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2008年5月の木星、中間報告(2)
イギリス天文学協会 ジョン・ロジャース、
画像を送った全ての観測者、ハンス-ヨルク-メティン氏、4月に中間報告の木星図を製作したJUPOSチームと、
ミシェル・ジャクソン氏と、マルコ・ベドヴァド氏、そして、自ら作成した図で分析しディスカッションを
した伊賀祐一氏に感謝します。
以下に出てくる計算値はJUPOSの図からの情報を使用しますが、緯度は単純に見積もられています。
(また、私は2006年以前に現れた単一の斑点の記録をチェックしていません。)
SPR:
二つの楕円白斑が南緯〜60度にある。少なくとも2006年以来、両方とも追跡されています。
SSTZ & SSTB:
別の小さい高気圧性の楕円白斑(AWO)が写って(多分A7とラベルしたもの、但し、A8かもしれない)、合計は九つ
になります。これらの大部分は何年間も持続していますが、幾つかの併合と幾つかの新しい外観となり、それら
はA0からA8まで、現在の番号をふっています。
これらのAWOsを引き離して、A1-A2とA4-A5の間の閉じた低気圧性の循環(棒状白斑)が、通常は広がり続けて
いました。低気圧性の楕円白斑A6の後端が広がっています。他の組のAWOsの間では、低気圧性の'折り重ねら
れたフィラメント状の領域'が認識できます。
STB:
楕円形のBAはまだオレンジの環を含んでいますが、それは、去年の夏よりはるかに微かで、色あせてしまいま
した。それはすぐGRSを通過(2年毎に起こる)します。そして、その周りのベルト域の外観は、通過時に、しばし
ば変化します。いつものように、楕円斑BAの後端は南温帯縞の唯一の暗い領域です。
およそ120度の後端、それは2番目の主要な持続性の循環複合体ですが、低気圧性の'南温帯縞のレムナント'は、
とても淡い青です。
STropZ:
興奮は続きます。2006年夏に成長した珍しい渦の模様が別の奇妙な形になっています。
2007年の二つSTrDの代わりに、ゆっくり順行する2つの暗い高気圧性の楕円白斑が、現在あります。
STrD-1から'楕円白斑1'が派生(但し、間接的に)したかの知れません。それは多分、STBnジェットにより再循環
した全ての斑点が併合して、2007年の9月1日にL2=261で形成された大きな高気圧性の楕円暗斑です。
'楕円白斑2'は同じソース、または、STrD-2の傍らにある循環から引き出されるかもしれません。
阿久津富夫氏が3月1日に記録したように、それは、メタンバンドで明るく、近赤外の波長で環状になっています。
そして、高解像度の可視光の画像には、赤いコアと薄青い暗い縁があるリトル・レッド・スポット(LRS)として
写っています。(3月2日、最初に、A.ウエスリー氏の画像で見えていました。).
