WinJUPOS(V7.2.04)  操作のガイド
                                     2006.10.14
                                     三品利郎

WinJUPOSの機能
 ●惑星の模様の位置を測定する。
 ●ドリフトチャートを作成する。(木星、土星)
 ●展開図を作成する。
 ●惑星の模様の計測データをエクスポートする。(CSV形式)
 ●惑星の天文暦、衛星の位置を表示する。
 ●画像を表示する。


    目   次

1 初期設定
2 画像の取り込み
3 模様の位置計測
4 ドリフトチャートの作成
 4.1 準備
 4.2 計測データファイルの作成と初期設定
 4.3 測定データの記録
 4.4 ドリフトチャートの作成
  4.4.1 ステップ1 データの編集
  4.4.2 ステップ2 ドリフトチャートの描画
  4.4.3 ステップ3 ドリフトチャートに補助線を引く
 4.5 計測データファイルのエクスポート
5 展開図の作成
6 天文暦、衛星の位置表示
7 火星、土星、太陽などの場合
8 ダウンロードサイト
9 改版にあたって

1 初期設定

  V7.2.03から、ヘルプファイルが新しくなっている。プログラムを解凍したら、「_help」という名前のフォルダ を作り、
  ヘルプファイルを移しておくこと。(V7.2.02でもこの作業は必要である。V7.2.01では、この作業が不要である。)
 「_help」の先頭は、アンダースコアであることに注意する。
 「_textures」という名前のフォルダを作り、jpegイメージのデータを移しておくこと。これらのjpegイメージは、惑星
 の衛星を表示する際の衛星表面のテクスチャマップである。
   SHELPV.jpg(V7.2.04)


  ・プログラムを初めて起動すると、惑星の選択 窓が開く。Jupiter(1)を選択する。

   S_Set4_v.jpg(V7.2.03)


  ・WinJUPOSの画面が開いたら、programをクリックし、ドロップダウンリストでLanguageをEnglish(2)にする。
  デフォルトはドイツ語になっている。
  (注意 英語のヘルプファイルで、赤字のセクションはドイツ(オリジナルの)のバージョンのままで、英語に
       翻訳されていない。)

   S_Set5_v.jpg(V7.2.03)



2 画像の取り込み

  2.1 RecordingでImage measurement(3)を選ぶ。

   S_mes1b_v.jpg(V7.2.03)


  2.2 Open image(4)で画像を取り込む。
  2.3 日付とUTと観測地の経度(東経が+) と緯度(北緯が+)を入力する。(5)

   S_Meas50V.jpg(V7.2.03)

   --日付と時刻(UT)はCM計算に使われる。
   --観測地の経度と緯度は、天文暦の計算に使われる。
    (入力した経度と緯度が天文暦の計算処理に引き継がれる。)


  2.4 Adjust(6)タブをクリックする。
  2.5 Automatic(7)をクリックすると木星の輪郭と赤道が表示される。
     ・手動で位置を合わせるときは、図に書き込んだキー操作を行なう。
  2.6 Image(8)タブを選び、ウィンドウを開く。
     画像データをSaveする。画像データは(.ims)形式で作成される。

   S_Mes52_vV.jpg(V7.2.03)


  ●複数画像がある時の操作

   一つの画像に複数の惑星画像がある場合には、Measurementのウインドサイズを小さくするか、
   或いは、惑星像を拡大する"Zoom(+/-)"して、1つ惑星像だけが表示されるようにして、
   「PF11」を押す。

  ●南が上の時の操作

    南が上の画像の場合、「Back space」で輪郭を180度回転させ、「PF11」を押して位置を
   自動調整する。(デフォルトは上がNになっている。)
   (注意 「Back space」だけだと180度回転するが左右の位置が若干ずれる。これは、バックグ
        惑星の外縁が僅かに欠けているためである。)

  ●手動でサークルの位置を合わせるときのキー操作

   --左右、上下の移動
    「→」、「←」、「↑」、「↓」で左右、上下にサークルを動かして位置をあわせる。
   --サークルの拡大、縮小
    「PgUp」でサークルを拡大する。
    「PgDn」でサークルを縮小する。
   --サークルの回転
    「N」で時計周りに回転させる。 
    「P」で反時計周りに回転させる。
    「Back space]で180度回転させる。


3 模様の位置計測

  3.1 Pos.(9)タブを選ぶ。

   S_MES53_VV.jpg(V7.2.03)

