月惑星研究会例会通信 No.162■ 日 時 : 2016年3月27日(日曜)13時−17時 ■ 場 所 : 明治大学生田キャンパス第2校舎5号館5204教室 ■ 出席者 : 26名(敬称略、自己紹介順)
坂梨朱里、丹羽杏奈、田部一志、吉田順平、岩崎和人、須藤佑実、瀧澤 誠、成田 広、石橋 力、 平林 勇、山崎明宏、長瀬雅明、米山誠一、小山田博之、三品利郎、堀川邦昭、藤巻 徹、 高橋 徹、高橋 和平、三谷祥二、鈴木光枝、小澤徳仁郎 |
■ 内 容 1.自己紹介自己紹介は、個人情報保護の観点により削除しました。 2.火星の近況報告(三品)遠日点を過ぎて冷え切っていた火星は徐々に暖ままり、この時期の火星表面は、赤道付近の低緯度が他に 比べて暖かくなっている。火星上空2万mの風でオリンポスやタルシス耕地では風下に雲が発生している。 ヘラス地域には水の氷(雲)が多い。 三品氏の解説資料をリンクします。 → 火星の近況報告 3.木星の近況(堀川)3月15日から16日の永長さんの木星展開図を使って各部の様子を説明された。 1)1月ころから大きな変化はない。GRS後方のSEBが活発化している。白斑の発生が連続して おり、しばらく活動が続きそう。SEBには2つのタイプの活動がある。 ひとつはGRS後方で定常的に見られるpost-GRS disturbance。 もうひとつはGRSから離れた場所で起こるmid-SEB outbreak。 今回はどちらのタイプか判断が難しいが、post-GRS disturbanceが再活性化したように 見える。GRS後方以外のSEBの活動は強くない。 2)NEBは3から5年周期で幅が変化する。今回の拡幅は進行のスピードが遅い。2014年に 始まったNEBの拡幅がWSZで堰き止められた状態で、今月は拡幅領域の後端部が40°ほど 淡化して細くなってしまった。 3)BAは前進速度が減速している。BAの後方の暗班はまもなく消失しそう。STBゴースト的な ものが2ヶ所にあり3セグメント傾向の表れかも。BAの大きさは発生から10年程度は同じ だったけど、2010年頃に小さくなった。 4)GRSは濃い状態が続いている。通常はSEBが濃くなるとGRSは薄くなるが、今回は両方とも 濃い状態が続いている。GRSの回転速度は3.73日とのこと。SEBの暗斑がGRSの北側を 回り込み、GRSを一周しGRSの前方に流れ出している。SEBsの大きな暗班がGRSに 向かっていたが接近速度が減少した。 5)NT Disturbanceの後端部が急速に淡化して、短くなっている。全体としては後退を続けて いるが、短縮しているので、後端部分はRSとの相対位置があまり変化していない。 6)4月12日に木星が7等の恒星を掩蔽し、翌13日にガニメデがその恒星を掩蔽する。 堀川氏の解説資料をリンクします。 → 堀川氏の解説資料(PDFファイル) 4.名寄観測&合宿報告(森谷)3月8日から名寄に行き木星の観測を行った。参加者は1年7名、2年6名、3年3名。 名寄に3泊し名寄市立天文台で木星を観測。9日の部分日食と木星を撮影できた。 今回の名寄訪問が名寄新聞で紹介された。帰路の途中で札幌に1泊し札幌観光をした。 有名な札幌の時計台は聞くと見るとは大違いの日本3大がっかり名所を実感した。 5.木星表面構造の測色観測(岩崎)木星の大気構造で起きる色変化に関して、色変化を統一された基準(色度図)で定量的に 評価することで木星大気の解明を目的とした研究です。 1)分光観測器の開発:較正実験、分光範囲の確認・決定などの装置の評価 CCDカメラと分光器を組み合わせた分光観測器で、コリメーターの点像を微動させ、分光測定が 可能な位置と観測可能範囲を確認した。分光範囲は直径40ピクセル程度。観測に使う 口径40cmF12の望遠鏡では焦点距離を2倍にすれば大赤斑だけの分光測定が可能と判定された。 2)分光観測器による木星の観測:かわさき宇と緑の科学館の40cm反射望遠鏡で木星を観測 12月5日から6日に本観測を行ったが、観測所の東側の樹木が邪魔となり、観測開始が 2時となり、大赤斑の分光は出来なかった。 3)観測結果の解析と考察 今回の観測では、木星の高度差による地球大気による青色の拡散が、色度図上で定量的に 確認された。 4)木星画像データを活用した木星構造の色の定量的な評価 カラー画像のホワイトバランスを統一的に調整出来るスペクトルデータを取得し、数多く 存在する木星のカラー画像を比較可能になる補正を行い、木星の構造の色比較を行うとこを 狙っています。 6.ハワイで星を見る(山崎)スバル望遠鏡があるハワイ島に星空観望を兼ねて観光旅行に行ってきた。ハワイ島は、運転マナーが 良かった。スバル望遠鏡があるマウナ・ケアは世界一の海底火山で、山頂は天体観測に最適な場所。 ハワイ島では、星見以外にも、ドルフィンツアーやキラウエア火山の観光を楽しめた。 マウナ・ケアでの星空観望は、ツアー参加が安全。その代わり、団体行動や星空解説用のレーザー ポンインターの明かりなどで天体撮影には制限が多い。 レンタカーで自力で登るには、4輪駆動が必要。1社を除き、保険適用外なのでリスクがある。 1社だけ保険適用だが、料金が高く、評判が良くない。それでもレンタカーで自力で登った。 オニヅカビジターセンター経由でサドルロードを登った。マウナ・ケアへの道はダートだった。 色々なリスクはあったが、地球の影・マウナケアの星空・天の川・黄道光を撮影できた。 本格的に星を見る場合、マウナケアではなく、ハワイ島のマウナロアやマウイ島のハレアカラの方が お勧めと思われる。 山崎氏の解説資料をリンクします。 → 山崎氏の説明資料(PDFファイル) 7.火星のダストストーム(三品)火星は、何年かに一度、全体がダストの雲に覆われる全球的は大規模ダストストームが発生しています。 火星のどこかに明るい雲が現れ、数日のうちに広がり、火星全体を覆うまでに発達して、一か月以上 火星を覆い、やがて晴れ渡り火星の模様が再び見られるようになります。 昔は黄雲と呼ばれていたが、現在はダストストームと呼ばれている。 以下の画像は、2001年のダストストームの様子をMGS Mars Orbiter Camera (MOC)で撮影したものです。 (NASA/JPL/MSSS) 出典:Catalog Page for PIA03170(The 2001 Great Dust Storms - Hellas/Syrtis Major) 火星のダストストームに関しての詳しいことは、次回の例会で発表予定です。 次回例会で紹介する解説資料をリンクします → 火星のダストストーム 4.その他次回例会は6月上旬に明治大学生田キャンパスで開催予定。 2次会:向ヶ丘遊園駅近くで懇親会でした(20名) |
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