天文ガイド 惑星サロン2006年12月号 (No.51)伊賀祐一

真横を向いた天王星

天王星は、1781年3月13日にウィリアム・ハーシェルによって発見された太陽系の第7惑星です。ロケットによる探査は、1986年に唯一ボイジャー2号によって行われています。

天王星の公転周期は84年ですが、他の惑星と大きく違うのは、天王星の自転軸が黄道面にほぼ平行である、つまり横倒しで公転していることです。そのために、天王星は太陽に北極を向けている時期があり、それから赤道を向けている時期に移り、次は南極を向け、さらに赤道を向けている時期に移ります。これを1天王星年と考えると、天王星の1つの季節は21年に相当します。ボイジャーが観測した1986年は、ちょうど南極が太陽に向いていました。その21年後の2007年には真横を見せてくれます。

木星では自転軸がほぼ垂直であるために、衛星あるいは衛星の影が本体を通過する現象がしばしば見られます。天王星が真横に向くということは、天王星でも同様の現象が見られるということを意味します。この現象を見事にとらえたのが、画像5のハッブル宇宙望遠鏡(HST)です。天王星は9月8日に衝を迎え、5.7等級で、視直径は3.67秒でした。さすがに小さいので、我々の望遠鏡では衛星の影を写すのは無理ですね。また、これからは北極にも太陽が照らすようになり、模様にも変化が起こるかもしれません。


画像5 天王星と通過中の衛星アリエルとその影
画像提供/NASA(拡大)

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