天文ガイド 惑星サロン
2021年2月号 (No.221)
石橋力

小口径での惑星観測(2)

火星や土星は、どのくらい写るのでしょうか。 画像のように、土星は大きな口径のようなシャープさはないものの、カシニの空隙はしっかり写りますし、本体の縞も何本か写ります。 カラーの元画像では、赤道部分が暖色系でカシニの空隙の内側(B環)が白いなど、色の違いもわかります。 来年は環からかすかに出ている南極が、もっとハッキリと見え、環の傾きは減っていきます。

2020年11月12日、火星のクリセでダストストームが発生しました。 大きな口径ではもっと細く紐状に写っていますが、10cmでも写りました。 この画像には、主な模様の子午線湾や、アキダリアの海、太陽湖は写っていますし、南極冠や北極の雲も写っています。 この時の火星の視直径は18”弱、10cmの分解能は1”強なので、ほぼ限界の模様が写っています。 次の接近は2022年の12月1日、視直径は17”強ですが、これらの模様は写ると思います。

10cmくらいの望遠鏡で電動追尾ができれば、PCカメラを使うと20〜35cmの望遠鏡でフィルムを使った写真以上の画像になることもあります。 月面なら、ちょっとした月旅行気分の画像が楽しめると思います。 ぜひ、小口径でもPCカメラで惑星や月面の撮影を楽しんで下さい。

[図1] 10cmで捉えた土星面と火星のダストストーム
左) 土星は主な縞模様やカシニの空隙が写ります。環の上に土星の南極地方がわずかにのぞいているのもわかります。右) 11月14日の火星で、中央の明るいところが発生間もないダストストーム。南極冠や北極の淡く広がった雲も捉えることができる。

前号へ INDEXへ 次号へ