2011/12 report no.6 NTBsジェット気流の重要なoutbreak Major outbreak on NTBs jet-stream AND 2012/13 report no.1:木星にNEBとNTBの重要なoutbreak Jupiter reappears with major outbreaks on NEB and NTB Translate By Y.Iga |
---------------------------------------------------------------------- 2011/12 report no.6 ●NTBsジェット気流の重要なoutbreak Major outbreak on NTBs jet-stream 2011/12年の観測期の最終週に、重要な新しいoutbreakが広く淡化したNTB (北温帯縞)で始まった。以下に説明するように、我々は今年このような outbreakを期待していた。 http://www.britastro.org/jupiter/2010report19.htm それは、雲頂で超高速に戻ったジェット気流の最近の加速と、1970年から1990年 までのこのようなoutbreakの5年周期に基づいている(最後のoutbreakは2007年で あった)。 以下の警告を送信した(2012年4月25日)。 『Manos Kardasis氏は添付した4月19日の画像を送ってくれたが、NTBsの非常に 暗い暗斑がその前方に白斑を伴っていることに注目される。これは超高速の NTBsジェット気流の新しいoutbreak(突発現象)の可能性が非常に高い。確認が 急務である。4月12日のこの経度の彼の画像には何もなかったし、最近の数週間 に送られたいくつかの他の画像(H. EinagaとL. Zielke)にもなかった。明らかに 現在木星は良質の画像にはあまりにも太陽に近いが、もしもこれらの経度の画像 を、たとえ昼間であっても撮影できたり、最近の数日以内の画像を送ることが できるならば、ぜひそうして欲しい。』 もしも超高速ジェット気流にあれば、DL1=約-5度/日(DL3=約-13度/日)で移動 するだろう。一方、ダークストリークは1990年と2007年に観測されたように 後方に伸びて乱流になるだろう。ダークストリークの大きさから、おそらく 最初の観測の約1週間前に始まっている。2012年4月19日17:19UTに、明るい白斑 はL1=75度(L3=336度)にあり、後方のL1=79〜99度に濃いダークストリークがある。 4月21日18:39UTに、Gianluigi Amadoriは偶然にこれらの模様を記録し、 おそらく白斑はL1=約64度、ダークストリークはL1=70〜91度と、予想された ドリフトに一致している。白斑の経度の他の画像は無いが、4月26日の画像 (Manos Kardasis、John Rozakis、Antonio Lasala)には、L1=約90度に濃い ダークセグメントの後端を記録した。観測者の努力にも関わらずに、木星は 太陽の後ろにあるので、その日以降有用な画像は得られなかった。全ての データは典型的な超高速outbreakが始まったことを示しているが、正確な速度を 決定したり、様相を解明したりは失望するほどに不可能であった。 そのために太陽との合の後にできるだけ早くに画像を得ることが極めて重要で ある。残っている白斑のドリフトを得ることや、復活しているNTB(S)や初期の 乱流やオレンジ色への変化を見ることによって、outbreakを確認できるだろう。 これらはいかなる状況でも記録されていない超高速のoutbreakの典型的な続編 である。 クレジットは観測者の皆さんに、特にManos Kardasis氏にある。彼は、困難な 条件でも目的を貫き、たやすく見逃してしまっただろう、この重要な現象を 発見した。 添付画像:2012年4月のNTBs outbreakが始まった画像 John Rogers ---------------------------------------------------------------------- 2012/13 report no.1: ●木星にNEBとNTBの重要なoutbreak Jupiter reappears with major outbreaks on NEB and NTB John Rogers (BAA), 2012 June 27 木星が太陽の後ろで見えなくなる直前に、2つの重要な攪乱(disturbance)が NEBとNTBに出現した。両方のベルトは2011年に淡化(明化)して、非常に静か だった。NEBは例外的に狭く、その南縁には主な模様は無く、およそ1世紀の 間は見られなかった状態であった。 NEB outbreak(文献1)は明るいリフトが出現した2012年3月8日に始まり、NEBs 端に非常に暗く、低速で移動する形成物を作り始めた。これは新しいNEB拡幅 現象(最近では2009年に見られた)の始まりであり、1世紀前に起こった時の ようにおそらく本格的なNEB復活の始まりと思われる。NTB outbreak(文献2)は 4月19日にNTBs端の非常に明るい白斑と非常に暗い暗斑を初めて検出した。 