  3.2 Type(10)で十字のタイプを選ぶ。
        (大きい十字、小さい十字、輪郭と大きい十字、輪郭と小さい十字の4種類がある。)
  3.3 十字を模様にあわせると、位置が計測できる。(11)

   S_MES54_VV.jpg(V7.2.03)



4 ドリフトチャートの作成

  4.1 準備 

   4.1.1 計測データの記録の整理方法を決めておく。
       ・観測者ごとに計測データのファイルを作る方法が良い。
       (観測者名をファイル名に使う。)
   4.1.2 作業用のフォルダ
       ・計測データを入れるフォルダを作る。
        同一のフォルダ複数の計測データファイルを入れる。
       ・ドリフトチャートの出力先フォルダを作る。

   S_mes1a_v.jpg


作者のGrischa Hahnさんは以下のフォルダ構成にしているそうです。
   
  D:\WinJUPOS


\_help
\_textures


\Jupiter

\Images
\2005 (date-observer name-info.jpg)
\2006 (date-observer name-info.jpg)


\Measurements (observer name.mea)
\Central Meridian timings (observer name.cmt)
\Selections (object name-info.wse)


\_Settings

\Image Measurements (*.ims)
\Selections (*.ses)
\Drift charts (*.grs)
\Map computations (*.mcs)
\Image computations (*.ics)


\Drift charts (*.gif)
\Maps (*.jpg)


\Saturn
...


