今年の北極冠の消失ストーリー

池村俊彦

1999年 1月24日


火星の北極冠の大きさの予想は、
   LS343゜(1998/6/11)頃に最大径 半径33゜だったと考えられます。
以後直線的に縮小するものとして、
   LS145゜(1999/5/27)頃に消失  半径0゜と、とりあえず考えられています。

LS84.5゜(1999/1/16.4)はここから算出すると半径13.5゜となります。これは、火星図の北極付近の、いちばん極の近くをリング状に取りまく黒い模様のすじよりやや大きめです。1997年の写真から北極冠の様子を良く見たところ、LS70゜付近から急激に縮小し、消失次期は、ほぼ同じ時期と考えられます。このことから、北極冠の半径は直線的ではなく、急に縮小し、半径5゜、3゜あたりで にぶり、LS 145゜の頃に忽然と消失というストーリーで、考えてみました。

Ls日付直線式予想1997年を参考に作った
2次式の予想
70゜ 1998/12/15 半径 16.5゜ 16.2゜
75゜ 1998/12/27 半径 15.4゜ 14.2゜
85゜ 1999/01/18 半径 13.3゜ 10.7゜
95゜ 1999/02/10 半径 11.3゜ 7.7゜
105゜ 1999/03/04 半径  9.2゜ 5.2゜
115゜ 1999/03/26 半径  7.2゜ 3.3゜
125゜ 1999/04/17 半径  5.1゜ 1.9゜
135゜ 1999/05/07 半径  3.0゜ 1.0゜
145゜ 1999/05/27 半径  1.0゜ 0.7゜
146゜ 1999/05/28 半径  0.0゜ 0.0゜

計算式

LSの範囲 343゜〜145゜ χ=145-LS として χが負の値のときは360を加える

@直線式 0.20625 χ+1.0 1998/06/11 に LS 343゜のとき 北極冠最大半径となり、半径は 33.4゜で、以後直線的縮小する。

LSの範囲 70゜〜145゜のときのみ 次の2次式に移る χ=145-LS として
A2次式 0.0026555 χ*χ + 0.00708333 χ + 0.7

@Aとも最後に1.0 0.7 を加えているのは、シミュレーション上消失日に惚然と消えるようにする為と、0.3゜は4捨5入されて0となるので、消失日を不定にしないようにするため。

果たしてこのようになるでしょうか。それとも偏心によるふらつきが出るでしょうか。

とりあえず、1/16の私の火星は、LS 84.5゜  直線式 半径13.5゜よりは、2次式 半径10.9゜により近いと思われます。HPに掲載してある1999年接近の様子AVIは直線式の方です。

また、計算上、南極冠が5月末から見え始める事になっています。中央緯度が北に偏っているので、見え始めた時期がわかると、そのときの南極冠の大きさが測定できる事になります。入梅直前ですが、これも確かめたい。観測で確かめることとなります。我々上空の雲も、火星の北極雲も少なめになることを祈ります。みなさん、たくさんの観測をお願いします。