1999年 1月13日の火星

新川勝仁(Masahito Niikawa)


観測レポート(新川勝仁)
1/13は、冬型の気圧配置で、風が強く架台が揺れ、一方シーイングも最悪に近い状態であった。シャッターチャンスになかなか恵まれなかったが、それでも1.5時間ほどねばって、60コマ程度撮像できた。

そのなかで、比較的ましな4コマを選んで、最大エントロピー処理の後にコンポジットし、最後にアンシャープマスクをかけて仕上げた。

2枚目を撮像したころは、シーイングも少し悪化しており、コンポジットする画像同士の相関が悪く、5枚程度のコンポジットではノイズが取れていない。

火星はまだ遠く、視直径は6秒台だが、それでも、北極にかかる雲(写真下;火星歴からすると北極冠はすでにかなり小さくなっているはずで、これは北極部にかかる雲と思われる)、大シルチスおよびヘラスにかかる雲(写真左上)をとらえることができた。アリンの爪は、写真右上にかろうじてその姿が認められる。



Xephem3.0によるシミュレーション画像
(作成:伊賀)
1999/01/13 20h56m10s(UT)
Seeing:4/10 Transp.:4/6
CM=295 De=+20 Dia.=6.8"
4 frame composed
280mm Schmidt Cassegrain
Fuji Film Digital Still Camera DS-8
Or18mm Effective F=41
Exposure 1/4 sec.
Filter=IRcut + LPF

Xephem3.0によるシミュレーション画像
(作成:伊賀)
1999/01/13 21h39m31s(UT)
Seeing:2/10 Transp.:4/6
CM=305 De=+20 Dia.=6.8"
5 frame composed
280mm Schmidt Cassegrain
Fuji Film Digital Still Camera DS-8
Or18mm Effective F=41
Exposure 1/4 sec.
Filter=IRcut + LPF


今年はArabia(アラビア)の中央付近が例年よりも濃く感じられます。画像の強調処理の影響が出ているのかもしれませんが,全体的に見て例年よりも濃くなっているのではないかと思われます。まだ,視直径が小さく,断定はできませんが,この画像を見ると,ますます。その様な感じを強く受けます。

HELLAS(ヘラス)が白くなっているのは明らかにこの盆地に発生した霧です。火星の霧はこの様に非常に白く見られます。視直径が大きくなると,乳白色の霧の下に本来の模様の見えることもよく起こります。どの場所がいつごろ霧に覆われるか注意して記録したいものです。(文責安達)


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