月惑星研究会例会通信 No.176■ 日 時 : 2019年10月6日(日曜)13時−17時15分 ■ 場 所 : 明治大学生田キャンパス第二校舎5号館5205教室 ■ 出席者 : 27名(敬称略、参加者名簿順) ・一般(卒業組) 鈴木 達彦、西岡 達志、石橋 力、長瀬 雅明、田部 一志、森谷 諒、鈴木 邦彦、 米山 誠一、成田 広、水元 伸二、三品 利郎、小山田 博之、鈴木 光枝、堀川 邦昭、松岡 義一 ・東京理科大 原島 麻稜、須藤 慧蘭、藤本 真平、山田 翔生、田口 芳明 ・明治大学 山中 鼓太郎、清宮 花音、西原 柊人 ・東海大学 本島 蓮、小河 萌、恒川 穂乃桂、山脇 諒一郎 例会の様子 |
■ 内 容 1.自己紹介詳細省略 2.木星の近況(堀川)木星の近況に関する堀川氏の解説資料 − 以下の画像をクリックでPDFファイルが開きます。 (PDF) 1)小規模なフレーク活動が続く大赤斑 ・8月は大赤斑前方のSEBs暗斑群が枯渇、目立つフレーク活動なし。 ・9月になると、大型のリング暗斑が相次いでRS bayに進入し、フレークが再び出現。ただし、大赤斑の前後端の赤いブリッジや短いストリークとして見られる程度で、小規模な活動にとどまっている。 ・大赤斑の周囲には赤みのない、灰色の付属物が時々現れる。フレークの影響か? ・SEB南縁にはまだ大きなリング暗斑が多数あり。今後も大赤斑に到達してフレークを発生させると思われる。 2)回復した大赤斑の長径 ・9月の平均長径は14°台で、縮小前の状態に完全回復。 ・可視光とメタンでは不一致、原因不明(解像度低下?)。 ・縮小はフレーク活動による一時的なものだった。 ・大赤斑の下には赤い物質の材料が大量にあるらしい!?大赤斑の根っこは深い!? 3)南熱帯紐(STrB)の淡化とSTBnの濃化 ・順循環気流による暗物質の供給が途絶えたことで、STrBは大赤斑側から淡化。現在はBAの前方でも淡化が進んでいる。 ・代わってBAから前方に暗条が伸長。STrBとは色調が異なち暗斑の連鎖によう。BA後方のSTB短縮によるSTBnのジェット暗斑群によると思われる。 ・STrZの2個の暗斑は、 「フレークの息子暗斑」の前進速度(ドリフト)が-0.2°/dayなのに対して、 「攪乱の出来損ない暗斑」は-0.9°/dayと速いため接近中。現在の間隔は40°、会合は11月下旬以降で、観測は困難と思われる。 ・SEB南縁の後退暗斑は、「攪乱の出来損ない暗斑」 通過時に減速するケースがあるので、要注意。 4)AWO合体注意報発令中(A5a/A7)! ・A5aとA7が9月上旬に8.5°に異常接近。 ・合体せず、現在も10°前後の間隔をキープ。 ・A5aとA7は2年前から接近傾向。8月頃からA5aの動きが不安定になっている。 ・SSTBではA8/A0(2016年)やA6/A7(2018年)とAWOの合体が相次いでいるので要注意。 ・AWOの合体は、RS−BA−AWOの三重会合や、BAとの会合などのタイミング起こる傾向あり。A5a/A7は11月末頃にBAと会合の予定だが、観測は困難か? 5)STBでお化け同士の戦いが始まる (Ghost vs Spectre) ・STB SpectreがRS南を通過。可視光では明るいが、メタンダークなベルトの断片。長さ110°で、徐々に伸長。 ・前端は-0.7°/dayで前進、BA後方のSTBの断片 (Ghostが濃化したもの)まで約30°に接近。 ・中間にあるSTB tailは圧迫され短縮。Ghostとの間には不規則な暗斑や白斑が見られるようになった。 ・Ghostと衝突すれば、激しい攪乱活動(STB outbreak)により、STB Spectreが濃化すると予想される。 ・来シーズンはBA後方に長いSTBが復活しているかもしれない。 6)閃光現象も発生しました ・2019年8月7日、4:07UT、II=20°付近のSEBsで発生。 ・発見者はALPOのEthan Chappel。 ・継続時間は1.55秒。衝突痕は残らず。石鉄隕石の衝突による発光とのこと。 ・Euro Planetのサイトに詳細な記事あり。 URLはこちら → Euro Planetの記事 7)その他の状況 ・大赤斑 オレンジ〜朱色で顕著な状態が続く。II=318°、9月は3°後退。フレーク活動小規模。 ・SSTB A7とA8の間の暗部消失、A8後方のSSTBs伸長。