天文ガイド 惑星サロン2013年8月号 (No.131)山崎明宏

惑星向きの動画カメラ@

今月と来月の2回に分けて惑星向きの動画カメラを紹介します。

今回はPoint Grey Reserch社製のBlackfly(PGR-05S2-M/C)(末尾のMはモノクロ、 Cはカラー)で、SONY製の最新CCDチップICX693を搭載した、非常にコンパクトな CCDカメラです。パソコンとの接続は、ギガイーサネット接続(LANケーブル)です が、電源もLANケーブルから供給するPoEという規格になっています。専用の電源 が必要で、カメラの代理店から購入することもできますが、市販品もあります。 特徴は、
・SVGA(800×640)出力なので、木星の強拡大でも画素に余裕がある。
・最大50FPSでの転送が可能。
・惑星撮影で主流のICX618を使用したカメラより、L画像で1.5倍の高感度。450 nm以下の短波長域では2倍以上。金星のUV撮影にもおすすめ。
・小型・軽量・低価格(写真手前のカメラ)。

近赤外側の感度向上はわずかでしたが、短波長側の感度上昇は素晴らしく、土星 をUVで撮影したところ、従来の倍以上のレートで撮像できました。評価結果は良 好ですが、キャプチャーソフト側が中途半端な状況です。現時点で対応している ものを紹介します。
1. FlyCap2:メーカが無償提供しているソフト。天文用ではないのでシンプルな 機能のみ。
2. FireCapture:天文用として開発されたソフト。無償で公開されていて機能も 豊富でお勧めですが、最新Ver2.2から日本語Windows環境では動作しません。

購入先はビュープラス(http://www.viewplus.co.jp/)で、個人の方でも購入可能 とのことです。

[図1] Blackflyと電源装置
左手前がBlackfly、左奥は従来のDMK21-AU618。右はPoE用電源。

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