1986年に、STropZの順行LRSに関する唯一の例がありました。(また、それは、STrDから起こりました)。
そして、たぶん、同様の例が1889-1890にありました(私の本の200ページと206ページを参照してください)。
このLRSはやや赤い楕円形のBAに、ちょうど追いつかれたところです、そして、両方が大赤斑との遭遇に向かって
います。私たちは、何が起こるかを確認するために熱心に観察します。
L2=125(5月1日)では、GRSはSEBの淡化と復活で(驚いたことに)明らかに影響を受けていません。
それでも、それは明確に対称形のオレンジの楕円白斑です。
SEB:
SEBは昨年の復活の後に完全に回復しますが、リフト活動が3つのセクターで起こっていて、それはまだ非常に擾乱
されています(ベルトの大部分を取り囲むために巡行しますが)。
それらは以下の通りです。
(1) GRSの後端: 2007年の復活のアウトブレーク、および通常時の永続的な活動の場所です。
(2)mid-SEBのアウトブレーク、GRSの前端直ぐ近く(L2=100)に起きて、2008年3月8日に最初にウエスリー氏が報告
しました。安定した青白斑がそれまでありましたが、それは、3月8日に、輝く白斑として噴出し、広がり、
クラシックな形態で拡散しました。
このアウトブレークは昨年のものと同じく、予期していませんでした。
SEDがちょうど通過するように見えるのは、重要かも知れません。3月13日に拡大し、捩れたmid-SEB アウトブ
レークは、SEDがGRSを通過する時に見られるように、リフトとして一時期、SEDと繋がっていました。
SEDの接近は実際にmid-SEBのアウトブレークの引き金となったかもしれません: 1975年に、二次SEBのアウト
ブレークが、SEDであったかもしれない模様によって引き起こされたという証拠がありました。そして、あまり
近くにありませんでしたが、SEDがその経度にアプローチしていたとき、2007年のアウトブレークは現れました。
それで、私は、これが単なる偶然の一致ではないと疑います。
また、このmid-SEBのアウトブレークが、すぐにGRSの前端に現れることがありませんでした。これは、非常に
まれです。しかしながら、先例があり、1993年の最も顕著なSEB復活の原因がありました。
(3)別のmid-SEBのアウトブレークはすぐ後に、最初にクリス・ゴ氏により3月21日にL2=258で見られたれた状態で
始まりました。これはたぶん暗い'ミニバージ'(2007年のSEBのアウトブレークのような)の中に現れました。
さらなる白斑点は3月29日、4月4,12,21日、および5月1日に、1つが7-10日間で、ほぼ同じサイトに現れました。
いつものように、これらは明るく広がり、GRS後端と繋がったリフトとして順行しました。別の明るい白斑は
5月13日にはL2=266で発生源の近く、又しても暗いミニバージの中で現れました。その間、SEBsの上では、唯一
目だった逆行するリングが、DL2=+30度/mthの穏やかな速度で、4月8日にRed Spotの窪みに着きました。
その後、状態はGRSの適切なイメージを妨げましたが、4月16日〜18日に、斑点はたぶん窪みの一番北側から
北側の前端に広がるのが見られた白いリフトとして終わりました。(確かに、サンチェス・ラベガ氏らのグループ
がこのような現象を報告していました。)
さもなければ、SEBsは明白な速い動きはなく小さい暗斑がもつれあうストリングによって際立たされます。
あるストリングは、南緯~17度でDL2=〜+10度/mthの'ミニバージ'のもの;別のものは,南緯~22度、DL2=~0の
STropZのダークストリークのものです。しかしながら、5月13日〜14日の画像の精密な調査は、南緯~20度にある
一連の小さい暗斑が~+3度/日で、確かに後退するので、SEBsジェット気流が、特に速くはありませんが、まだ
流れているのを示します。
SEBn/EZ(S):
2月以来、南赤道攪乱(SED)は、非常に明るい白いベイ(bay)として目に見えています。
それは、3月7日にGRSを通過して、一時的に、上述されたmid-SEBのアウトブレークと相互作用を起しました
(または、引き起こされました)。
それは、4月29日に再びGRSを通過して、古典的な形態になりました。再びmid-SEBのアウトブレークへのリフトと
繋がり、5月前半にかなり際立つようになりました。