これが新しいNTBsジェット気流のoutbreakの始まりと思われる(最近では2007年に 見られた)。両方の現象は劇的であり、木星大気の長期的パターンを確立する ために重要であるので、その後に木星が太陽の後ろに見えなくなったことに イライラさせられた。我々は現象がどのように発達したのかを見つけようと 新しい観測期をしきりと待っていた。 前観測期の最後の画像でNTBs outbreakを発見していた、ギリシャのManos Kardasis氏はさらに6月4日に新しい観測期の最初の画像を撮影し、両方の outbreakが見事に発達していることを確認した。彼は6月4-9日の近赤外画像から 作成したマップ(文献3,4)を公開した。他の観測者もまた昼光や低高度で画像を 得るために大変な苦労をしていて、当然ながら画像の多くは低い分解能と品質 ではあるけれども、これらは劇的で急速に拡がる攪乱の進行を明らかにするため に貴重である。これらの画像は、NTBsの超高速outbreakが確かに起こっていて、 NEB復活が進行しているという強い証拠を示している。NTropZとNEBsには目立つ 暗斑があり、NEB、NTropZ、NTB(S)の多くをカバーするように赤味がかった色や 黄土色が出現している。 2012年6月13-24日の組画像 図1 カラー画像のセット、L2で並べる。当然ながら分解能は低いので、カラーは 注意して解釈するべきである。特に青色光での低分解能は、赤味がかった色を ベルトからゾーンへ拡げる。また、見かけのカラーは使用する青フィルターの 選択に依存し、さらに画像処理に依存して変わる。南が上。 図2 IRや赤色光画像のセット、L2で並べる、カラー矢印によって重要な模様を 示す。これらの画像は良い分解能であり、濃い灰色の暗斑ははっきりと見える が、拡がった赤味がかった領域は見えにくいので、RGB画像も必要である。 (また、Kardasis氏の初期マップ[文献3]と比較)。 図3 同じ画像のセット、L1で並べる、重要なNEBsの暗塊を数字で示す(矢印は 1個の非常に明るい白斑)。番号は仮であり(しかも観測条件の悪いセクターで 途切れている)、これらの同定は経度の計測によってチェックが必要である。 図4 比較のためのNEBとNTBの過去のマップ (a) 1893年10月19-20日のNEB復活、おそらく2012年6月中旬の状況に似ている。 (b) 2007年 3月 3日のNTB outbreak、2012年4月19日の最初に観測された時の 状況に似ている。 (c) 2007年 5月21-22日のNTB復活、2012年6月中旬の状況に似ている。 (さらなる脚注とクレジットは画像上にある)。 図5 メタンバンド(890nm)画像セット、全てTomio Akutsu (Philippines)による。 南が上。NEBとNTBは可視光よりはメタンバンドでは淡化や復活によってあまり 影響を受けていない。それはおそらく、高高度ヘイズ(メタン画像では明るく 見える)は、局地的気象によってよりはジェット気流の固定流によって大きく 決定されるからだろう。しかしながら、NEBの大きく乱れたセクター(ここでの 対流するプルームはメタンブライトである)や、NTBの赤味がかったセクター (ここでの赤味がかった色は2007年のように高高度ヘイズである)において、 メタンであまり薄暗くないことが驚きである。NTropZの目に見える暗斑は メタンダークである。 暫定的な説明と解釈 【NTZ】 このゾーンは広くて白い。おそらくNNTBがNTB暗化の代償として明化 したのか?。 【NTB】 NTB(S)はほとんど全周に渡って濃いオレンジ・ブラウンのベルトと して復活した。この色は超高速outbreak後では典型的である。L2=約210-310度 は、まだ復活していないが、暗斑や白斑はある。まだいかなるドリフトも計測 できていないけれども、おそらくこれは超高速outbreakの尾後端であろう。 (2007年5月の比較マップを参照、outbreak開始から同じ時間で、現在の状況に とても一致している)。また、L2=約210-310度には、別な濃い灰色のNTB(N)が 見えるが、他の経度では狭くなっている。(IR画像では、北組織のみが見える)。 【NTropZ】 このゾーンは多くの画像で黄土色の色合いをしているが、Akutsuの 画像では少ない。それはおそらく彼が高分解能であるか、異なるフィルター・ セットだからだろう。今後の画像で、色は実際にoutbreakからNTropZに拡散して いるのか、あるいは低分解能でのみそうなるのか(これは歴史的な観測にも当て はまるかもしれない)を示さなければならない。とにかく、この色合いは過去 数年記録されていて、おそらくNTBs outbreakかNEB復活と関係しているだろう [文献5]。NTropZの強い赤味がかった色が、太陽との合の間にNTBには超高速 outbreakが進行し、5年の周期性を保ったという証拠となった年、特に1985年を 彷彿させる。 4つの非常に濃い灰色暗斑があり、ほぼL2=109,219,274,359度(長いバー)で静止 している(画像セットの矢印が付いている全て)。