\Uranus
...
                                                                  4.2 計測データファイルの作成と初期設定    4.2.1 WinJUPOSを起動する。    4.2.2 Recording でMeasurement new(12)を選択する。ファイル名を入力する。(13)    Measure_12VV.jpg(V7.2.03)    Measure_13VV.jpg(V7.2.03)    4.2.3 新しいウインドウ開かれて、初期画面(14)が表示される。    4.2.4 Date(15)を入力する    S_Measure_014VV.jpg(V7.2.03)    4.2.5 Fileボタン(16)をクリックして、ドロップダウンリストでInfo(17)を選ぶ。    S_Measure_016VV.jpg(V7.2.03)    4.2.6 Observer nameとAddressを書き込む。(18)        ・仮名漢字ではなく、ローマ字で書き込む。        ・住所、e-mail address,観測地の緯度経度は書いておいた方が良い。    S_Measure_018VVE.jpg(V7.2.03)    例 "Observer name" は "Ikemura, Toshihiko"、       "Address" は "Nagoya City, J"      そして、池村俊彦さんの全ての観測と位置の計測情報は、"Ikemura.mea"に格納される。  4.3 測定データの記録    4.3.1 Recording でImage measurementを選択する。(直前に処理した画像が表示される。)    4.3.2 新しい画像で測定するときは、 「2 画像の取り込み」、「3 模様の位置計測」を行なう。    4.3.3 Pos.(19)タブで、測定画面を開く    4.3.4 模様の位置に十字を合わせ(20) 、Save objectionボタン(a)をクリックする。    S_Meas19vv.jpg(V7.2.03)    4.3.5 データ入力のウインド(b)が現れる。 Code(c)の欄に、模様の種別を入力する。(解説は4.3.7)         Codeの欄に"_"が表示されるが、これは区切り文字である。         (注意 V7.2.3以前は区切り文字が”?"になっていた。)    4.3.6 Save(d)ボタンをクリックして計測データのレコードを追加する。    smeas(b)vv.jpg(V7.2.04)    4.3.7 Codeの入力について        ---“_”の前は、DC,WC...        ---“_”の後ろは、PROJ, OVAL...        略号の意味は、Helpの Image measurementのObject code Jupiter(JUPOS)に書かれている。           ---“_”の前         一文字目---W:明斑 D:暗斑         二文字目---P:自転方向の前端 C:中央 F:自転方向の後端         三文字目(省略可)---1:容易に見える 2:普通に見える 3:見難い        ---“_”の後         明るい模様  SPTR、SPOT, OVAL, BAY, NICK, GAP, SECT, RIFT, AREA, STRK           暗い模様  SDER, SPOT, BAR, FEST, PROJ, SECT, VEIL, DIST,COL, STRK        詳しくは、Helpの表を参照のこと。    4.3.8 観測者情報の記録        一つの計測データファイルに複数の観測者の情報を入れるときは、測定データごとに観測者       名を入れる。         レコードが追加されたら、EDITをクリックし、現れた画面でFileをクリックしドロップダウンリストで       infoを選択すると観測者名を入れられる。  4.4 ドリフトチャートの作成    4.4.1 ステップ1  データの編集     4.4.1.1 Analysis でSelection (e)を選ぶ。    S_DriftChart_(e)v.jpg(V7.2.03)     4.4.1.2 Data file (f)で計測データの記録ファイルを選択する。          (複数のデータファイルをフォルダに入れておく。フォルダ単位に選択するとデータファイル         一覧が表示される。 ドリフトチャート作成に使用するデータファイルを選択する。)    S_Drift_S2.jpg(V7.2.04)      S_Drift_S3.jpg(V7.2.03)      S_Drift_S4.jpg(V7.2.03)      S_Drift_S5.jpg(V7.2.03)     4.4.1.3 Sorting (g)ボタンをクリックしてデータをソートする。    S_Drift_S6.jpg(V7.2.04)      “WinJUPOS Standard…” (h)を選びOKボタン (i)をクリックする。       S_Drift_S7.jpg(V7.2.03)     4.4.1.4 Selection file (j)で出力ファイルを設定する。 (ファイル名の日付を入れるとわかりやすい。)     4.4.1.5 Run selection (k)で実行する。    S_Drift_S8.jpg(V7.2.04)    S_Drift_S9.jpg(V7.2.04)   4.4.2 ステップ2 ドリフトチャートの描画     4.4.2.1 AnalysisでDrift Charts (l)を選ぶ。    S_DriftChart_(v)vv.jpg(V7.2.03)     4.4.2.2 Data file (m)ボタンをクリックするとファイル指定用のウインドウが現れる.          ステップ1の(4)で設定したファイルを指定する。          (フォルダを選択すると、データファイルの一覧が表示される。)    S_DriftChart_(m)vv.jpg(V7.2.04)     4.4.2.3 Graph image(n)に出力ファイル名を入力する。     4.4.2.4 Type (o)は上から2番目の、Longit.(x)-Time(y)にしておくと良い。           注意:Longitudeは経度 Latitudeは緯度     4.4.2.5 Create drift chart(p)をクリックして実行する。    S_DRIF(n)vv.jpg(V7.2.04)    作成されたドリフトチャートの例     ファイル形式は、BMP,Jpeg,GIFなどがある。GIFが良さそうである。        S_DriftChart_exsamplevv.jpg(V7.2.03)    4.4.3 ステップ3 ドリフトチャートに補助線を引く     4.4.3.1ドリフトの計算      4.4.3.1.1 ListsのドロップダウンリストでSelectionを選び、使うファイル指定する。    aux_a.jpg(V7.2.03)    AUX_B.jpg(V7.2.03)              4.4.3.1.2  Driftの計算に使うレコードをすべて選択する。    AUX_C.jpg(V7.2.04)               4.4.3.1.3 マウスを右クリックし,”Drift computation"を選ぶ。    