天文ガイド 惑星サロン
2019年12月号 (No.207)
山崎明宏

中国製格安アイピースの実力

今回から数回に分けて、ちょっと変わったアイピースを紹介します。 初回は、セレストロン製のSR4mmです。 ネットで話題のこの製品、なんと一個$2.8(300円)なのに、中心付近の解像度は、高級アイピースと勝負できるとの評判です。 購入先は、Amazon以上に密林感のあるAliExpressで、4個まとめて送料込みで1,700円程でした(安)。

さて、9月中旬に月と土星を見てみました。 シーイングは4/10程度、20cmの屈折望遠鏡を使って、テレビュー製ズームアイピースと比較してみました。 まず、SR4mmなのに、実質的な焦点距離は6mmでした。 最初に土星を見ましたが、空隙はどちらもシャープに見え、極付近にかけて濃淡が変化していく様子や、環の影の見え方に差を感じません。 思った以上によく見えます。 違いが出たのは月でした。無コートなのか、フレアで視野全体がかすみます。 さらに月面を観望するので、視界の狭さや縁の着色なども気になりました。 肝心の中心付近の解像度ですが、シーイングが良くない時は差が分かりませんでしたが、改善してくると、やはりテレビューの方が上でした。 フレアも影響したのか、クレーター縁の様子や底の谷筋など、テレビューで確認できた構造が何度見返しても見えません。

まあ、価格が2桁違いますから、ある意味大したものです。 ただし、万人におすすめできる製品ではないですね。 興味がある方は一山どうぞ・・・

[図1] 中国製のアイピース(手前がSR4mm)
これだけ買っても、今回のテレビュー製品より安いです。

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