ATK-2C ATK-2HS について 池村俊彦
30年来楽しみにしていた6月8日の金星の日面通過が、終日雨で、全く見られず、落ち込んでいました。
オランダのラルフ・バンディバがATK-2Cで天王星 の興味深い画像報告を多く送ってくるのを見て、自分を奮い立たせるため、
思い切って、焼け買いしました。 カラー白黒、1コづつ2個を買うことにしました。
ネットで見つけたアメリカの代理店で、販売価格は1個499ドルと表示してありました。輸入代行サービスを利用して発注し、
約2週間で届けられました。
ATK-2C と ATK-2HS
CCDは ICX-424AQ ICX-424AL 両方ともピクセルサイズは7.4uM
このカメラはToUcam2型に手作業で改造を加えて長時間露出を可能にしたものです。
840Kの基盤にICを2個追加したため、発熱を懸念してファンをつけたと思われますが、常温を保つ程度のもので、氷点下までの
冷却ではありません。撮影レンズや赤外線カットフィルターは付いていません。 CCDチップの表面保護ガラスが直接見える状態
になっています。
Tマウント(42mmピッチ0.75)メスネジに、31.7mmのアダプターが付いていて、接眼部に差し込めば、すぐに使える状態になって
います。黒の4mのシールド8芯ケーブルがついて、先端にUSBとシリアル25ピンコネクタが付いています。
1コマの露出は0.5秒以上、たぶん1000秒でもできると思いますが、1コマ0.5秒以上の露出の場合はシリアル接続が必要です。
0.2秒以下の露出の場合はシリアル接続は不要で、ToUcamのVrecord がそのまま使えます。
夜間の撮影では黒いケーブルは見にくく、4mと長いので、誤って引っ掛ける恐れがあります。
直焦点と拡大撮影をするために、Tマウントで接続できる2種類のアダプターを自作しました。
9月10日頃に届いてから、ずっと天候が悪く、隣地の夜のくさむらを撮影して調整、練習をしました。
ピクセルサイズが7.4ミクロンと大きいので、レデューサをつけたのと同じ効果になり、ToUcamとの公平な感度比較は難しいですが、
M57を31cmF5直焦点で、撮影したところ、
ToUcam 1/5露出では全く見えなかったので撮影すらできなかった。
ATK-2Cカラー 1/5露出では存在がわかり、なんとか撮影できた
ATK-2HS 白黒 1/5露出ではリング状に見え中心星が1コ写った
ATK-2HS 白黒 4秒露出120コマで、かなり立派に写り、中心星が2コ写った
(これはATK-2HS 4秒露出120コマを撮影し、ホットピクセル除去、市松模様対策をした後、レジスタックスでコンポジットしたもの)
天王星
ToUcam 5fpsでは小さくて写しにくく、満足に撮影できたことは一度もなかった。
ATK-2Cカラー ToUcamより明らかに感度が高く大きく撮影でき、まあ、満足な画像を得られた。
(ATK-2HSでは撮影しなかった)
金星の紫外線撮影ではToUcamと同じレンズ、フィルターを使用して撮影した。
ToUcamでは露出1/10がやっとで、ほとんど1/5で撮影した。
ATK-2HSでは1/30でもゆとりで撮影することができた。
これらのことから、ATK-2CカラーはToUcamより感度が2倍ほど高くATK-2HSはさらに2倍感度が高いと思われる。
ただし、
ATK-2C ATK-2HSともゲインをあげて長時間露出をするとホットピクセルが25から40も現れる。これを消す方法が必要であること。
(ATK-2C でキャップを閉めて、ゲインをあげて撮影したもの ホットピクセルがいっぱい)
ATK-2HSの白黒は画像処理においてカメラ内部で一部カラー処理の部分があるようで、赤、青ピクセル相当のピクセルがやや明るくなり、
拡大すると市松模様になっていることがある。
これらの不具合を補正する処理など、完全にフォローすればということです。
実はメタンバンドで木星を撮影したいと思って購入したのですが、注文したフィルターは受注生産でまだ入手できていません。
これで木星のメタンバンド像が撮影できるのか、実際に撮影してみないと、わかりません。
奥田さんによるとメタンバンド撮影は4秒〜10秒以上の露出が必要とのこと。
シリアル接続で撮影する必要があり、シリアルポートが付いているノートパソコンを、また、買わなくちゃならない。
お わ り
2004/10/17支部通信議事録に戻る