天文ガイド 惑星サロン
2020年12月号 (No.219)
安達誠

減光フィルター

最近の惑星観測に使う望遠鏡は、昔と違い口径が大きくなりました。 撮像するには光量が必要になりますから、これはこれでいいでしょう。 ところが、その望遠鏡で観望しようとすると大きな問題がでてきます。 眼視で見るのには明るすぎるのです。 観望会に来て観望する人には、とても明るく見えるのです。 望遠鏡を持っている人は、効き目でない反対の眼で見てください。 きっと、強烈に明るいはずです。 すなわち一般の観望者は皆さんそのような明るさに見えているのです。 見えなくて当然かもしれません。

最近、無段階の減光フィルター(2枚の偏光フィルターを重ねたもの)が売られています。 回転させて暗さを加減するのです。 私は、かねてより、1枚のND2・ND4のフィルターを使っていますが、無段階には魅力がありました。 金星・木星・火星には強力な道具になります。 最近は火星に使いますが、暗めにすると、火星の砂漠になっている部分の淡い模様が見やすくなるのです。

また、年齢とともに増える、角膜や水晶体にできた傷やごみが、明るすぎる光で散乱して見えにくくなることも防ぎます。 口径が大きくなるほど、観望や眼視観測には不可欠なアイテムになると思います。

[図1] 無段階の減光フィルター
左は2インチ用、右は31.7mm用。

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