これらは高気圧性なので、 NTropZでは大変に異常であるが、同様な暗斑は過去のNEB拡幅や復活で見られた。 (一つの例は1893年からの比較マップである)。L2=277度の非常に濃い暗斑は 6月6-24日と持続したが、L2=109度(6月9-18日)の暗斑は、6月19日に南北組織を 持ち(Peach,高分解能)、6月20日に斜めに離れた(Go,高分解能)。それでこれらの 暗斑は長命ではないようだ。 【NEB】 外観は奇妙であるが、1893年のマップ(文献5から改編)に示すように、 進行中のNEB復活と完全に一致している。 最も注目すべきセクターはL2=約50-130度で、非常に淡い。しかし、6月19-20日 にPeach,Go,Akutsuによって高分解能画像が撮影されて、このセクターが複雑な 白斑やストリークで満たされていることが分かった。私はこれがoutbreakを 構成している、激しく対流するリフト領域だと考えている。1893年のマップの ように、このセクターがNEBn(おそらく後退)の後方に暗物質を生成し、NEBsを 通過して前進する濃い青灰色のプロジェクションを激しくしただろう。 他のほとんどの経度で、IR画像では狭いNEB(S)だけが見える。ベルトの北半分は 淡く黄土色で、おそらくまだoutbreakによってあまり変化していない。 図3のIR画像はNEBsプロジェクションである。典型的な濃い灰色あるいは青味 がかったNEBsの暗塊はほとんどの経度で見られ、ほぼ体系I(L1)で移動している。 いくつかは非常に強力で、outbreakの最初に出現した非常に濃いものと同じかも しれない。3月に始まりを見たように、私はこれらはNEBsがリフト領域を超えて 流れた時に生成されたシリーズだと考えている。先頭のプロジェクションは現在 全周に拡がったが、後部のプロジェクション(10,11)は今も形成されている。 【EZ】 NEBsプロジェクション13-14はEZ(N)の珍しいブラウンのセクター(長さ 約25度)に埋まっている。いくつかの経度に幅広いブラウン色の赤道バンド (Eq. Band)もあり、おそらく2006-07年のような着色現象の始まりだろう。 EZ(S)は今も白い。 【SEB】 SEBはほぼ通常通りで、大赤斑後方には典型的なリフト領域があり、 ベルトの大部分は濃いオレンジ・ブラウン色をしている。一つ異常な模様は L2=101度のクリーム色の斑点で、2011年秋からそこに存在しているが、今は さらに大きく明るくなっているように思われる。その性質は謎である。 【STropZ】 大赤斑はL2=180度にある。大赤斑は今も周囲に濃いリングがあり、 2011年のように大赤斑前方には濃い灰色の南熱帯バンド(S.Trop.Band)がある。 白斑BAは後方から大赤斑に接近しているが、低分解能のカラー画像でさえ赤い 色が追跡できる。 ________________ [1] 2011/12 Report no.5. The NEBs outbreak in 2012 March. (2012 April) http://alpo-j.asahikawa-med.ac.jp/kk12/j120409r.htm (G. Adamoliによって解析された追加画像から、大きなNEBsの濃い暗塊は 4月25日の最後の画像まで存在し、先頭の暗塊はDL1=+58度/月の異常な ドリフトを維持していた)。 [2] Urgent alert for Jupiter observers: Outbreak on NTB. (2012 April 25) (この警告のオリジナルは電子メールで、PVOL Report no.6 Major outbreak on NTBs jetstream (2012 June)として公開された)。 (更新版はこのレポートとともに公開されている)。 [3]Jupiter Map, 4-9 June 2012, by Kardasis. http://alpo-j.asahikawa-med.ac.jp/kk12/j120609r.htm [4] Alert: Major outbreaks occurring on Jupiter. (2012 June 12) http://alpo-j.asahikawa-med.ac.jp/kk12/j120612r.htm [5] Rogers JH (1995), 'The Giant Planet Jupiter', Chapter 8 (Cambridge University Press, 1995). ---------------------------------------------------------------------- 【日本語訳:伊賀祐一】 --- 伊賀祐一 (Yuichi Iga) E-Mail: yuichi_iga@gaia.eonet.ne.jp 月惑星研究会関西支部
John H. Rogers,Ph.D. Jupiter Section Director, [British Astronomical Association.]
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