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惑星画像のカラーワークについて (和訳 伊賀)

2002/05/16 Carlos E. Hernandez South Florida U.S.A


惑星の表面あるいは大気についての最近のカラー("colors"ではなくて"colours"と
言うべきでしょうか)についての議論が、経験のある惑星観測者や撮影者によって
始まった。私は以下のようなことを付け加えたい。

木星(2002年3月27日にDamian Peach氏(ALPO/BAA Jupiter Sections)によって得られ
た画像、添付画像)の"RGB chrominance image(RGBクロマ合成画像)"(すなわち、あっ
さりと、LRGBのような凝ったことをせず、普通に)
処理されたRGB合成画像)は、安定したシーイングでの眼視観測時の良いイメージを
感じる。
LRGB処理画像(あるいは高解像度画像)によってベルトや帯のより詳細が得られていて、
小規模あるいは大規模の構造の発達の研究では重要ではあるが、眼視観測での惑星の
自然な見え方ではない。
【注:LRGB合成は細かなものまで写っているが、実際の見え方と異なっている。】

著者やClay Sherrod氏は、RGBクロマ合成画像とLRGB合成画像(Damian Peach氏撮影)
を比較して以下のような意見を述べている。この画像は私がここ何年間も言い続け
ているものと同じ主題の全く素晴らしい例である。つまり、左画像(RGB)は、眼視で
の見え方、たぶん実際のカラーがより象徴的なものであるだけでなく、木星面の大
規模の範囲で発生する真の形態学上の変化を決定するのに有用である。しかし、し
ばしば、素晴らしい例の右画像(LRGB)のような高解像度の画像では、そのような大
きな変化あるいは出来事の全体のパラメータがなくなっている。つまり古い言葉で
は「全ての木には森が見えない」のである。

Ed Grafton(Houston, Texas, U.S.A.)は、CCD画像のクロマ合成に影響するいくつか
の要素を記述している。

1) バンドパス(帯域透過)フィルター・セット
多くのフィルター・セットはギャップがあり、このギャップは幅が異なる。多くの
アマチュアが使うフィルターは、dyed glass(染色ガラス)の代わりにdichroic filter
(ダイクロイック・フィルター、蒸着干渉フィルター)で、装置の焦点比(F値)に依存
して光量(あるいは%)を変化させる。まじめな言い方では「全てが他と同じものでな
ければならない。異なるフィルターのカラーデータを比較することはあて推量であ
る」と言える。
【カラーを比較するのであれば、全く同じフィルターセットを使わないと意味がない。】

2) 個々のフィルターの重み
測定された星が白色(integrated、積分)光源であるという仮定の元に、適切な比を
決めるために、太陽のアナログ星上で各フィルターのflux(フラックス、流量)を計
測することで適切なカラーバランスの標準化を行う。また、これはチップの量子効
率や使用するフィルタセット、他の要素との間で用いられる装置の焦点比(F値)を
考慮する。

3) 大気による減衰
カラーの誤りのもう一つの原因。大気自身がフィルターであり、波長による減衰度
は対象の高度に依存する。適切なカラーバランスは、対象の高度の関数として修正
された重みを持っているべきである。減衰は降水や寒冷前線などの要素に影響する。

4) カラーデータの非線形処理
これはカラーバランスを変化させる。LRGB合成画像では、非線形フィルターが関係
しない限り、処理しないクロマ【RGB情報】を残すことが最も正確になる。

5) 後処理
主にPhotoshop、Paint Shop Pro、Maxim DLなどのような画像編集ソフトウェアに
よる。惑星のディスク上の微妙な模様を浮き出すために強力なソフトウェアを使う
ことは非常に魅力的である。規則はそのような処理(例えばアンシャープマスク、
先鋭化など)を適度に使うことである。有意義な処理を使えば、それを明らかに記
述するべきである。

Ed Graftonは、「カラーについて自分自身の画像を標準化することは全く実行可能
なことであるが、管理できない問題がある。」と締めくくっている。このことが真
実である限り、画像を公開している全ての撮影者は、上に述べたポイントを評価し、
そのようなデータを提供して、画像の標準化を行うべきだと感じる。こうすること
で、惑星画像を評価する際に「同じページに全ている」ということが可能かもしれな
い。

Richard Miles氏は、コンピュータ・モニター(CRTまたはLCD)上に描かれた惑星画
像のカラーは、ハードコピー(例えば雑誌)では再現できないかもしれないと、親
切に指摘している。これは、ウェブサイトの画像と出版物とを比較するような時
には、特に実現されなければいけない問題である。

私が惑星観測を行っていた何年間、私はめったにカラー観測を公表しなかった。
それは、多くの処理が要求される(作成するそれぞれのカラー画像について何枚も
のモノクローム観測を行っている)という事実と、ディスク上のカラーの敏感さ
(特に使用している装置の口径が小さい場合)、観測されたカラーを判定する「標準」
(Pantoneカラー列は多くの画材屋で使用可能である)の決定などの理由からである。
私は、より容易に観測されたカラーを評価できるように、大口径(ミード 12インチ
SCT(OTA)とロスマンディG11 GEM)を使用したいので、将来これを変えたいと思っ
ている。私は2001年6月13日(2時15分UT、CM=212.7)に、マニュアルで製造された
サンプルとして4インチ(10cm)F/10オフアキシス反射望遠鏡を使用して、火星観測
のカラー版を送った。私は正確さのために、いくつかのCCD画像から作成された
カラーを比較している。
最初のカラー見本


修正後のカラー見本

上記の追加の議論が、将来惑星を撮影した時に考慮するべき情報となってくれる
ことを願っている。得られたデータをよりよく評価するために、技術の標準化に
ついて常に努力するべきである。

Carlos E. Hernandez

[South Florida U.S.A Carlos E. Hernandez]

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