなるように修正すべきである。暗い線の様に
見えるのは良くない。(安達) 修正するとのこと。(池村)
大黄雲の成長過程(安達)
会員の皆さんから集まった画像を中心に、大黄雲がどのように変化して
いったかを整理しおり、中間発表として公にしました。まだ途中であるた
め、簡単に書き留めます。完成したら、レポートとしてHPに公開します。
1 大黄雲発生前のダストベール
6月になるまでの5月からの画像を確認すると、デューカリオンから西
に向かって、風に乗った淡いダストがのびているのが見られる。2回観
測されている。このことから火星には偏東風が見られる。この流れでい
くと、今年は非常に明るかったAusonia(アウソニア)から、ヘラスの方
向にダストベールが広がってもおかしくない。
2 ダストベールは大気温度を上昇させた
大気の温度があがり、偏東風の流れが乱された。そして、温度のあがっ
たところを中心にゲリラ的に黄雲が発生した。発生した場所は3箇所あ
り、ヘラス。続いて、チュレニーさらにリビヤとなり、ヘラスの発生が
最も早く、6月23日が発生日時と考えられる。
ただ、例会では言わなかったが、小規模のものが、いくつかこの直前
に起こっており、発生に日時を決める必要はなく、BAAが指摘するように
7月から本格的に広がったという方が事実に即応している。
3 大黄雲は3波に分かれて広がった
初期はアウソニアにいくが、その後、アウソニアからそのまま東にいく
もの。赤道付近を東に移動する2波。さらに、アエテリア付近に第3波
これも東進した。
4 大黄雲は南極地方を横断した
アウソニア付近から南極地方に侵入し、その後、南極点付近を通過し、
アルギレ1の南方に姿をあらわし、ヘラス方面へと進行した。
その他の現象から
・1971年、1956年の黄雲ではデューカリオンを発端に西方向(右)に広がっ
たが、今回は主に東進(左)している。
上層と下層は風向きが逆だったのではないか。
・2001年の火星の塵嵐発生は、火星の南半球の春分の時期で、たいへん
早い時期であった。
・南極冠極大時期には水蒸気雲のベールが長期に亘って南極冠を蓋っていた。
・砂嵐内部では温度が高いので、水蒸気分は気化し、そのためオリンポス山
等は雲が発生せず、塵嵐雲の上に突き出した部分の直接地表、岩肌が見え
て黒く見えた。
・火星の表面では地球の約1/50の大気圧で、風に巻き上げられる塵嵐の粒子
は0.1〜0.2ミクロンとたいへん小さい。そのため、青色光も反射するため、
強い吹き上がり(輝点)では、青色光でも明るく写ったと考える。
以上のようなところが、今回の中間発表で、これから、まださらにいく
つかの課題を分析する予定。
土星について(池村)
2001/10/18 にアメリカ フロリダのEd Graftonが撮影した土星南極部に
白い小さなリング状のベルトがあるのを池村が見つけた。
新川氏が10/31に撮影に成功し、池村も11/10に撮影した。風本氏の11/22の
画像に確認できた。国立天文台にメールで伝えたが、どう扱ったら良いのか
困惑されているとのこと。2002/01/06にも池村が撮影に成功した。
微細な構造なのでシーイングが悪いと写らないので、追跡撮影が困難。
木星会議について 2002年6月15日(土)〜16日(日)
今回の木星会議は、和歌山県かわべで行われますから、なるべく関西方
面在住の支部会員は参加をお願いしたいと思います。
会議の参加費用は1泊2食(宿泊費、参加費、食事込み)で、
社会人12000円 学生8000円の予定です。例会ではもっと詳細な項目も検討
してみましたが、開催会場を担当する小嶋さんの方で決定した時点で皆さん
にお知らせいたします。天界や天文雑誌などへの案内掲載の原稿は安達の方
から送ることになりました。また、収録ですが、基本的にはCD-ROMを作成し、
冊子としては、そこから白黒印刷により安価に作成する。また、参加者以外
の希望者にはCD-ROMを送る方向ですることになりました。金額的にも非常に
安価で、編集作業も容易であろうということです。
東京などの遠方からは大変ですが、なるべく多くの方に参加していただけ
るよう、早めに呼びかけ、参加費、旅費を積み立ててほしいと思います。特
に大学天文連盟のメンバーには頑張ってほしいです。
事務局から
◎ 懇親会/祝賀会
今回の例会は新年会と小惑星池村の誕生祝賀会をかねて行いました。9名
になりましたが、近所の「見聞録」という店でやりました。大変盛り上がり、
楽しいひとときでした。改めまして池村さん、おめでとうございます。
◎ 次回の例会は4月です。近日中に日を設定して提案いたします。
◎ 名簿の送付
事務連絡でお知らせいたしましたように、名簿を作っています。近日中に
発行します。例会に欠席されたところに全戸配付いたします。
◎ 年会費
小嶋1年/薄出3年/河原2年/奥田1年/新井1年受け取りました。
また、別便で、菅野さん1年分領収いたしました。未納の皆さん、よろしく
お願いいたします。
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月惑星研究会関西支部支部長(東亜天文学会理事・企画部長)
安達 誠
520-0242 滋賀県大津市本堅田4-8-11
@「jh3svw@yahoo.co.jp」@
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