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天文ガイド 2003年6月号
 
『Tan Wei Leong氏を迎えての京都ミーティング』
Tan Wei Leong氏とシンガポール |  ToUcam Pro撮影方法とRegistaxによる画像処理 |  今後に期待するもの

京都ミーティング (2003年3月23日)

図1 Tan Wei Leong氏の木星画像

2003年3月23日(日)に、シンガポールの天文アマチュアのタン・ウェイレオン氏(Tan Wei Leong、1971年生まれ)を迎えて、京都ミーティングを京都テルサで開催しました。


ウェイレオン氏は、高橋製25cm Mewlonを使用して、主に惑星観測で活躍されています。シュミット・カセグレイン+冷却CCDの撮影器材を、2001年秋からフィリップス社のToUcam Proに更新し、さらにMewlonとの組み合わせに変えてから、素晴らしい惑星画像を取り続けておられます。特に今年に入ってからの木星の高分解能画像は驚きで、地上からハッブル宇宙望遠鏡にも迫るような画像をコンスタントに撮像されています。


正直言って、私がToUcam Proでの撮影に切り替える大きなきっかけを与えてくれたのは、ウェイレオン氏と香港のエリック・ン氏(Eric Ng)のToUcam Proでの驚異的な画像でした。今回は仕事での来日ということでしたが、半日に渡り、ToUcam Proでの撮影や画像処理のテクニックについての議論ができ、大変に有意義なミーティングでした。

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Tan Wei Leong氏とシンガポール

シンガポールはほぼ赤道直下にあり、安定した大気状態であることは彼の画像からも想像できます。むしろ悩むのは突然の雲の発生だとか。実際にToUcam Proで撮影した生の動画を見せていただきました。シーイング6/10という、彼にとっては条件の悪い観測とのことですが、大気のゆらぎは少なく、さらに条件の良くなる数秒間のディテールには、参加者からため息がもれていました。特に日本の冬の季節風に悩んでいた私たちは、さらに条件が良い時を想像すると、うらやましい限りでした。

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ToUcam Pro撮影方法とRegistaxによる画像処理

図2 京都ミーティングの様子

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その後は、実際のToUcam Proでの惑星撮影の方法や、Registaxによるビデオ画像の処理テクニックなどの意見交換を行いました。同じカメラで、同じソフトウェアを使っている参加者は、ウェイレオン氏の設定パラメータなどをメモするのに忙しそうでした。実は、無理をお願いして、筆者と風本明氏のToUcam Proの木星動画をRegistaxとPhotoshopで実際に処理していただきました。同じ素材なのですが、彼の処理後の画像は一段と解像度が良くなった気がします。これはとても良い勉強になりました。


私たちからは、月惑星研究会に送られてくる世界の観測画像を使って解析した木星の結果を発表しました。格段に良くなったCCD画像によってとらえられるようになったSSTBの白斑どうしの合体現象や、mid-SEB outbreakとよぶ南赤道縞の活発な白斑突出現象などを、アニメーションとして解析できるようになりつつあります。さらに高解像度画像が得られると、もっと詳しい惑星大気の研究が可能になるわけです。

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今後に期待するもの

ウェイレオン氏らの先駆的なToUcam Proでの惑星観測の業績は、日本だけでなく世界中の観測者をToUcam Proに向けさせています。そのことによって、高解像度画像が多く得られ、しかもコンスタントに得られるようになったことで、惑星大気の研究の質が向上しています。そして、私たちも日本やアジアだけではなく、世界の観測者が協調した国際的な観測ネットワークに発展しなければいけないと感じました。今回の交流で参加者たちは大きな刺激を受けて、ぜひともウェイレオン氏のような画像に迫りたいと願っています。

図3 京都ミーティングの参加者(前列中央がTan Wei Leong氏)

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