月惑星研究会例会通信 No.172

■ 日 時 : 2019年1月27日(日曜)13時−17時

■ 場 所 : 竹ノ塚学習センター教養室

■ 出席者 : 16名(敬称略、自己紹介順)

  鈴木 達彦、水元 伸二、堀川 邦昭、藤巻 顕、松岡 義一、三品 利郎、長瀬 雅明、鈴木 光枝、
  三谷 祥二、鈴木 邦彦、米山 誠一、吉田 順平、米井 大貴、田部 一志、田口 芳明、唐澤 英行
          例会の様子

■ 内 容

1.自己紹介


    詳細省略

2.2019木星トピックス(水元)

  1)体系2展開図
   ・EZ北部の2/3が褐色化
   ・SEBnの淡化などが目立った変化

   01_2019 Apparition Jupiter Maps L2_190126(PDF)

  2)BAの白化
   ・Juno PJ11(2018/02/07)の画像:赤味強い
   ・Juno PJ17(2018/12/21)の画像:白化
   ・地上からの観測でも同様
   ・わずかに赤味は残っている

   02_Oval BA(PDF)

  3)S4-LRS-1(S4ドメインの小赤斑)
   ・2018/08-09に後方のS4-AWO-2と接近(約10゜)したがその後離れる
   ・今シーズンも赤いovalは健在のよう
   ・S4-AWO-2は地上からの観測では所在は分からず、Juno PJ17画像のovalなのかは定かでない

   03_S4-LRS-1(PDF)

3.木星の近況(堀川)

  1)EZの暗化(着色現象)
   ・EZが著しく薄茶色に着色し、薄暗い。
   ・EZ北部は薄暗く、ベルトと同じ薄茶色をしている。EZsも薄暗いが、EZnに比べると明るさが残る。
   ・EZ中央には太く濃いEBが発達、NEB南縁から数多くのfestoonが伸び、活動的なものがある。
   ・暗化(着色)は昨年後半に始まった。当初は薄黄色だったが、徐々に濃くなり、黄土色から
    薄茶色になりつつある。
   ・EZの暗化(着色)は、2012年以来6年ぶり。

   ・UV(紫外光)では、昨年1月のEZは薄明るいは、今年はNEBと同じくらい暗い。
   ・CH4(メタンバンド)では、昨年1月も今年も変わらない(むしろ今年の方が明るい?)。
	   
   ・CH4で変化がないので、EZの雲頂高度には変化なし。
   ・UVで暗いということは、EZ上空のHaze層がNEBと同程度に厚くなっていることを示唆する。
   ・Hazeの素となるエアロゾルの供給元としては、昨年活動的だったNEB南縁が候補。

  2)SEB北部の淡化
   ・RS後方のSEB北部が淡い。幅広いSEBZが形成され、悪条件下ではベルトの幅が1/2〜2/3に見える。
    淡化部はII=120°付近まで広がっている。
   ・SEB南部は通常どおり濃い状態を保っている。南縁に沿って多数の暗斑や突起が見られる。
   ・post-GRS dist.はほとんど活動していない。
   ・北部の淡化は昨年後半に目立つようになり、徐々に進んでいる。昨年はベルト南部に赤茶色の
    bargeが見られたが、現在は消失しているようだ。
   ・淡化と濃化の両方の特徴が見られる、近年にはない状況にある。

  3)永続白斑BAの白化とSTBの淡化
   ・BAは合の間にRS南を通過。
   ・昨年は薄茶色のリング白斑だったが、今年は内部が明るく赤みがなくなった。
   ・昨年の2月のSTB Ghostの衝突で、復活したSTBは、一時100°を超える長いベルトとなったが、
    現在はSf. tail部分が消失しつつあり、短い断片になっている。

  4)その他の状況
   4-1)SSTBとAWO
   ・SSTBは全周で大きく二条に分離。北組織が濃く、南組織は弱い。
   ・AWOはA1/A2/A3/A4/A5/A5a/A7/A8の8個。A5aは未確定。
   ・A8〜A1間、A1〜A2間などに、低気圧的明部/白斑(CWO)が見られる。

   4-2)NEB北縁
   ・NEBは全周で通常の太さだが、北縁はとても起伏に富んでいる。
   ・WSZはII=330°付近、NEB北縁に大きなbayを作っている。赤みはない。
   ・凹凸のいくつかは昨シーズンのものに対応。WSZ後方で形成が続いている?

