3年前、シューメーカー・レビー第9すい星(SL9すい星)が木星に衝突した際と同様の木星の模様が、17世紀末にも19日間にわたって観測されていることが、日本のアマチュア天文家と国立天文台(東京都三鷹市)の研究で分かり7日、同天文台で記者会見して明らかにした。
木星とすい星の衝突は計算上は以前にもあったと考えられていたが記録はなく、今回の発見は初めての記録として注目される。 発表したのは、木星大気の研究に取り組んでいる横浜市の会社経営、田部一志さん(40)と国立天文台の渡部潤一助手(36)。 田部さんは昨年7月にパリ天文台を訪れ、木星観測の資料を調査。同天文台の初代台長を務めたジャンドミニク・カッシーニ(1625-1712)の記録中に、SL9すい星が木星に衝突した際にちりが舞い上がってできた痕跡に似た模様のスケッチがあるのを見つけた。 記録によると、この痕跡は1690年12月5日に直径7500キロほどの円形で現われた。その後は次第に東西に延び、同年23日には約3万5千キロの長さに達した。 この変化は、SL9すい星の場合とよく似ており、木星大気の流れのデータを使ってシミュレーションすると、かなりよく再現できることも分かった。 カッシーニ自身はこの現象について、太陽の黒点のようなものではないかという記述を残しているという。観測は直径20センチメートルほどの屈折望遠鏡で行なわれたらしい。 田部さんは「SL9の後、衝突らしい現象を描いた記録はいくつか見つかっているが、いずれも1回限りの観測で、本当かどうかは分からなかった。カッシーニの記録は19日間にも及び、衝突の可能性が極めて高い」と話している。 |