木星観測報告 6/7〜7/18
九条観測所: 浅田秀人
- 木星96 レポート4 (7/21)
- 6月〜7月18日の長期にわたるレポートで、やや長めです。
- 注目点は、RS後方のSEBZの明部のその後、EZn〜NEBsの濃いfestoonとその根元、及びそれに続くNEB内部の複雑な様子です。
各部の概況(南から)
SPR〜SSSTB:
- 連続した濃部。NPR付近に比べるとやや暗い。SSSTBがSPRに増して濃度があるように見えることがある。
SSTZ〜STZ:
- SSTZは悪条件でない限り薄明るいZoneとして見える。
- SSTBは全周で安定したBeltである。II=290付近からやや南にシフトしている。
- 7/13,15,18にSSTB上の2個の白斑を見ている。比較的見つけやすく、位置はII=42.8(7/13 CMT)とII=30.6(7/18 CMT).
- STZはSTBが濃い部分と同じ経度で濃度がある。II=10〜190付近では明るい。
STB:
- 始まりはRS後方のII=100付近と思われる。STBはここから長い経度で北縁のみが見られ、195から後方で通常の太さ。白斑DE付近から濃度を増し、315付近では南に膨れ幅がやや太い。その後ろで南へシフトして、II=10付近で消滅。
永続白斑等:
- 衝を挟む期間で、各白斑は見つけ易い。最も目立っているのはDEで、明るく大きい。FAは相変わらず小さい。FAの直前のNotchはやや衰えたか?
CMTの結果 |
観測日 | BCM/TH> | Notch | DE | WS | Notch | FA |
7/12 |
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| 250.0 | 260.9 |
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7/14 | 211.3 | 219.8 | 231.3 |
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7/17 |
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| 269.2 |
STrZ,RS:
- STrZは今なお明るいが、シーズン当初に比べるとやや暗くなったか?
- RSはアーチに取り囲まれている。相変わらず南半分が色濃く、橙色より更に濃い。
- 位置はCMTで、6/16:II=59.3 , 7/15:II=59.7 今尚ゆっくり後退している。
SEB:
- RS後方のSEBZの明部について:
- 4月下旬からとらえている明部、原因のひとつは、RS直後のSEBnが一部で淡化し、北縁だけを残した湾状になっており、元来明るいSEBZの幅が広がって見えていることであろう。(変化が激しく、7/18にはSEBnの淡化は元に戻っている。)
- しかし、透明度が良好な時は単に広いというだけではなく、その部分に明るさを感じる。
- この明部との関連は不明だが、RS直後のSEBsが7/13から急激に淡化している。
- 7/13はSEBs南縁の小規模の湾としてとらえた。7/15にはSEBsの淡化の規模は大きくなり、見方によってはSEBZの明部が南側に広がり始めたようにも見える。
- SEB全体について:
- 活動的なNEBよりもやや太いBeltである。SEBs,SEBnともに太くなっている為か、RS近辺を除けば、SEBZがやや狭く感じられ、悪条件ではZoneに見えない部分もある。
- 濃度はSEBsがやや濃いが、あまり差はない。
- STrZ側に開くBay(STrZの白斑)はいくつか有る。
- 7/15に次の3個につきCMTを得ている。 II=296.4(小型),II=315.2(中型),II=7.2(大型)
EZ:
- EZn〜NEBsの濃いfestoonについて:
- EZ全周で2,3個、極めて濃いfestoonがある。Festoonの自転周期を測った経験がなく、いずれが同一なのか判断に苦しいところである。
- 共通した特徴は根元の色が木星面上で最も暗く、SEBsの最濃部と同等。また根元の北端はNEB深くに達しており、深いものではNEBの緯度幅の1/4に及んでいる。
- NEB南縁は濃いfestoonと接する箇所で、南側に湾を形成しているように見られる場面が多数ある。
- 更に、festoonの根元の部分からリフト状の模様がいくつか見られる。比較的暗く、右下がりの長いリフトが見られる。見方を変えればNEB全体が右下がりの縞の集合体のようである。
- EZ全般について:
- 濃いfestoonの他にも、festoonは数多い。EBは所々切れ目はあるが、ほぼ全周に及んでいる。
- EZnは結果的に随分暗化している。シーズン前半に見られた明るく大きなOvalは数少なく、ovalに代わり、小型で明るいPlumeが所々に立っている。
- 一方、EZsは少し明るさを落とした感じである。
NEB:
- 最近の特徴は前述のとおり。6月中旬頃までは、北部に淡化部や「うねり」が見られ、所々細い部分があったが、活動的になってきた今は濃淡こそあれ、北縁も凸凹状ではなく、ほぼ直線状に近く、結果的にNEB全体としては太い状態に戻っている。
NTB:
- NTBは6月上旬から太い部分、細い部分が見られ、活動的である。
- 6/15,16から明らかに北側に膨らんだ部分を見ている。
- 7/12にNTBは2条のBeltに見えた。II=255以降、長さ90以上に及んでいる。上記と経度位置がほぼ同じことから、おそらく太くなったBeltの中間がやや淡化して、南北2条に分離しているものと思われる。 尚、7/13には105〜130、7/14には220〜250の箇所でNTBのすぐ北側に淡いBeltを見ている。
NTZ以北:
- 何もとらえていない。
305mm(反射) 眼視観測(280x)+CCD / 九条観測所(京都市)