STB(南温帯縞)の白斑'BA'がどこに存在するかは、今シーズン初期の観測の大きなテーマでした。2002年8月初旬に始まった観測ですが、8月は木星の高度が低いために'BA'を検出することはできませんでした。ようやく9月2日UTになって、CCD画像で'BA'をとらえることができました。
観測日時(UT) | 経度(II) |
2002/09/02 | 359.7 |
2002/09/09 | 358.6 |
2002/09/19 | 354.9 |
| 表1 STB白斑'BA'の経度 |
図1は、'BA'の経度を合わせて展開図を並べたものです。比較のために、2000-01年と2001-02年の観測を並べています。永長英夫氏(兵庫県)と風本明氏(京都市)の9月2日UTの画像では、STBに淡いながらも白斑として検出されました。とはいえ、白斑としての明るさもなく、前後のSTBの暗部にはさまれていることで'BA'として分かる程度です。その証拠に、それ以降の9月9日、19日、24日の観測のように条件が悪いと、'BA'の存在がはっきりとしませんでした。これらの画像から計測した'BA'の経度を表1に掲載します。
図2は2000年6月から2002年9月までの'BA'のドリフトチャートです。今シーズンの観測がドリフトから予想された直線上に乗っていることから、図1の白斑が'BA'であることは明らかです。2000-01年は'BA'の後方には長さ40°ほどのSTBの暗部が見られていましたが、2001-02年には次第に暗部は縮小し、長さは15°ほどになっていました。今シーズンはこのSTBの暗部は、さらに縮小し、暗斑として見える程度です。ただ、このSTB暗斑の直前に'BA'が存在していますので、'BA'を検出する際の目印になっています。これまでSTBの3個の永続白斑は、メタンバンドで明るく写ることから高層まで伸びた渦であることが分かっており、厳密にはメタンバンドによる白斑の確認が必要だと思います。今後の観測に期待したいと思います。
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