AUX_D.jpg(V7.2.04)              4.4.3.1.4 "Reference system" (体系)と "Trend drift"「ドリフトの傾向」を選んで,           ドリフト計算が正しいなら, "Copy"ボタンを押す。    AUX_E.jpg(V7.2.04)     4.4.3.2 ドリフトチャート(補助線あり)の描画      4.4.3.2.1 "Analysis"で"Drift charts"を選ぶ。      4.4.3.2.2  "Auxiliary lines"「補助線」ボタンを押します。    aux_na.jpg(V7.2.04)      4.4.3.2.3  "Edit/Add auxiliary line for longitude"でレコードの枠を追加する。    AUX_F.jpg(V7.2.04)      4.4.3.2.4 体系"Sy"を選択する。    AUX_i.jpg(V7.2.04)      4.4.3.2.5  "Edit"で”Take over drift data"を選ぶ。    AUX_G.jpg(V7.2.04)      4.4.3.2.6 ドリフトのレコードを選択し、"Apply"を押す。    aux_h.jpg(V7.2.04)      4.4.3.2.7  "OK"を押す。    aux_m.jpg(V7.2.04)      4.4.3.2.8 同じ体系のドリフトチャートを計算する。    aux_nc.jpg(V7.2.04) ● 補助線が書かれたドリフトチャートの例 aux_o.jpg(V7.2.04)    (ドリフトチャートにペイントソフト(MSペイントやPictBear)で、解説文を書き込める。)  4.5 計測データファイルのエクスポート    4.5.1 ListsからMeasurmentsを選ぶ。    SEXPO1VV.jpg(V7.2.03)    4.5.2 FileをクリックしてドロップダウンリストからExportを選ぶ。ExportでCSV形式のファイルに出来る。    SEXPO3VV.jpg(V7.2.03) 5 展開図の作成   5.1 ToolsでMap computationを選ぶ。   5.2  Edit (q)をクリックして、ドロップダウンリストから、add (r)で保存されている画像ファイル(.ims)を取り込む。    s_Map(q)vv.jpg(V7.2.03)   5.3 Projection type (s)を選ぶ(デフォルトはCylindrical projection)       Latitude scale (t)はデフォルト(Planet graphic)のままで良さそう。   5.4 Map orientation (u)を選ぶ. (北が上、南が上)   5.5 Grid Scales Map background (v), Page background (w)の色を選ぶ。   5.6 Longitude of left margin (x) (左端の経度)とSYSTEM(体系)、1,2,3 (y)を設定する。   5.7 Mpa Width (z)を丁度良い大きさにする。   5.8 Output file (U)を 指定する。   5.9 Compile map (V)を実行する。   5.10 位置がずれていたら、5.6で設定した左端の経度を直す。    s_Map.jpg(V7.2.03) 6 天文暦、衛星の位置表示  6.1 準備    予め、惑星面のテクスチャマップを、NASAまたは、James Hastingsのサイトからダウンロードしておく。    (Grischa HahnのWeb pageからリンクされている。) NASAのものは、端の経度が180度になっている。James Hastingのサイトのものは、端の経度が0度になっている。    stexture0vv.jpg  6.2 天文暦ウインドウを表示する。    6.2.1 TooleからEphemeridesを選ぶ。    sEPHE0vv.jpg(V7.2.03)    6.2.2 Graphicsタブを選ぶ。        観測地の緯度と経度を設定する。        Real timeボタンをクリックすると、現在時刻、UTが表示される。        Names CM.+equator Equatorialを選ぶ。    sEPHE1vv.jpg(V7.2.04)    6.2.3 Optionsタブを選ぶ。         Texture imageに、準備でダウンロードした惑星面のテクスチャマップを指定する。         NASAのテクスチャマップは、Longitude of left marginを180とする。         James Hastingsのサイトにあるカッシニの画像から作られたテクスチャマップは、         Longitude of left marginを245とすると、GRSが115度になる。         (自分で撮影した惑星画像から展開図を作り、モンタージュしてテクスチャマップを作る         ことも出来る。)    sEPHE2vv.jpg(V7.2.04)    6.2.4 Graphicsタブを選ぶ。        Texturingを指定すると画像が表示される。    sEPHE5vv.jpg(V7.2.04)     マイナスのボタンをクリックすると、広い範囲が表示されるようになり、衛星の位置がわかり易くなる。    sEPHE8VV.jpg(V7.2.04) 7 火星、土星、太陽などの場合   プログラム起動時に、Programタブをクリックして、ドロップダウンリストで 天体を指定する。    SPLANET.jpg(V7.2.03)   7.1 RecordingでImage measurementを選ぶ。   7.2 Open imageで画像を取り込む。   7.3 日付とUTと観測地の経度(東経が+)と緯度(北緯が+)を入力する。   7.4 Adjustタブを選ぶ。   7.5 Draw outline frameを指定する。(輪郭が表示されなければ“Reset(W)”ボタンをクリックする。)      輪郭をキー操作であわせる。      ↑↓←→ --- 上下左右       N---時計周り回転       P---反時計周り回転       「Back space]---180度回転       PgUp---サークルの拡大       PgDn---サークルの縮小     7.6 Imageタブを選び、開かれたウインドウで、画像データをSaveする。      ・位置の測定は木星と同じやり方である。      ・展開図も木星と同じやり方である。 8 ダウンロードサイト   WinJUPOSは、JUPOSのサイト http://jupos.privat.t-online.de/ からダウンロードできる。   「WinJUPOS v7.x.x Multi-planet, multi-lingual」をダウンロード。    s_JUPOS_hp.jpg 9 改版にあたって   WinJUOPSの作者、ドイツのGrischa Hahnさんに、英語版の操作ガイドを作ったことを連絡した。   彼は、幾つかの私の気が付かなかった点や使い方のヒントを助言してくれた。さらに、日本語WINDOS XPで   一部に文字化けがあったのを、V7.2.04で修正してくれた。   2006年10月14日版では、それらを反映して改版した。 終り