L1はおよそ250(2月26日)、265(3月13日)、295(4月7日-9)、320(5月7日)で、DL1= +30度/月を示します。
EZ(N)/NEBs:
EZには、今年、目立つ模様は僅かです: 2006-2007に現れた特異な暗部の全ては、高解像度の画像では、
非常に複雑で美しい微かな薄いストリークだけを残して、見えなくなりました、
NEBsの大きなプロジェクション(突起)はわずかしかありません。そして、これらは普通にに印象的でない
フェストーンの盛り上がりから成ります。それらはL1で実質的に静的です。
しかしながら、興味深い新たな現象はEZの北の縁に沿ったオレンジで色をつけられた細長い一紐片です
--明らかにNEBからあふれ出る色です。
近年、そのような色は、個々の白いベイ(bay)で見られますが、絶え間なく見られているというわけではあ
りません。また、北EZと南NEBが明るいEZ(S)と暗いNEB(N)の間で適度な強度のバンドを形成するので、阿久津氏
のメタン・バンドの画像が新たなパターンを示すことに注意する価値があります。これはオレンジのもやで、
メタン・バンドで反射的に写ることかも知れません。それは、後の報告で議論することになるメタン・バンドの
EZの以前の外観からの大規模な変化を際立たせします。
NEBとNTropZ:
NEBは、まだやや赤みが強くく(2007のように)、また、北縁で多数の小さい暗いバージを獲得しました。
両方の現象がNEB拡大か裂け目の出来事のおよそ1年後に通常起こるので、私たちは今それらを見て、驚いてい
ました。
2004年に、最後の拡張が起きました、そして、実際、2008年にベルトは再び狭くされました。
しかしながら、2007のデータのレビューは、私たちの注意がほかの場所にあり、紛らされましたが、実際に多
くの活動がNEBにあったのを示します: 大きくて、永続するリフトの領域は円周の1/3を取り囲むようになりま
した。そして、他のリフトがほかの場所にありました。
そして、これらのダイナミックなリフトがNEBにあって、極端な乱流が、NTBsのアウトブレークの間のNTropZ
にある状態で、バージとAWOsの大部分は破壊されました。
2007年夏に、いくつかの新しいバージが濃い赤色のように成長しました。
NEB北縁が南方へ後退したとき、バージが北縁にあります。しばしばフェストーンが北前方を曲がらせる際立った
尖頭に関連している、NTropZ--1994年などの前の'後退'数年から身近なパターンです。
少なくとも9つのバージ(多くがわずかですが)、および8AWOsがNTropZにあります。大部分はL2での遅い動きで
すが、2007年に不明瞭になってから、明るさと速度、DL2= -11度/月を取り戻した白斑Z(WSZ)がまだあります。
幾つかのバージとAWOsの前端では、この急速なドリフトを共有して、そうでない他のものと衝突しています。
最も重要であるのは、4月初頭に (L2 ~320)で二つのAWOs前端とのWSZとの干渉でしました。低解像度の画像は、
併合したと示唆したでしょうが、高解像度の画像がそうではないことを示しています!
それらがアプローチしたとき両方のAWOs、特にその南前端が縮まり、次に斑点の北後端の南側が押しつぶされ
て壊れて見えなくなりました。そして、残っている小斑は、L2に下端をドリフトしました。この全てが、正に、
2006年の6月、楕円白斑が白斑Zに遭遇したときに起こったことです。
それが、私たちが温帯の緯度で報告(Rogers et al.,Icarus 2006b)したAWOsの併合のパラダイムは、
NTropZには成り立ちません。事実上、AWOsのどんな実際の併合も、今までに、この緯度では記録されたことが
ありません。これらのAWOsがなぜ異なる振る舞いをするのかを理解する為には、理論研究が必要です。
別のおもしろい現象は、AWOsの前部が衝突している間、白斑Zの南前端縁の小さい暗いバージが、
'前後に揺らぐこと'でした。それを立証できるだけのデータがありませんでしたが、およそ5日間の期間を持って
いるかもしれません。
他のすべての衝突が小さい(低気圧性の)バージの間でありました。そして、以前に観測されたパターン
(Rogers et al., Icarus, 2006b)によると、たぶん併合します。小さくて不完全なために、今年はまだ、明確に
観測されていませんが。
これらの相互作用の1つを除くすべてが、丁度、白斑Zの前端で起こっていることは、注目に値します。
