天文ガイド 惑星の近況 2002年9月号 (No.30)
伊賀祐一
6月はほとんどの惑星が太陽の近くにあって、残念ながら観測報告はありませんでした。土星は6月9日に合を迎えて東空にまわり、6月21日に西方最大離隔を迎えた水星の近くにあります。木星は7月20日に合を迎えますので、新しいシーズンの観測が始まるのは8月中旬になるでしょう。
2001-2002年の木星観測
月惑星研究会に報告をいただいた数多くの木星観測から、毎月のこの欄でスケッチや画像をご紹介してきました。今シーズンは、国内では25名の観測者から報告をいただきましたが、紙面で紹介できたのは限られた方々です。観測報告のないこの時期ですから、皆さんの観測をご紹介したいと思います。来月と2回に分けて、全員の観測を掲載する予定です。今月はこれまで掲載できなかった15名の観測を写真1にまとめました。

写真1 2001-2002年の木星観測(その1)(拡大)

最近の惑星観測は、冷却CCDカメラやデジタルカメラ、デジタルビデオなどの観測画像が主流になっていますが、眼視によるスケッチ観測を4名から報告をいただきました。熟練された観測者のスケッチは、CCD画像でもかなわない現象までとらえられています。また、CCD画像でも眼視で見えているイメージを大切にする必要がありますし、スケッチはもっとも簡単な観測方法でもあります。初心者でも模様の全体のバランスをきちんととらえることで、貴重な観測となります。

また、CCD画像も撮像するだけではなくて、観測を報告することは重要です。メンバー以外の方の報告も大歓迎です。口径や気流による差もありますが、突発的な木星面の現象を追跡するためには、いずれも貴重な観測資料になります。

■第26回木星会議の報告

2002年6月15/16日に和歌山県かわべ天文公園で開催された木星会議は、全国から26名の参加があり、活発な討論が行われました。
【研究発表】
・最新デジタルカメラによる惑星撮影(新川勝仁)
・2001-2002年のNEBの活動(伊賀祐一)
・デジタルビデオの画像処理(熊森照明)
・しし座流星群のローカルシャワー現象(田部一志)
・大赤斑の経度について(田部一志)
・NEB北縁バージとノッチについて−その2−(堀川邦昭)
・1m望遠鏡による木星型惑星の銀塩撮像(小嶋孝弘)
【分科会】
・画像処理、眼視観測、画像の活用法、木星に見られる面白い現象
【討論会】
・観測の報告と研究者の活用方法
次回は福岡大学の竹内覚氏が世話人となり、福岡で開催されます。

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