A5a〜A1のSSTBn淡化。A5aとA7接近中。 ・BA/STB BA白化続く、リング状で明るい。前方にSTBn伸長。STB Spectre(不可視)がBA後方のSTBに接近。 ・STrZ STrBほぼ淡化、大赤斑後方のみやや濃い。II=200°台の暗斑2個接近中。 ・SEB 南縁の後退暗斑群活発。北部は淡化が進み、大赤斑前方の中央組織も淡化。post-GRS dist.は時々活動的になるも小規模。 ・EZ 着色現象継続中、やや色あせた。EB淡化、顕著なfestoon減少。 ・NEB 北縁の起伏は小さくなった。NTrZの白斑はWSZ/WSa/WSbが明るい。リフト活動は不活発。 ・NTrZ-NTB NTBsはほとんど消失、NTBnとそれに続く北温帯攪乱(NTD)も淡化進む。NTD後端はII=170°。 ・NNTB II=200°台で濃い、他はほとんど消失。II=100°付近の暗部も消失。南縁のジェット暗斑のみ活動的。 3.木星観測者列伝(水元)1)報告内容 − 以下の画像をクリックでPDFファイルが開きます。 (PDF) ・水元さんの発表の音声(MP3) 2)上記報告資料内に記載されたリンク一覧 − 以下に示すリンクをクリックで開きます。 7page - Splendourof the Heavens Vol.1,2, 1923, Hutchinson &Co. 9page - The Planet Mars, 1975, Keith Reid Limited 14page - The Planet Jupiter, 1958, Faber & Faber 17page - 薦田一吉報告をもとにE.J.リースが作成したリポート 17page - 薦田一吉報告をもとにE.J.リースが作成したリポート 4.ローウェル天文台訪問報告(石橋)1970年の北米皆既日食観測に参加した時に訪問した「ローウェル天文台」で撮影された 望遠鏡の画像と、その時に入手された土星の画像を紹介された。 ・石橋さんの発表の音声(MP3) 5.月の話題−PART3 月の首振り運動(秤動)(三品)今回は、月の首振り運動(秤動) のお話です。 月の東西の縁や南北の縁を見ると、例えば、東の縁にある「縁の海」や「スミス海」が見えたり 見えなかったりします。今年は、1月14日には東の縁にある「縁の海」も「スミス海」も見えませんでした。 5月17日、10月5日には、「縁の海」と「スミス海」が見えていました。これは、月の向きが少しだけ 正面からズレるためです。このズレる現象を、月の首振り運動或いは秤動(秤動)と呼びます。 Youtube、NASA Goddardのチャンネルに2019年一年間の月の満ち欠けと秤動の動画が公開されています。 この動画を見ると、月が「首を振る」様子がよくわかります。 また、国立天文台の暦計算室、月の自転軸のページで計算したデータを使って描いた図や 動画も紹介します。 詳しくは、以下をご覧ください。 2019年10月6日,月惑星研究会例会資料、月の首振り運動(秤動) ・三品さんの発表の音声(MP3) 6.Pic du Midi天文台訪問報告(田部)1)報告内容 − 以下の画像をクリックでPDFファイルが開きます。 (PDF) ・田部さんの報告の音声(MP3) 7.今年の木星会議と月惑星研究会60周年パーティ、及び月惑星研究会の今後に関して(田部)1)開催日時と場所 ・開催日時 : 11月9日(土曜)の午後と10日(日曜)の午前 ・開催場所 : 川崎市武蔵中原駅近くある川崎市立学校教職員互助会の施設「会館とどろき」 2)木星会議の内容 ・9日 : 渡部潤一氏(国立天文台副台長)の記念講演「SL9から25年」 堀川氏からの木星の近況 ・10日 : 希望者による研究発表 3)会60周年パーティ ・場所 : 武蔵小杉駅近くにあるホテル精養軒 ・10月23日(水)18時30分からホテル精養軒でパーティ等の打合せ実施予定。 都合が付く方は参加して下さい。 4)参加申し込み ・10月6日時点で25名。今後、参加依頼を個別メールで送信予定。 5)月惑星研究会の今後に関して : ・平林会長からの要望により、田部氏が代表、堀川氏が副代表の方向で調整中。 安達氏には連絡済み。60周年パーティで平林会長が正式発表の予定。 ・田部さんの発表の音声(MP3) 2次会:懇親会向ヶ丘遊園駅近くの居酒屋にて9名参加の懇親会でした。 |