火星 月惑星研究会 関西支部 (最新)
ALPO-Japan Latest
Mars Image 2001/05/04(UT)
西谷輝昭,安達誠,風本明,新川勝仁
T.Nishitani,M.Adachi,A.Kazemoto,M.Niikawa
解説 ブルークリアリングとは何か(安達)
火星の大気は地球に比べると非常に薄くなっています。なにしろ、引力が地球と比べると1/3しかありませんから、地表近くに大気を止めておくだけの力に乏しいのです。
薄い大気ですが、その主成分は、ご存知のように二酸化炭素になっています。したがって、極冠の多くの部分はドライアイスではないかと考えられています。ただ、過去にはたくさんの水があったことは確実で、水にかかわる地形が、火星の表面にはたくさん残っています。また、現在の地表の下には氷となって、かなりたくさんの水があると、考えられています。
太陽からの熱は、地球と比べると、高くて0゜C位ですから、水蒸気として大気に放出される量はほとんど有りません。しかし、気圧が低く、探査機で観測された大気の水蒸気の含まれる平均値はおよそ100パーセント近くに相当すると言われています。
大気圧の割に高い水蒸気の濃度を持っていることになりますが、季節によっては、これらの水蒸気が雲になって火星を覆うことが観測できています。現在支部でまとめている、10日後との火星の雲の分布地図はその様子を観測して整理したものということになります。
火星の表面を覆っている、淡い雲は、いつも火星の表面の淡い模様を隠しています。もしも雲がなければ、火星の表面を、完全に晴れわたった条件の元に観測することができることになります。しかし現実には、火星の表面は、完全に晴れ渡ることが非常に少なく、いつも雲に覆われていることが多いのです。
ところが、火星年の1年間のうちに2回ほど、大気の中の水蒸気が少なくなるときが起こります。それは、極冠が最大になっているときに相当します。このときは、火星の大気の水蒸気はほとんどが極冠のところに集中しているのです。そのため、火星全面が晴れ渡る状態が起こりやすくなるのです。現在は、南極冠が最大になろうとしている時期に当たり、大気の水蒸気が大幅に減少しているのです。
こういったときにブルーの波長で画像を撮ると、火星の淡い雲が無くなっているため、火星を覆っている淡い雲が無くなり、そのまま地表の模様が映ることになるのです。赤色は波長が長く、少々の淡い雲だったら、関係なく、地表の模様をとらえることができますが、青の光は波長が短く、雲などが有ると光を反射して、地表の模様の見えることを邪魔してしまいます。
したがって、たいていの場合、青色で撮影すると、雲に邪魔され、地表の模様はあまり映らないものなのです。ところが、今回のように地表に雲がかかっていないときは、ブルーでも写ることになります。
今回新川さんがえられた画像は、まさにこのブルークリアリグによる、現象で、ふつうならば、表面の模様はほとんど映らないのに、今回はソリスなど、はっきりと存在がわかります。これは、大変めずらしい現象であるわけです。
すなわち、火星の南極冠のところに水蒸気が終結していることを示しています。また、それを裏付けるかのように、今まで白い雲をかぶっていたオリンピア山も今日の朝は、ほとんど白く見えませんでした。
以上です。 安達 誠
Teruaki Nishitani (210mm Newton, Digital still camera NEC PICONA)
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2001/05/04 16:06:26(UT)
Ls=156.02 CM= 55.42
De=-1.84 Dia=14.87"
21cm F6 Newton(ASKO) POWER MATE 5X
NEC Picona 1/7sec.10 frames composite
by T.Nishitani
ガスっていておまけにシイングも悪く最悪でした。
(西谷輝昭)
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Makoto Adachi (Drawing: 310mm Newtonian)
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2001/05/04 18h00m(UT)
CM=83.3 DE=-1.8 Ls=156 Dia.=15.9
Seeing:3/10 Transp.:2/5
somtimes cloud
2001/05/04 18h40m(UT)
CM=93.0 DE=-1.8 Ls=156 Dia.=15.9
Seeing:4/10 Transp.:2/5
2001/05/04 19h20m(UT)
CM=102.8 DE=-1.8 Ls=156 Dia.=15.9
Seeing:5/10 Transp.:2/5
somtimes cloud
南極フードは中央付近でやや淡くなっているが、南極冠らしき輝きは見られなかった。5月3日に見られたテンペの明るい様子は今回は認められなかった。そのかわり、クサンテとオピールが非常に明るく、雲が覆っているらしい様子がとらえられた。ただ、B47のフィルターをかけてみると、この部分は明るく写らずに、暗くなっている。ひょっとしてダストストームかもしれない。
ただ、明らかにブルークリアリングのようなブルーでの見え方になっている。
北極地方はかすかな白いベールが覆っていた。
SP hood was fainted on the center. Shaining of the SPC was not seen.
Tempe was becoming dark yestarday. Xthante and Ophir were very bright seen. But, these region was dark seen by blue light(B47 firtered by naked eyes). It was "blue clearing" today.
NP region was cobered by faint clouds.
Akira Kazemoto(203mm Newton, Digital still camera NEC PICONA)
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シーイング 4/10。
薄曇のため透明度悪し。(風本明)
Masahito Niikawa (280mm SC, Digital still camera Minolta DimageEx1500)
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Mars on May.04, 2001
Ls = 156.1, De = -1.8, Dia = 14.9"
[R1]
2001/05/04 16:38:31 (UT)
CM = 63.2
8 frames composite
[B1]
2001/05/04 17:12:12 (UT)
CM = 71.4
10 frames composite
[R2]
2001/05/04 17:27:55 (UT)
CM = 75.3
8 frames composite
[B2]
2001/05/04 17:20:09 (UT)
CM = 73.4
27 frames composite
[R3]
2001/05/04 18:05:16 (UT)
CM = 84.4
23 frames composite
[B3]
2001/05/04 18:13:01 (UT)
CM = 86.3
20 frames composite
Observer:Masahito Niikawa
Email:zba03198@bird.zero.ad.jp
Obs.site : Mozuhonmachi Sakai-City Osaka Japan
Telescope : C11 (SC) D=280mm fl=2800mm
Camera :Minolta DimageEx1500 Digital Camera taking lens removed
CCD; ICX205AL (Sony Monochrome CCD)
Analog gain: 6dB
Effective F No.: 36 (XP24mm Eyepiece Projection)
[Near IR Images]
Filter: R64 (640nm - 1000nm)
Exposure : 1/8 sec
[Blue Images]
Filter: B390 (360nm - 500nm)
Exposure :1/2 sec or 1 sec
Seeing = 7/10
Transparency = 1/6~2/6
Image Processing;
All monochrome images:only composite, not processed with any
spatial frequency filtering.
Color composite images: enhanced with unsharp masking method.
Caption:
Fairly good condition but hazy night.
Blue Clearing is remarkable.
Compared with previous (Apr.1 or Feb.22) images,
it seems that water vapor in the Martian atmosphere is decreasing
説明:
もやがあったが、比較的好条件であった。
ブルークリアリングが著しい
以前(4/1、2/22)の画像と比較すると火星大気中の水蒸気が
減少しつつあるように思われる。