   4-3)NTBと北温帯攪乱
   ・NTBは南組織の淡化が進む。
   ・北組織はII=180〜30°で青黒い組織として残り、後半部分は北へ垂れ下がって、
    北温帯攪乱(NT Disturbance)の一部となっている。

    堀川氏の解説資料(PDF)

4.火星の近況(三品)

  1)2019-20年の火星
   ・2019年は9月に火星が太陽と合になる。一年を通して視直径が小さくなってゆく。
   ・2020年は10月に最接近して視直径は22秒を超える。中秋の名月の直ぐ近くに接近中の火星を見られる。
   ・詳しくは、「2019年から2020年の火星の様子」にまとめた。

    2019年から2020年の火星の様子

  2)アルシアからのびる帯状の雲
   ・2018年の秋に、マーズエクスプレスが、明け方のアルシア山から長くのびる雲を撮影した。
    ESAの解説では、この雲は、山の風下側の斜面が気流に影響を及ぼして引き起こされる
    水の氷の雲とのことである。
   ・過去、2009年,2012年と2015年にも同様の雲が観測されている。
   ・詳しくは、「アルシアからのびる帯状の雲」にまとめた。

    アルシアからのびる帯状の雲

  3)2019年1月に発生したダスト・ストーム
   ・2019年1月に発生したダスト・ストームは、局地的な現象で終わったようだ。
      もしも、全球的なダスト・ストームになれば、遅い季節,Ls319°での発生であった。
   ・過去には、1924年の12月から1925年の一月にかけてLs310°という季節的には最も遅い時期に
    発生した全球的なダスト・ストームをアントニアジが報告している。
   ・今回のダスト・ストームの様子を「2019年1月に発生したダスト・ストームについて」にまとめた。

    2019年1月に発生したダスト・ストームについて

5.自作電動フォーカサー(鈴木邦彦)

   鈴木邦彦氏から自作された電動フォーカサーの構造と製作に関しての解説がありました。

    鈴木邦彦氏の解説資料(PDF)

6.堀川式モータードライブ製作奮闘記(堀川)

    シンクロナス・モーターを使って、赤道儀のモータードライブを修復しました。
    機械工作はほとんど未経験だったので、着想から完成まで、1年2ヵ月もかかった苦心作。
    詳しくは添付の資料をご覧ください。

    堀川氏の製作奮闘記(PDF)

    また、共有アルバムへのリンクが下記URLにありますので、興味のあるかたはどうぞ(動画もあります)。

    共有アルバムへのリンク

7.月惑星研究会60周年パーティ

  1)月惑星研究会60周年パーティは木星会議と同時開催とする。

  2)開催日時
    ・ラグビーワールドカップの日程(9月20日〜11月2日)と大学の学園祭(11月下中)を
     考慮して、木星会議は11月9日・10日もしくは11月16日・17日を候補とし、
     初日の懇親会を60周年パーティとする。
  
  3)開催場所
     以下を候補として次回例会までに担当者が調べる
    ・横浜の開港記念館(堀川さん)
    ・中央大学駿河台 (吉田さん)
    ・アルカディア市ヶ谷私学会館(鈴木光枝さん)
    ・明治大学駿河台 (三谷さん)

  4)開催内容案
    ・初期から活動されている方の講演
    ・過去の活動・歴史の編纂
    ・記念品製作
    ・中高生向けのガイドブック作成
    ・功労者表彰
    ・等々

8その他

  1)次回の関東地区例会は、3月17日(日)か24日(日)とし、明治大学の学生と調整して決める。(田部さん)
  
  2)木星会議会計報告(鈴木光枝)
    ・第41回木星会議(2018年)残金 : 2,805円
    ・繰越金合計 : 133,878円

2次会:懇親会

  竹の塚駅近くの居酒屋で12名参加の懇談会でした。

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