私は、以前のバージの併合のように、白斑Zがそれらを引き起こしていると想像しています。
これらの衝突は以下の通りです。
1) L2~110、4月前半、(相方の一つは非常に小さい)
2) L2~290、4月の下旬:
そして、バージのペアは、まさしくAWOsコリジョンの場所の前端にあっり、おそらく、また、WSZによって
後押しされました。重要な途中の経過(4月22日〜28日)は観測されませんでしたが、4月29日における外観は、
正に、私たちが公表した例のように、以前のバージの北後端が、もう片方の北前端終わりから突き出ている
ように見えます。- しかし、この場合、小さい破片は、実際に分離して、順行を続けていました。しかしなが
ら、残存しているバージの、より大きな長さは、典型的な併合が行われたと確認します。
3)L2~310、5月中旬。二つはWSZの前端のコリジョンを促進します。1つは、まだ観測されていませんが、
4)L2~270、5月の下旬) 併合(2)の成果にかかわります。
NTB:
昨年の劇的なNTBジェット気流の大発生(DL1~-160度/mth; 'NTC-D')は際立ったオレンジのベルトとしてNTB(S)
コンポーネントの緯度でNTBの復活につながりました。その時、淡いやや赤い色がそれを側面攻撃させていました。
2008年に、このオレンジのNTB(S)はまだ非常に強いです。そして、また、淡い黄土にそれらの間で陰影をつけてい
て、より微かで、より灰色の、そして、波状の(N)成分は存在しています。
従って、完全なNTBは現在、アウトブレークの余波として持続するやや赤い色で蘇っています。(しかしながら、
明らかに、オレンジの色が普通のベルトにマスクをかけるハイレベルのもやであるので、阿久津氏のメタン・バン
ド画像では、NTBは以前より淡いです。)
NTB南縁に、長さ各およそ8度の少なくとも6つの淡いオレンジ色のひし形模様があります。それらの3つに関する
測定値はDL1=-78度/月(L3の133m/s)と等しいというコンセンサスされた速度となります。これはジェット気流の深
層構造に関する洞察を与える非常に重要な成果です。
それは1990年のNTBの明らかに同じアウトブレークと類似しています: その場合、ジェット気流のスポット
(高気圧性の渦)は、最初にアウトブレークの20カ月後のNTB、DL1=-57('NTC-C')で見られて、次の11年間非常に
同様の速度が持続しました。
より良い画像がある現在、アウトブレークのまだ11カ月経ったけで、同様のスポット(たぶん、そして、始まり)
を見ることができて、雲頂で、ジェット気流速度はまだ完全にいつもの状態に戻るというわけではありません。
変化の急速さはサンチェス-ラベガ氏らのグループと共に発表したモデルをサポートします。そのモデルでは、
ジェット気流には、雲頂の下で、少なくともDL1=~-160度/mth(170m/s)の恒常的な速度があります。しかし、雲頂
の風速度は他の時には、この'NTC-D'速度(下方から動き出すアウトブレークが頻繁に起きるとき)と'NTC-C'速度の
間を行き来します。(ジェット気流の渦が、時々、あるいは、恐らくいつも存在している時。)
**私は、すぐに、この話題の、より詳細な議論を掲示します。**
NNTBとNNTZ:
ジェット気流のスポットのアウトブレークはNNTBsで進行しています: DL2=-90度/月の小暗斑の連射.
(2006年に、そのような多くのスポットがありましたが、それらは2007年にNTBのアウトブレークの間見えな
くなりました。)
NNTBは不規則なストリークから成ります。
NNTZの緯度に、いくつかの高気圧性の楕円白斑があります: 二つ(L2=45、250)は白く、そして1つは淡くやや
赤い状態(5月9日のL2=90)です。
いつものように、このLRSは順行していて(DL2=-12度/月)、メタン・バンド明るいです(阿久津氏の画像)。
2006年以前以来、3つ全てが追跡されています。
このレポートには、これ以上の画像を入れていませんが、あなたが、これらの現象のどれかを記録している
画像のセットを見たいなら、私はいくつかを送ることは可能です(伊賀氏、マルコ・ベドバド氏、および
ミシェル・ジャクソン氏がいくつかを製作しました)。
Dr. J.H.ロジャース
イギリス天文協会
木星セクション・ディレクター
ALPO-Japan Latest Jupiter Section